宮下瞳騎手、女性初の1000勝 2児育て、5年のブランク経て大記録「格好いいママでいたい」

2021年11月18日 23時04分

第2レース、リアルスピードで国内女性騎手初の通算1000勝を達成した宮下瞳騎手=いずれも名古屋市港区の名古屋競馬場で

 名古屋競馬所属の騎手、宮下瞳さん(44)が18日、名古屋競馬場(名古屋市港区)でのレースで、国内の女性騎手では初の通算1000勝を達成した。出産や育児で競馬を離れた時期を挟んで成し遂げた大記録。「夢のような感じ。パワーの源の息子たちに『ママやったよ』と伝えたい」と喜んだ。(伊勢村優樹)

◆愛息の言葉で一念発起

 この日の第2レース。1番人気の馬に乗り、最後の直線で他馬を一気にかわし、快勝で決めた。見守ったファンや関係者に、笑顔で応えた。

通算1000勝を達成し、ガッツポーズをする宮下瞳騎手

 鹿児島市出身で、名古屋競馬で1995年にデビュー。2005年には当時の女性騎手の日本新記録となる351勝を達成した。第一人者として活躍していたが、同僚騎手だった夫との間に子どもを授かり、11年に一度、引退。男児2人を出産し、子育てに専念した。
 勝負の場に戻るきっかけは子どもがくれた。現役時代の写真を見た長男に「ママも乗っていたの? 乗っている姿が見たい」と言われ、奮い立った。トレーニングで体力を戻し、16年に騎手に復帰した。

◆後輩女性らに「続いてほしい」

 女性騎手の出産からの復帰は、日本では例がなかった。未明に愛知県弥富市の自宅を出て調教をこなした後、息子を学校に送り出す。育児とレースを両立する日々の中でも、昨年は女性騎手初の年間100勝をマークした。
 レース後、周囲の支えに感謝し、「馬が好き。1日でも長く乗り、かっこいいママの姿を見せていきたい」と今後にも意欲。後進の女性騎手には「私が道筋をつくれたかな。続いてほしい」とメッセージを送った。

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