名優の存在感 渡辺謙 WOWOWドラマで刑事役 1990年代・東京、裏社会取材の記者と関わり合う

2022年4月23日 07時32分
 1990年代の東京の裏社会に切り込んだWOWOW放送のドラマ「TOKYO(トーキョー) VICE(バイス)」(24日スタート)で、渡辺謙(62)が存在感を見せている。演じるのは、裏社会の取材に踏み込んでいく主人公の米国人新人記者ジェイク(アンセル・エルゴート)に協力する刑事・片桐。ダイナミックなストーリー展開と繊細な人物描写で「見応えがある」と、ハリウッドでも活躍する名優の自信の作品だ。 (上田融)
 日本の大手新聞社で警察を取材する「サツ回り」を始めたジェイクは、殺人事件を追ううち、危険な取材に踏み込んでいく…。ハリウッド共同制作オリジナルドラマで全八話。米ドラマ「特捜刑事マイアミ・バイス」、米映画「インサイダー」などを手掛けたマイケル・マンが第一話を監督、二話目以降は製作総指揮を務めた。
 暴力団絡みの事件を担当する片桐は、ジェイクとぶつかりながらも成長させる役割を担う。徐々に関係を深めていく設定ゆえ、エルゴート(28)とも「最初、距離を取りながらお互い歩み寄っていった」と明かす。
 米映画「ウエスト・サイド・ストーリー」で主演を務めたエルゴートは、本作で流ちょうな日本語を披露する。努力を評価する一方で「(視聴者に)伝えられる状態に達していない時は(せりふを)英語に戻したりした。頑張っているからと甘くすることがないよう、お互い話し合った」。

WOWOW「TOKYO VICE」の一場面。ジェイク(左)と片桐 ©HBO Max / James Lisle

 二〇二〇年三月に始まった撮影はコロナ禍ですぐに延期になり、再開は約半年後などと困難も多かった作品。日本人と視点が違うため、「やくざ対警察組織という作品はよくあるが、新米記者の目線から描くのは新しい切り口。見たこともない世界、映像が映されている。作品の醍醐味(だいごみ)だ」と強い目力でアピールする。
 舞台の九〇年代は「アナログからデジタルに切り替わる時代で、社会・精神構造も過渡期だった」。そう振り返った上で言う。
 「結構カオスで(物語を)描く上でいい題材。今はすごく平たんな社会構造になってしまった。過去がいい、というわけではないが、ちょっとは熱量がある面白い時代だった。作品にはそのカオスの空気感が出ている」
 放送は日曜午後十時。ほかに菊地凛子、伊藤英明、山下智久らが出演する。第一話はBS視聴ができれば無料、二話目以降は有料で加入が必要。問い合わせは、WOWOWカスタマーセンター=(電)(0120)580807=へ。

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