非正規公務員の6割、年収200万円未満 自治労連が初の全国調査「改善が必要」

2022年9月6日 06時00分
 労働組合の日本自治体労働組合総連合(自治労連)が全国の地方自治体で働く非正規公務員にアンケートしたところ、6割が年収200万円未満で働いていると回答した。非正規公務員の処遇の実態は十分に知られておらず、自治労連の担当者は「低賃金で働いている状況が明らかになった。改善が必要」と訴えた。(畑間香織)
 自治体を所管する総務省は不定期に非正規公務員の調査をしているが、賃金については時給ベースにとどまり、年収を調べていない。自治労連は実態を把握するために今回初めて全国での調査を企画した。

◆「専門性高くても賃金低い」

 組合員以外にも呼びかけ、5~7月に1万3762人が回答用紙とオンライン上で答えた。86・3%を女性が占め、職種は事務や、保育士、放課後児童支援員、図書館司書など。昨年の年収を尋ねる質問では、200万円未満が59・3%。家計を支える生計維持者でも半数が年収200万円未満と答えた。
 自治労連の担当者は「専門性が高くて基幹的な業務を担う人であっても賃金水準が低い」と分析した。
 非正規公務員を巡っては、2020年4月に会計年度任用職員と呼ばれる制度が導入された。採用が1年ごとに厳格化されたため、賃金の低さと相まって雇用の不安定さが増したとの声が多く上がっている。
 非正規公務員らでつくる「公務非正規女性全国ネットワーク」は昨年から2年連続で非正規公務員に1000人規模でアンケートを実施している。瀬山紀子副代表は自治労連の調査に「全国組織を持つ労組の調査は画期的だ。自治労連は1万人以上の声を受け止めて改善を政府に働きかけてほしい」と述べた。

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