富士山5合目 3月に放火被害 レストハウス 秋にも解体へ

2021年5月26日 07時30分

2階部分が全焼したレストハウス(富士宮市提供)

 今年三月に放火され、二階部分が全焼した富士山富士宮口五合目の民間レストハウスについて、建物の所有者側が解体することを決めた。改修して営業を続ける道も模索したが、損傷が激しく、断念した。今秋にも作業開始予定で、来年の開山シーズンまでの完了を目指す。地元の富士宮市と県は、代替施設の整備に向けて協議を進めている。 (佐野周平)
 レストハウスは市内在住の大塚信広さんら三人が共同所有している。鉄筋コンクリート造二階建てで、売店やトイレがある二階部分が全焼した。大塚さんによると、業者の調査で、想像以上に損傷が激しいことが判明。老朽化も進んでいることから解体を決めた。
 三十年近くレストハウスの運営に関わってきたという大塚さんは「愛着も強かったので、こんな形でやめるのは不本意だけど、仕方ない」と漏らした。
 レストハウスがあるのは標高二、四〇〇メートル地点。夏の開山中や、閉山中の冬の降雪期は解体作業が難しく、今夏の開山シーズンが終わる九月ごろに取り掛かる考え。大塚さんは「気象条件などで作業が遅れる可能性もあるが、できるだけ早く終わらせたい」と語る。
 富士宮口は県内三つの登山道で最も登山者が多い。五合目には、他に登山者が休憩で立ち寄れる施設はない。富士宮市の須藤秀忠市長は四月、川勝平太知事に代替施設の早期整備を要望し、県と協議を進めている。
 県によると、現場一帯は国有地で、自然公園法などの保護対象地区にもなっている。代替施設を建てるには国の許認可も必要で、県と市の担当者は「まだ白紙の状態。すぐにめどがつくような話ではない」と口をそろえる。
 一方で、今夏の登山シーズンが迫っている。昨夏は新型コロナウイルスの影響で閉山となったが、県は今のところ、二年ぶりに開山する方向で準備を進めている。市は、五合目に仮設トイレを設置済みだ。また開山中には、荒天時などに登山者が避難できるプレハブ小屋も建てる方針で、代替施設ができるまでの急場をしのぐ計画だ。

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