「周り和ませ優しく」 志村けんさん死去 触れ合った人々惜しむ声

2020年3月31日 02時00分

志村けんさんが訪れた静岡おでんの老舗「おがわ」=静岡市葵区で

 新型コロナウイルスに感染し二十九日、亡くなったタレントの志村けんさん(70)は、テレビ番組の収録などで県内を訪れていた。触れ合った人たちからは惜しむ声が出ていた。
 「四、五年前、収録で志村さんが熱海芸妓(げいぎ)見番歌舞練習場(熱海市)を訪れた」と話すのは、熱海芸妓置屋連合組合の広報担当の美保さん。志村さんは収録中も収録外でも周囲の人たちへの態度は変わらず、「テレビで見るままの人で、周りを和ませる優しい感じの人だった。周りの人たちをほぐして、いいものを撮ろうとしているようだった」と惜しんだ。
 静岡市葵区の老舗おでん屋「おがわ」は二度、訪れた。おかみの小川光枝さん(69)によると、テレビのロケで近くを訪れた際、ふらりと、のれんをくぐってきた。「『こんにちは』と突然、入ってきて。驚きのあまり持っていた皿を何枚か割ってしまいました」。その後、二〇一六年夏にロケで再訪。黒はんぺんやちくわ、かき氷を食べ、とりわけ牛すじを好んだという。
 若おかみの中津川真生子(まきこ)さん(47)は「新型コロナを甘く見るなという警鐘なのかな」と話した。百歳を迎えていた祖父に優しく声を掛けてくれたことが印象的だという。
 一六年のロケでは、他に静岡市の日本茶専門店や掛川市のメロン農園などを巡った。浜松市では、天竜区の浜松ワインセラーを訪問。お薦めのワインでもてなした山本六二郎代表(70)は「お酒をよく飲まれる方で、ワインもお好きだった。『おいしいね』と言ってもらい、気配りを感じた」と振り返る。
 志村さんは今年八月、沼津市民文化センターで公演「志村けん笑2020」(テレビ静岡主催)を開催予定だったが、かなわなくなった。
 同社は「多くのファンの方が楽しみにされていたので非常に残念です」などとコメントした。(谷口武、内田淳二、山中正義)

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