原発再稼働求める声高まる中…規制委が東北電と意見交換 委員長「審査内容変わることはない」
2022年8月18日 06時00分
原子力規制委員会は17日の臨時会で、原発の新規制基準の審査効率化をテーマに、東北電力の樋口康二郎社長と意見を交わした。政府や経済界が早期の原発再稼働を求める中、規制委は審査中の原発がある各電力会社の経営層と意見交換を進める方針だ。
同様の会合は、4月の北海道電力に続いて2回目。東北電の樋口社長は「重視する論点を早い段階で示してほしい」などと要望し、規制委の更田豊志 委員長は「審査会合の頻度を増やすことで対処できる」と応じた。ただ、地震津波対策を担当する石渡明委員は「実際に試掘溝を掘ってみないと分からないことが多く、事前に論点を示すことは難しい」と指摘した。
◆審査が長引く中、経産相「さらなる再稼働は重要」
規制委には16原発27基の審査申請があり、審査や地元同意などを終えて再稼働したのは6原発10基にとどまる。7原発10基が基本的な事故対策の審査中で、申請から4〜9年と長引いている。
岸田文雄首相が議長を務め、脱炭素社会に向けた取り組みを議論する「グリーン・トランスフォーメーション実行会議」の7月末の初会合では、原発再稼働の遅れが電力逼迫 の要因になったと説明された。西村康稔経済産業相も12日の報道各社の取材に「原発のさらなる再稼働は重要」と言及した。
◆原発事故の反省は「推進と規制の分離」
ただ、審査の長期化は電力会社が十分なデータを示せないことが影響している。更田氏は17日の会見で、多くの職員が審査業務を続ける現状は好ましくないとしつつ「審査期間は電力会社の努力によるところが一番大きい」と指摘した。
早期の再稼働を求める声には「福島第一原発事故の最大の反省は、原発の推進と規制を分離すること。『(再稼働を)急いでほしい』という声は承知しているが、それで審査内容が変わることはまったくない」とくぎを刺した。(小野沢健太、増井のぞみ)
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