電気の「検針票」どう見る? 政府による値下げ額はどこに表示? 東京電力EPは会員サイトで確認しよう

2023年2月18日 06時00分
 光熱費の高騰で、電気料金の仕組みへの関心が高まっている。契約者の多い東京電力エナジーパートナー(EP)を例に、検針票の見方や、国が現在審査を進める家庭向け規制料金の値上げについてまとめた。 (砂本紅年)

◆ペーパーレス化で多くの人は「会員サイト」で

 電気料金の確認は、毎月の検針票「電気ご使用量のお知らせ」の準備から。
 東電EPは2020年11月以降、「環境負荷を軽減し、ペーパーレス化を進めるため」(広報担当者)と、検針票を紙から東電EPの会員向けサイト「くらしTEPCO Web」に順次切り替えた。契約者には切り替わった時期に、はがきやちらしで案内した。
 希望者には紙の検針票を引き続き送付(規制料金の契約者には無料、自由料金の契約者は110円)しているが、東電EPによると送付希望者は規制料金で約1割、自由料金で約2割。
 紙、サイト共に検針票に記載されるのは、契約アンペア数で決まる「基本料金」、使った電力量に応じて計算する「電力量料金」、太陽光発電などを普及させるための「再生可能エネルギー発電促進賦課金」で、これらの合計が月の請求金額になる。2月検針分から始まる1キロワット時当たり7円の政府による値引き額は、請求書に示された使用量に7円をかけて計算できる。

◆6月から平均29.31%値上げを申請中

 電力量料金には、燃料の調達価格の変動を毎月反映させる「燃料費調整額(燃調)」が含まれる。東電EPの電源は、液化天然ガス(LNG)45%、石炭30%で4分の3を占め、14%は発電会社と小売会社で取引する卸電力市場などからの調達でまかなう。ロシアのウクライナ侵攻以降、石炭や卸電力市場価格が高騰し燃調分が上昇。電気代高騰の要因となった。
 ただ、規制料金は燃調の幅に上限があり、東電EPの場合、上限に達した昨年9月以降、利用者から見れば上昇が抑えられてきた半面、上限を超えた1キロワット時当たり1〜7円が同社の負担となり、大幅な赤字に転落。6月から規制料金を平均29.31%値上げすることを今年1月に国に申請した。

 家庭向け電気料金 値上げの際に国の認可が必要な「規制料金」と、電力会社の裁量で決められる「自由料金」がある。東電EPの場合、「従量電灯B」など2016年の電力小売り全面自由化前からある契約は規制料金。生活かけつけサービスを付帯した「スタンダードS」などが自由料金にあたる。


 値上げ申請を受け、経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会は2月の会合から値上げ幅が適切か審査する議論を開始。値上げ要因とされる燃料調達などにコストの圧縮余地がないか探る。東電EPは、原価の内訳に人件費として来年度3%、24、25年度に各1%の賃上げを行うことも織り込む。一方で口座振替の契約者を対象にした月55円の割引も廃止することでコストを削減する予定。
 経産省は審査の後、消費者庁など関係機関との協議を経て、値上げを判断する。

◆4月に値上げに関する公聴会 意見も募集中

 経産省は4月13日、東電EPの規制料金値上げに関する公聴会を同省で開く。意見陳述希望者の書類提出は3月30日必着。郵送やメールなどでの「国民の声」も募っている

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