ごみ搬入路訴訟で敗訴の日野市が市長への2.5億円賠償請求権を放棄…ただし任期中の給料約1600万円減額

2022年10月28日 21時19分
 東京都日野市が都市計画を変更せず公園に設置したごみ収集車の搬入道路を巡る住民訴訟で、大坪冬彦市長に設置費約2億5000万円を賠償させるよう市に命じた1、2審判決の確定を受け、市議会は28日の臨時会で、賠償請求権を放棄する議案を全会一致で可決した。大坪市長の給料と期末手当の1年分相当の約1600万円を減額する議案も賛成多数で可決した。

公園沿いに整備されたごみ収集車の搬入道路=2020年12月、日野市で

 議案で請求権放棄の理由は「不法な利得を得る目的はないため」とされた。質疑では「(搬入路設置は)市議会も了承した」などと市長個人の賠償に反対する意見が相次いだ。大坪市長が判決確定後、市民参加による搬入路の見直しなどで原告住民らと合意したことに触れ、「一連の強引な対応を反省している」として請求権放棄に賛成する意見もあった。
 大坪市長は「都市計画法違反や私の責任が否定されるものでは決してなく、重く責任を受け止める。違法性解消に向け、市民と一緒に協議を重ねる」とのコメントを出した。
 確定判決によると、同市は2016〜17年、ごみ処理施設へごみを搬入する専用道路を公園内に整備するため、業者と計約2億5000万円の工事契約を締結し、都市計画を変更しないまま道路を設置した。(宮本隆康)

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