2人の弟はウクライナ東部戦線へ…「私の時間は2月24日で止まったまま」 エジプトで無事祈る姉のイリーナさん

2022年4月30日 06時00分

24日、エジプト北東部シャルムエルシェイクで、ウクライナ国旗を掲げて弟や家族の無事を願うイリーナさん=蜘手美鶴撮影

 エジプト北東部シャルムエルシェイクに住むウクライナ人女性が、前線で戦う弟2人の無事を祈り続けている。24日には東方正教会の復活祭(イースター)を祝う集いが地元で開かれ、参加したウクライナ避難民ら約100人と一緒に、母国を思って祈りをささげた。(シャルムエルシェイクで、蜘手美鶴)
 「私の時間は(ロシア軍侵攻開始の)『2月24日』で止まったまま。今日は59回目の2月24日です」

イリーナさんの弟アレクサンダーさん

 復活祭当日、ウクライナ東部スムイ出身のイリーナ・シルカさん(30)の目が、みるみる涙でいっぱいになった。弟アレクサンダーさん(26)とローマンさん(22)は今、激戦が伝えられる東部の最前線で戦っている。
 2人とは電話やメールでやりとりを続けるが、電波状況が悪く、つながったり、つながらなかったり。復活祭の前に話したアレクサンダーさんからは「僕と弟が国を守るから心配しないで。無事を祈っていて」と言われたという。2人は別々の場所で戦い、ローマンさんは東部ドネツク付近にいるという。激戦地のため、届くのは「僕は大丈夫、生きている。姉さん、愛しているよ」。無事を伝えるごく短いメッセージのみ。
 2人からは、仲間と一緒に撮った近影やその日の食事、付近の景色などの写真も届く。「私を安心させようとしているのだと思う」とイリーナさん。一方で「ロシア軍の攻撃がすさまじい」「仲間が死んでしまった」などと2人が漏らすこともある。「強い緊張とストレスの中で戦っているのだと思う。それを思うと苦しい」と話す。

イリーナさんの弟ローマンさん=いずれもイリーナさん提供

 イリーナさんは結婚を機に3年前からエジプトに住むが、両親は現在もロシア国境に近いスムイにいる。家族と弟2人の無事を祈り、「どうか生きて帰ってきて」と声を振り絞った。

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