木村花さん自死 フジテレビが証拠提示を拒否 「真相究明に向き合って」母・響子さんが提訴の意向

2021年12月16日 21時32分

記者会見をする木村花さんの母響子さん(左)=16日、東京・霞が関の司法記者クラブで

 フジテレビのリアリティー番組「テラスハウス」に出演したプロレスラー木村花さん=当時(22)=が昨年、会員制交流サイト(SNS)で誹謗ひぼう中傷を受け自死した問題で、母響子さん(44)は16日、フジテレビや番組制作会社「E&W」が出演者への安全配慮義務を怠り、自死に追いやったとして、損害賠償を求めて来年中に東京地裁に提訴する考えを明らかにした。
 フジ側が訴訟に必要な証拠の提示に応じていないことも明かし、「花に申し訳ないと思うのなら保身を捨て、真相究明に真摯しんしに向き合ってほしい」と述べた。
 事件では、ネットフリックスで木村さんが出演者男性に怒りをぶつけるシーンが配信され、SNS上で木村さんへの誹謗中傷が殺到。木村さんがリストカットをした後も地上波などで放映が続き、木村さんは昨年5月に自死した。
 響子さんの代理人弁護士によると、東京地裁は響子さん側の申し立てを受け、証拠保全でフジ側に台本や未編集動画などの提示を求める決定を出した。しかしフジ側は、番組制作上の秘密や個人情報の保護などを理由に応じていないという。
 響子さんは「花がどうして亡くなったのか、フジ側が自らきちんとした検証をしていたら訴訟は起こさずに済んだ。悲劇が繰り返されないよう、訴訟を通じてテレビの責任を明らかにしたい」と訴えた。
 誹謗中傷の投稿者の責任を巡っては、民事訴訟で賠償を命じる判決が出ているほか、刑事でも侮辱罪で立件された。一方、フジテレビは昨年7月、出演者に対し不適切な行為はなかったとの内部調査結果を公表するにとどまっている。
 提訴の意向に、フジテレビとE&Wは「コメントは差し控える」とした。証拠保全については、フジテレビは「東京地裁の決定に対して適切に対応する」と文書でコメントした。(小沢慧一)

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