北朝鮮がコロナ終息を宣言 ワクチン接種なし、金正恩総書記「世界の保健史に特記すべき」

2022年8月11日 19時17分
全国非常防疫総括会議で演説する北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記=10日、平壌(朝鮮中央通信=共同)

全国非常防疫総括会議で演説する北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記=10日、平壌(朝鮮中央通信=共同)

 【ソウル=木下大資】北朝鮮メディアは11日、平壌ピョンヤンで10日開かれた「全国非常防疫総括会議」で、朝鮮労働党の金正恩キムジョンウン総書記が国内の新型コロナウイルス感染について「終息」を宣言し、防疫措置の緩和を表明したと伝えた。正恩氏のリーダーシップを強調する狙いとみられる。
 正恩氏は「流入したウイルスを撲滅し、最大非常防疫戦で勝利したことを宣言する」と述べた。北朝鮮は5月12日に初めて新型コロナの国内発生を発表。地域や職場間の移動を制限し、発熱者の隔離を中心とした対策を取っていた。
 会議に出席した妹の金与正キムヨジョン党副部長は、正恩氏が高熱を出していたことを明らかにしたが、新型コロナに感染したかは不明だ。
 当局の発表によると、4月末以降の発熱患者は約477万人に上り、死者は74人とされるが、真偽は不明だ。7月29日以降は新型コロナの発熱者は確認されていないと主張している。正恩氏は、ワクチン接種を実施せずに短期間で克服したことは「世界の保健史に特記すべき驚くべき奇跡だ」と誇った。
 一方、与正氏も演説し、韓国の脱北者らがビラなどを付けて飛ばす風船を介してウイルスが流入したと主張。「今回の防疫闘争は単なるウイルスとの闘いではなく、敵との実戦だった」と、韓国への敵意をあらわにし「強力な報復を加えるべきだ」と主張した。
 与正氏が公式の場で演説したことを北朝鮮メディアが伝えるのは初めて。この演説を受け、韓国統一省は11日、「ウイルスの流入経路に関する無理な主張を繰り返し、無礼で脅迫的な発言をした」として遺憾を表明した。

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