精密×迫力の原画見て 前橋市のイラストレーター・高荷義之さん 出版社、作品展の資金募る 「ガンダム」や「ナウシカ」も

2022年3月26日 07時15分

今なお現役で活躍する高荷さん=前橋市で

 プラモデルのパッケージに描かれるボックスアート(箱絵)の原画などを5000枚以上描いた前橋市のイラストレーター、高荷義之(たかによしゆき)さん(86)の作品展を東京で開こうと、都内の出版社が30日までクラウドファンディング(CF)で資金を募っている。原画の多くは散逸していたが、同社が収集し、目標額に達すれば7月に実現したい考えだ。(池田知之)
 高荷さんは前橋高を卒業後、先駆者として箱絵も多く手掛けた画家・イラストレーター、小松崎茂さん(一九一五〜二〇〇一年)に弟子入りした。
 その後独立し、一九五五年に商業誌にデビュー。雑誌の表紙や挿絵、プラモデルの箱絵として、戦闘機やヘリコプターなどを精密かつ迫力十分に描いた。
 アニメは「機動戦士ガンダム」などのプラモデル箱絵、「新世紀エヴァンゲリオン」の雑誌口絵、映画「風の谷のナウシカ」のポスターも担当。現在も小説の表紙絵などを描く。
 八〇年代前半にアニメ「超時空要塞(ようさい)マクロス」の仕事の際は「毎日が締め切りだった。筆は遅かったけれど、若いときはよく描いたな」と振り返った。
 前橋文学館は約二年前、高荷さんの原画展を開催。担当学芸員は「アニメ作品を描く際、ほとばしる熱情と力強さがあり、繊細さもある」。原画展には台湾からも来館したという。
 高荷さんは原画を依頼主に渡してきたが、業界の慣例などで借用書がないこともあった。原画の多くは依頼主が紛失したか、倒産や廃業で行方不明という。
 高校時代から高荷さんのファンで、都内の出版社を経営する勝見正克さん(56)は原画の散逸を危惧する。昨年から模型メーカーなどに協力を求め、約二百枚を高荷さんの手に取り戻した。勝見さんは「六十年間、関係者しか見られなかった原画も戻ってきた。大勢の人に見てほしい」と語る。
 作品展は七月に都内のギャラリーで開き、原画二十枚以上を展示予定。目標額は三百万円。支援金額に応じ、複製画やTシャツ、入場券などの返礼品がある。CFのサイトは「高荷義之 原画展2022開催プロジェクト」で検索する。

フジミ模型のプラモデル「東京消防庁ちどり」の箱絵原画。1968年に描いた


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