「コシヒカリ発言」で川勝知事への辞職勧告決議案を可決 知事は「職責全うする」と続投宣言 静岡県議会

2021年11月25日 16時07分
辞職勧告決議案が臨時議会で可決され、神妙な面持ちの川勝平太知事=24日午後、県庁で

辞職勧告決議案が臨時議会で可決され、神妙な面持ちの川勝平太知事=24日午後、県庁で

 十月の参院静岡選挙区補欠選挙の応援演説に際し、川勝平太知事の「コシヒカリ発言」を巡り、県議会最大会派の自民改革会議と公明党県議団が、二十四日の臨時会に提出した知事への辞職勧告決議案は、賛成多数で可決された。知事は続投を宣言した。
 自民は当初、法的拘束力がある不信任決議案の可決を目指したが、可決には出席議員の四分の三以上の賛成が必要で、見通しが立たなかったことから断念。過半数で可決できる辞職勧告決議案に切り替えた。臨時会では辞職勧告決議案に先立ち、御殿場市民から提出された知事の辞職を求める請願を審議。賛成多数で採択した。
 参院静岡補選の応援で、川勝知事は前御殿場市長の自民党候補を念頭に「あちらはコシヒカリしかない」などと発言。不信任決議案の可決には知事を支えるふじのくに県民クラブの切り崩しが必須だったが、不調の見通しとなり、同日朝の役員会で辞職勧告決議案に切り替える方針を決めた。
 辞職勧告決議案は自民三人、公明一人の連名で、自民の野崎正蔵代表と公明の蓮池章平団長が宮沢正美議長に提出。野崎代表は提案理由で「不適切な発言を繰り返し、言語道断で容認できない。知事の資質を欠いていると言わざるを得ない」などと指摘。「これほどまでに適格性を欠いている知事に、残り三年半の県政、四回の予算編成を任せられない」と批判した。
 知事の辞職を求める請願の審議では、自民の佐地茂人副代表が「明らかに地域差別だ。日頃から心の中で考えているからこそ出てしまった言葉であり、残念」と主張。「今の川勝知事は行動発言ともに知事にふさわしいとは思えない」と訴え、賛同を求めた。
 ふじのくに県民クラブの田口章幹事長は「知事に猛省を求めるが、辞職を求めるまでもないと判断し、採択に反対する」と反対意見を述べた。
 請願、辞職勧告決議案ともに法的拘束力はなく、臨時会終了後に会見した知事は、御殿場市民や県民に謝罪した上で「県民から負託された期間は全力で職責を全うする」として辞職を否定した。

◆御殿場市民ら「謝罪と撤回で十分」

 辞職勧告決議案の可決について、御殿場市民ら県民からは、川勝知事の発言への不快感を示しながらも、県議会にも冷静な対応を求める声が目立った。
 御殿場市の男性会社員(43)は「言い過ぎの面はあったけど、正直、騒ぎ過ぎだと思っていた。一部の人が騒ぎ、世論をあおっているような風潮を感じる」と冷静に受け止める。不信任決議案が出されなかったことには「可決されて、また選挙とかにならなくてよかった」と述べた。
 最初に知事の発言を聞いた時は、不快に感じたという同市の飲食店経営の女性(44)は「知事は謝罪と発言の撤回をしたので、それでもう十分。辞職が必要とまでは感じなかった」と説明。辞職勧告決議案の提出にとどまったことに「落ち着くべきところに落ち着いたのかな、と感じる。もっと建設的なことに時間と労力を使ってほしい」と話していた。
 浜松市東区の公務員男性(24)は「昔から失言の多いことで有名だが、芯がある知事なので辞職までしなくてもいい」と受け止める。六月の知事選でも訴えていたリニア工事の問題に触れ「ここで辞めても、県が抱える問題は解決しないのでは」と語った。

関連キーワード


おすすめ情報

静岡の新着

記事一覧