今年のえと・ねずみ 身近な所でみ~つけた

2020年1月3日 02時00分
 今年はねずみ年。害獣として嫌われ者の印象も強いネズミだが、ペットとして人気があったり、その姿が食べ物になぞらえられたり…。暮らしの中にある「ねずみ」を探した。 (吉田瑠里、出口有紀、細川暁子)

◆ペットになりマウス

ペットとして人気のファンシーラット=愛知県北名古屋市のネイチャーズ北名古屋店で

 鼻をヒクヒク、目をぱちくり。今、「ファンシーラット」という名前のネズミがペットとして人気だ。インスタグラムで検索すると無数の写真や動画が出てくる。「人懐こくて、肩や膝にものせられる」。一匹三千円前後で販売する愛知県北名古屋市のペットショップ「ネイチャーズ北名古屋店」の河合元一店長(45)は言う。ファンシーラットはドブネズミを家畜用に改良した種類。体長は最大二〇センチほどで二、三年生きる。
 実は、ネズミは江戸時代からペットとして飼われていた。日本動物看護学会理事長で、桜井動物病院(東京)院長の桜井富士朗さん(68)によると、一七八七年にはネズミの飼育書「珍翫鼠育艸(ちんがんそだてぐさ)」が刊行された。子どもがネズミを手にのせる絵とともに「必ず鼠(ねずみ)集まる時には吉事あり」と記されているという。「繁殖力旺盛なネズミは子孫繁栄や商売繁盛の象徴」というのが理由だ。桜井さんは「時をへて再び人気を集めることは、なんら不思議でない」。

◆人の関節で動き回る!?

肘にある関節ねずみのコンピューター断層撮影(CT)画像=土屋さん提供

 人間の体にネズミ?
 その名は「関節ねずみ」だ。関節の中で動き回る軟骨や骨のかけらを意味する。自由にちょろちょろ動く様子がネズミを思わせるため、そう呼ばれるという。野球選手の肘によく見られ、大きいものだと1センチ以上に。投球動作を繰り返すことで、軟骨と骨にひびが入ってはがれやすくなると考えられている。
 発症が多いのは10~12歳の成長期。骨と骨の間に挟まると痛みが出て、摘出しても骨がひどく変形してしまっている場合はプレーを断念せざるを得ないことも。
 名鉄病院(名古屋市西区)の関節鏡・スポーツ整形外科センター長、土屋篤志さん(47)は有志の整形外科医らと2015年度から、野球をする同市内と周辺の小学生を対象に検診を実施している。「目的は重症化する前に治療すること」。超音波画像を調べて、自覚症状があまりない初期に発見できれば、安静に保つことで9割が治る。
 体の中のネズミに気を配り、好きなスポーツを長く続けたい。

◆細長い根 しっぽみたい

ねずみ大根=坂城町ねずみ大根振興協議会提供

 長さ十五センチほどの下ぶくれの大根。細長い根がネズミのしっぽのように見えるとして、付いた名前は「ねずみ大根」。長野県坂城(さかき)町の特産だ。江戸時代ごろから栽培されていたそう。
 町民に親しまれているのが、ねずみ大根の搾り汁につけて食べる「おしぼりうどん」だ。この地域では昔から、米の裏作として作っている麦を使ったうどんを多く食べてきた。
 おしぼりうどんを出す片山吉一さん(73)経営の「かいぜ」。うどんは、妻しさ子さん(70)の手打ちだ。最初に来るのは強い辛さ。でも、食べ進めるうちに甘味を感じる。この一連の味を地元では「あまもっくら」と表現する。「霜に三回ほど当たらないと、この甘味は出ない」と片山さんは言う。
 ねずみ大根を町おこしに利用しようと、一九九九年には生産者や飲食店らで協議会を設立。消費拡大に努めるが、昨年は天候不順が響いた。ねずみ大根の農家で協議会会長の小林善道さん(75)は「ねずみ年の今年は豊作を期待したい」。

「かいぜ」のおしぼりうどん。右側がねずみ大根の搾り汁

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