桜並木「伐採しないで」 横浜・瀬谷区の海軍道路 市民らが3万人超の署名提出

2022年5月14日 06時52分

今春も花を咲かせた海軍道路の桜並木=横浜市瀬谷区で(市民提供)

 横浜市瀬谷区内を南北に走る約三キロの「海軍道路」の桜並木を巡り、市は早ければ来春までに大部分を伐採する方針を示している。交通渋滞緩和のための道路拡幅や、老朽化から将来的な存続が難しいと説明し、伐採した上で新たな桜並木を整備する考えだが、伐採に反対する市民有志が十二、十三日、市に方針の見直しを求める計約三万六千人分の署名を相次いで提出した。(神谷円香)
 海軍道路は環状4号の瀬谷中学校前交差点から、北は八王子街道と交差する地点までを呼ぶ。北半分は米軍上瀬谷通信施設の跡地内を走る。市によると一九七〇〜八〇年代に道路沿いにソメイヨシノなどが植えられた。九五年ごろには約六百本が並んでいたとされるが、老朽化などで伐採され、昨年四月時点ではソメイヨシノは二百八十二本となっている。
 市は毎年、樹木医による診断を行っており、二〇二〇年度は当時あった三百本のうち、判定A(健在か健在に近い)は六十一本、B1(注意すべき被害あり)が百六十一本、B2(著しい被害あり)は六十本。C(不健全)は十八本あり、伐採された。今後も樹木の状態に応じて順次伐採した場合、二九年ごろには残りは百七十八本になると見込んでいる。
 市は二七年に跡地で開催を目指す国際園芸博覧会(花博)も機会として、跡地部分にあるうちの大半の二百二十六本を早ければ来春までに伐採し、新たにソメイヨシノ以外の品種も選択肢に含めた桜並木を整備する方針。すでに地元に示し、昨年七月から整備方針の策定に向けた懇談会を開いている。
 十三日に約三万五千人分の署名を提出した「上瀬谷の未来を考えよう会」のメンバーの一人は記者会見で、「今あるのはすぐに切らなくてはいけない木ではなく、二百二十六本を全部切るのはおかしい」とし、「桜並木を切らなくても花博はできる」と訴えた。
 十二日に約千六百人分の署名を出した「横浜みらいミーティング」の高橋健太郎さんも「道路を拡幅しても桜並木を残す方法はないのか」と疑問を呈した。
 市上瀬谷整備推進課は「幹線道路の街路樹として、ソメイヨシノは傷んでしまい、厳しい。将来を見据えたまちづくりを考えていきたい」と話している。

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