横浜で片岡球子さん作品展「面構」 歴史上の人物を独自解釈 足利尊氏、葛飾北斎ら描く

2023年1月13日 07時41分

室町幕府の足利三将軍を描いた作品に見入る来館者=いずれも横浜市西区で

 昭和から平成にかけて長く活躍し、文化勲章を受けた日本画家の片岡球子さん(一九〇五〜二〇〇八年)が歴史上の人物を描いた作品展「面構(つらがまえ) 片岡球子展 たちむかう絵画」が、横浜市西区のそごう美術館で開かれている。室町幕府初代将軍の足利尊氏や浮世絵師の葛飾北斎らを独自の解釈で表現した「面構」シリーズを中心に、約六十点が並ぶ。二十九日まで。(吉岡潤)
 片岡さんは札幌市出身。女子美術専門学校(現女子美術大)を卒業後、親の反対を押し切って画家の道へ。横浜市の大岡尋常高等小学校(現市立大岡小学校)で約三十年間教員を勤め、その後、女子美術大や愛知県立芸術大で教えた。六十代半ばから、百三歳で他界するまで藤沢市に住んだ。
 今回は、片岡さんが六十歳を過ぎてライフワークとして取り組み、日本美術院の再興院展に出品した「面構」シリーズ四十四点のうち四十二点、初公開の下絵や面構につながる人物画などをそろえた。同館主任学芸員の大塚保子さんは「これだけの面構シリーズを集めた例はなく、表現の変化も分かる貴重な機会」と話す。

下絵も公開されている会場

 各作品とも大胆さと繊細さが同居し、色彩豊か。顔の描写はシンプルでいて瞳は見る者を吸い込むよう。衣装の柄は実に細かい。浮世絵師の北斎や安藤広重、水墨画で有名な雪舟らの肖像画には、背景に彼らの代表作を再現。浮世絵の作中人物と絵師を同じ空間に共存させた作品など、奇抜な構図も目を引く。
 室町幕府を率いた足利尊氏、義満、義政の三将軍は片岡さんの人物評によって筆致や色使いが異なる。「今生きていたら、どんな政治をしただろうと想像を巡らせたそうです」と大塚さん。全作品に片岡さんの意図や思い、史実を絡めた解説が添えられ、それを読むとまた楽しめる。
 大塚さんは「型破りで従来の日本画の枠に収まらず、自由な発想で挑戦し続けた。現代性があり、若い人たちもぜひ見てほしい」と話す。
 午前十時〜午後八時。一般千四百円、大学・高校生千二百円、中学生以下無料。問い合わせは同館=電045(465)5515=へ。

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