「再稼働」強調しても、すぐ動かせる原発なし 知事容認の島根原発も1年以上先の見通し 

2022年6月2日 20時33分
 中国電力島根原発2号機が2日、再稼働に向けた地元手続きを終えた。ただ、運転までにはなお1年以上かかる見通し。事故対策工事に必要な原子力規制委員会の審査が終わっていないためだ。政府はウクライナ危機を理由に原発再稼働の必要性を強調するが、現実にはすぐに動かせる原発がない。
 原発の稼働には、規制委の審査で東京電力福島第一原発事故を踏まえてできた新規制基準に適合する必要がある。2013年に新基準ができて以降、16原発27基の審査申請があり、これまで10原発17基が適合。うち、西日本に立地する6原発10基が再稼働した。
 関西電力美浜3号機(福井県)が21年6月に再稼働して以来、新規稼働はゼロ。20年2月に新基準に適合し、地元同意手続きも済んだ東北電力女川2号機(宮城県)は、24年2月の再稼働が計画されている。
 地元同意の見通しがない原発もある。日本原子力発電の東海第二原発(茨城県)は周辺6市村の同意が必要。東電柏崎刈羽6、7号機(新潟県)はテロ対策不備で規制委から運転禁止を命じられ、再稼働の議論をできる状況にはない。
 運転開始から40年を超えた関電高浜1、2号機(福井県)は23年6~7月に順次再稼働する予定。(小川慎一)

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