子どもが喜ぶクリスマスプレゼントは?コロナ禍のおもちゃトレンド ニューノーマル意識やアナログ回帰も

2021年12月6日 06時40分
 新型コロナ禍で我慢することも多かった今年一年。子供たちにとって例年以上に楽しみなのがクリスマスプレゼントかもしれない。メーカー各社は知恵を絞りながら「新しい日常」を意識したおもちゃを投入している。港区内であったこの冬のおもちゃトレンド発表会をのぞいてみた。

不織布マスクに転写シールを貼って、オリジナルのマスクが作れる「マスクにプリント!マスクック」

 「マスクをしたがらない子供でも、おしゃれな物なら率先して着けたくなる」。セガトイズ(品川区)がPRしたのは、専用のスティックを使って転写シールをこするだけで、市販マスクを自分だけのマスクにできる「マスクにプリント!マスクック」だ。シールは一つが約一センチ四方。すしネタやハート形、サンリオキャラクターのシールもある。担当者は「三百六十五日、最短十秒でオリジナルマスクを作れる」。
 コロナ禍でたまるストレスを発散、運動不足解消になりそうなグッズもある。

音や振動でサバイバルごっこができる「スピンチャージ煌」

 二丁のモデルガンをセットにした「スピンチャージ煌(KAGAYAKI)」。サバイバルごっこで銃口を対戦相手の持つガンに向けると、最大七十メートル先まで赤外線が反応する。相手のガンに赤外線が命中すれば、光や音、振動でダメージを知らせる。開発した石川玩具(墨田区)担当者は「弾が出ないのでステイホームでも外でも楽しめる」。
 かつて育てる携帯液晶ペット「たまごっち」を世に送り出したバンダイ(台東区)は時計のように手首に着けるウエアラブル端末「バイタルブレス」を発売した。計測される心拍数や歩数に応じ、ウルトラマンや仮面ライダーなどの提携キャラが強く成長していく。

心拍数や歩数でキャラクターの進化を楽しめる「バイタルブレス」 

 発表会はメーカーでつくる日本玩具協会と東京玩具人形協同組合が主催した。インバウンド需要は消え、外出控えもあって市場は振るわないと映るが、協同組合の斎藤晴正理事長は意外な数字を会場で紹介した。
 「玩具の年間売り上げはコロナ禍に襲われた二〇二〇年度も、東日本大震災があった一一年度も前年を上回ることができている」
 その理由を「大きな危機や心を痛める事象に直面した時ほど笑顔でいてほしい、癒やしや安らぎを感じてほしいと願い、親子や友達とコミュニケーションを生む物が求められる」と説いた。協会の前田道裕会長も「コロナは一気にデジタル変革を進めたが、時代が進むほど人々はゆったりした商品を求め、大人も子供も安らぎが必要」と訴えた。
 確かに、アナログ回帰が目を引く。

歴代67作品目となる「大逆転人生ゲーム」

「人生ゲーム」には、フードデリバリーやリモート会議など旬のキーワードも

 タカラトミー(葛飾区)は五十三年続く看板シリーズ「人生ゲーム」の六十七代目となる「大逆転人生ゲーム」を今年、投入した。ルーレットを回し、すごろくのように進みながらマス上の指示に従う。最終的に稼いだ額の多さで競うが、マスに書かれた内容が今どきだ。「リモートワークの時間が増えてぎっくり腰に」と治療費支払いが生じたり、デリバリーの副業で臨時収入が入ったりする。回せば人生が「大逆転」するルーレットの新たな仕掛けも今回初めて導入した。

4人で対戦するオセロ=いずれも港区で

 同社の系列会社もファミコンで大人気となった「桃太郎電鉄」のボードゲームを発売。バンダイの系列会社は、四人で対戦できるオセロをPRしていた。

テレビゲームからボードゲームに発展した「桃太郎電鉄~昭和 平成 令和も定番~ボードゲーム」

 おもちゃ業界専門誌「月刊トイジャーナル」の伊吹文昭特別顧問は「ほかにも二大人気キャラ『鬼滅の刃』『すみっコぐらし』連携商品が市場をけん引している。家で(組み替えを)楽しめるDIY系おもちゃも新しい潮流」と解説した。

人気のキャラクター「鬼滅の刃」と「すみっコぐらし」のおもちゃ

 昨年は感染が広がり、帰省を見送った人も多いだろう。この冬は、せめて親族とだけでもワイワイ楽しめる環境であってほしい。そのためのグッズがそろっている。
 文・井上靖史/写真・木口慎子
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