畑正憲さん死去 作家動物王国、「ムツゴロウ」 87歳

2023年4月7日 07時53分

畑正憲さんが出演していた「ムツゴロウとゆかいな仲間たち」の一場面=©フジテレビ

 動物との交流を描くテレビ番組などに出演し、「ムツゴロウ」の愛称で親しまれた作家の畑正憲(はた・まさのり)さんが五日、心筋梗塞のため死去した。八十七歳。福岡市生まれ。葬儀は親族で行う。喪主は妻純子(じゅんこ)さん。
 東京大卒業。学習研究社(現学研ホールディングス)に入社して動物記録映画を製作した。一九六八年に退社して著作活動に入り、同年「われら動物みな兄弟」で日本エッセイスト・クラブ賞。
 北海道に「動物王国」をつくり、イヌやクマなどさまざまな動物と共に暮らした。動物王国を舞台に八〇年に放送が始まったフジテレビの「ムツゴロウとゆかいな仲間たち」シリーズは二十年以上続く人気番組に。世界を旅して動物に親愛の情を示す姿も共感を集めた。ライオンに指をかまれるなどしても動物側を責めない人柄や、多くの芸能人がまねした「ようし、よし」と体をなでながら動物との距離を縮める愛情表現などで、お茶の間の人気も高かった。
 動物文学の発展などの功績で菊池寛賞を受賞。「ムツゴロウの博物志」「ムツゴロウの青春記」など著書多数。
 八六年には大ヒットした映画「子猫物語」の監督を務めた。ナレーションを担当したフリーアナウンサー露木茂さんは「いつもにこやかで、動物も人間も同じように慈しんでくれた」としのんだ。
 ユーチューブチャンネル「ムツゴロウの656」では、動物たちとのエピソードなどを発信。タイトルは「ムツゴロウ」の語呂合わせで六百五十六回を目指したが、三月二十六日公開の百四回が生前最後となった。今月五日夕に自宅で倒れ、病院に搬送された。

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