「雪虫」知ってる?警視庁の警部補がツイートに込めた期待とは…でも実は別の虫かも

2022年12月20日 06時00分

「雪虫」と呼ばれるトドノネオオワタムシ=札幌市西岡公園管理事務所提供

 「皆さんは『雪虫』を知っていますか?」。北国では降雪の前触れとされる、昆虫の目撃情報を警視庁災害対策課がツイッターで投稿したところ、雪虫の存在を「初めて知った」などの反響が相次いでいる。警視庁は、大きな事故につながりかねない路面凍結などへの備えが進むことを期待する。(山田雄之)
 ツイッターの投稿は9日。北海道出身の木下ただし警部補(43)が、東京都立川市の自宅の郵便受けで見つけた白毛の虫の画像とともに「冬のお知らせが届いていました。北海道では、雪虫が飛ぶともうすぐ雪が降ると言われています。突然の降雪に備えて、スコップ等の準備を始めてみてはいかがですか」などと書き込んだ。
 画像は3日に撮影した。木下さんは「地元ではよく見たけど、東京では珍しい。思わずスマートフォンを向けました」と振り返る。
 災害対策課のツイッターは来月で開設10年を迎える。木下さんら課員が交代で災害時に役立つ情報を毎日発信し、フォロワーは約90万人に上る。木下さんの投稿直後から「雪虫初めて知りました」「東京にも雪虫っているの? 会いたい!」などのコメントが相次ぎ、「いいね」や「リツイート」は約1000件に上った。
 だが、専門家に聞くと、これは本来の雪虫ではない可能性もあるという。

警視庁災害対策課の9日のツイート

 北海道大の秋元信一名誉教授(昆虫学)に画像を見てもらった。「これは雪虫ではないと思います。ヒイラギハマキワタムシでは」。雪虫の正式名称はトドノネオオワタムシ。どちらもアブラムシ科のワタムシの一種という。
 秋元さんは「雪虫は北海道や東北地方に多く、東京には生息していない。一方でヒイラギハマキワタムシは西日本を中心に分布する。雪虫とよく似ており、見た目で判別するのは難しい」と解説した。いずれも気温が下がると羽が現れ、飛び始めて1週間前後で生涯を終える。生態に共通することは多い。「ヒイラギハマキワタムシも冬の始まりを教えてくれる虫です」
 木下さんに雪虫ではなかった可能性を伝えると「え? そうなんですか」と驚いていた。とはいえ、冬の到来を告げる虫には変わりない。「これから都内も本格的に寒くなるので、降雪や路面凍結があるかもしれない。スリップ事故や転倒事故に気をつけてほしい」と力を込めた。

おすすめ情報

東京ニュースの新着

記事一覧