赤が物議、新松戸駅前モニュメント「塗り替えて」 市役所窓口に匿名500万円 市「時期来れば有効活用」

2022年2月2日 07時42分

鳥居に似た外観から、かつては「お稲荷さんはどこにあるのか」と尋ねる人もいたという

 通称「赤い鳥居」と呼ばれる松戸市のJR新松戸駅前のモニュメント「あかりのボックス」。二〇〇二年三月の設置当初から神社の鳥居と見まがう外観は物議を醸してきたが、今年に入り、市に対し「赤い塗装を一日も早く塗り替えてほしい」と匿名で現金五百万円の寄付があった。市は塗り替え時期が来たら、有効に活用したいとしている。(牧田幸夫)
 市によると、一月十七日午後一時四十五分ごろ、寄付金の受付窓口である総務課のカウンターの上に現金が重ねて置いてあるのに職員が気付いた。一緒にあった寄付申込書は、寄付金の使途を「あかりのボックス塗り替え」と指定し、作業に当たっては「新松戸地域の住民の意見を最大限尊重してほしい」と要望している。
 寄付者の氏名は「新松戸北小・北中卒業生有志一同」となっていた。児童・生徒数の減少から新松戸北小は〇五年三月、新松戸北中は〇九年三月で廃校になっている。
 「あかりのボックス」は、デザインを民間コンサルティング会社に委託し、三千五百万円かけて制作した。両幅三メートル、高さ四・八メートルの鉄骨の構造物が六基。武蔵野線の高架下に二列になって三基ずつ並び、延長一二・五メートルになる。

側面から見ても鳥居に似ている=松戸市で

 設置の目的は、駅前広場の斜め横断を防ぎ、歩行者の駅への安全な動線を確保するとともに、露天商の出店スペースをなくすこと。しかし地元の意見を聞くことなく決めた赤色への拒否反応は強く、新松戸町会連合会は「赤は刺激的で闘争心をあおる」などと反対。独自にアンケートを行い、〇二年十月にはベージュ色など他の色への塗り替えを求める陳情書を市に提出した。
 色を赤にした理由について担当の市道路維持課は「高架橋の色がグレーで寒々しいので、コンサルタントと協議し明るく暖かい色にした」と説明。地元の陳情に対し、次の塗り替え時期が来るまで現行の色を維持すると回答し現在に至っている。近年は風化で色も落ち着き、市民の意見や問い合わせはないという。
 本郷谷健次市長は「設置から二十年がたつので、寄付をきっかけに地元の意見を聞きながら、色を塗り替えるのかどうかを含めて検討をスタートさせたい」と話している。

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