思い続ける素晴らしさ実感 映画版「耳をすませば」 月島雫役・清野菜名

2022年10月27日 07時43分
 中学生の青春を描いた名作が、実写版でスクリーンに帰ってきた。公開中の映画「耳をすませば」で、清野菜名(28)が大人になったヒロインの月島雫を演じている。これまでの作品で見せてきたアクション俳優の顔は封印し、仕事と夢で悩む20代の役を生きた。 (花井康子)
 原作は一九八九年に少女漫画雑誌「りぼん」で連載された同名作品。九五年にはアニメーション映画が公開された。「たくさんのファンに愛されている作品。その主人公を演じるなんて。こんなに強くプレッシャーを感じたことはなかった」と振り返った。
 読書好きで作家志望の中学生・雫は、あるきっかけで、図書貸し出しカードにいつも自分より先に名前がある天沢聖司(松坂桃李)と出会う。ある日聖司から、夢をかなえるためにイタリアへ渡ると打ち明けられ、二人は必ず再会しようと誓い合う。「一人の人を思い続けることの素晴らしさを実感した」
 実写版では、十年後の二人をオリジナルストーリーで描く。雫は児童書の編集者として出版社で働いているが、思うように仕事が進まない。そんな時、大きなミスをしてしまい、仕事か夢かどちらを取るかの選択を迫られる。「雫は行動力のある真っすぐな子。でも大人になったら言いたいことが言える時ばかりじゃない。その葛藤に共感した」
 撮影は二〇二〇年三月から始まったが、コロナ禍で度々、中断。二年がかりで撮り終えた時は涙したと言う。「コロナの恐怖の中で、本当にこの作品が世に出せるのか不安だった。でもみんなでものづくりをしている感覚があり、宝物のような作品になった」
 ここ数年、次々と話題作に出演。そのたびに存在感が増している。「殺し屋に警察の音楽隊員、そして漫画の中の女の子。どれも魅力的な役だったけど、今後はもうちょっと普通の、等身大の役もやってみたいかな」。笑いながら、本音をのぞかせた。
 東京・新宿ピカデリーなどで上映中。

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