『いぼ痔(痔核)』手術の実際

いぼ痔(痔核)とは?
『いぼ痔(痔核)』手術の実際

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寺田 俊明 Toshiaki Terada

寺田 俊明Toshiaki Terada

  • 理事長
  • 院長
  • 大腸肛門病センター長

寺田病院HP:
https://terada-hospital.or.jp/

『入院手術』は前述のように基本、痔核をすべて切除していくやり方です。
『日帰り手術』
(a)硬化療法(ALTA療法)のみか、
(b)(肛門管外)の外痔核部分のみ切除し、内痔核部分に硬化療法(ALTA療法)を注射する方法
(c)(肛門管内)までの外痔核部分を切除し、内痔核部分に硬化療法(ALTA療法)を注射する方法
が一般的です。
『日帰り手術』でも外痔核を切除する手術(b)(c)は痛みを感じる外痔核部分つまり肛門皮膚→肛門上皮を切除していくわけですから痛みはあります。

(b)(肛門管外)の外痔核部分のみ切除し、内痔核部分に硬化療法(ALTA療法)を注射する方法

(c)(肛門管内)までの外痔核部分を切除し、内痔核部分に硬化療法(ALTA療法)を注射する方法

『入院手術』では内痔核も外痔核もすべて切除し、栄養を痔核に与えていた根部の血管を根部で縛りますので、再び同部位に痔核ができ、出血や脱肛をするようになるには時間が相当かかります。要するに根治的な意味合いが強い手術術式です
直腸粘膜を吸収糸(溶ける糸)で直腸粘膜→肛門上皮まで縫っていきます。この糸はおおよそ1週間~10日くらいで溶けてくる糸であり、抜糸の必要がありません。入院手術

肛門を下からみた図はこうなります。
日帰り(局所麻酔・仙椎硬膜外麻酔)手術日帰り(局所麻酔・仙椎硬膜外麻酔)手術

入院(腰椎麻酔・全身麻酔)はこうなります。入院(腰椎麻酔・全身麻酔)はこうなります。

『いぼ痔(痔核)』における入院期間に関しては各医療施設によって考え方や、やり方は異なるとは思いますが基本は創部の安静というほかに大事な点は『排便のコントロール』です。
もともと肛門にかかる長年の負担から『いぼ痔(痔核)』は悪くなるのですから、手術し、いくら『いぼ痔(痔核)』をきれいに切除したところで、便秘の方は便秘でしょうし、下痢気味の方は下痢気味です。さらに排便への不安から・・・うまく『排便のコントロール』ができなければ術後硬い便や気張って排便をした際に、手術の傷が痛くなったり、縫ったところが裂けて出血してしまいます。
つまり

入院手術は『排便コントロール』のための入院といっても差し支えありません!
安心して安全に そしてより根治的に『いぼ痔(痔核)』を治したい
いう方は『入院』で行う、奥までの結紮切除 
『痔核根治手術』『粘膜脱形成手術』をお勧めします!!

と・・・・・
ここまで話してきてなんですが、『奥までの根治手術』がいいのはわかったけど、もう少し融通の利いた考え方はできないの?と思いませんか?

はい。
『日帰り手術』の奥まで切除しない術式の良いところと『入院手術』の奥まで切除する良いところの“良いとこどり”をしてしまおうというのが、今の『いぼ痔(痔核)』の最新手術です。
どういうことかというと、

a)腰椎麻酔下で施行するALTA(ジオン®)単独療法
腰椎麻酔下で施行するALTA(ジオン®)単独療法局所麻酔ではALTA硬化療法は可能な手技ですが、肛門鏡の挿入を何度もするので腰椎麻酔下に施行するほうが患者様も痛みが少なく、医師も注射を打ちやすいという利点があります。

b)奥の内痔核まで切り上げる結紮切除(LE)手術を1か所までとし+ALTA(ジオン®)注射併用手術

c)内痔核まで切り込まない外痔核切除+ALTA(ジオン®)注射併用の複数箇所手術内痔核まで切り込まない外痔核切除+ALTA(ジオン®)注射併用の複数箇所手術

といった それぞれの手術の良いところろMixした手術方法です。
これですと、腰椎麻酔はかけるので入院は必要ですが、奥までの手術を極力減らし、短期入院(術後1日~4日程度)で退院できるという理屈です。
ただし、すべての患者さんが、この方法でできるというわけではありませんので、こういう術式を選択できる『肛門の専門医』のいる病院で良く話を聞いて相談するのがよろしいでしょう。