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若手採用を成功させるポイントとは?組織にあらたな人材を取り入れる

公開日:2023.03.29

更新日:2024.04.26

企業の課題

若手採用は企業にとって、従業員の欠員補充、事業拡大、将来の幹部候補の育成などさまざまな観点から欠かせない重要な業務です。ところが、若手人材を採用する難易度は今後さらに高まると考えられます。 若手採用が難しくなっている原因は? 若手採用をするのに適した採用方法とは? など、本記事では若手採用について解説します。

若手人材とは

採用市場における若手人材に明確な定義はありません。業界、企業、個人によって多少の差はありますが、一般的に20代や30代の比較的若い世代を指します。そのため、若手人材の採用を検討する際には、社内でイメージのすり合わせをしておくとスムーズな採用活動につながります。

ここでは一般的に若手人材とされることの多い4つの具体例をご紹介します。

新卒

新卒とは新規卒業もしくは新規卒業者の略称で、入社年の3月末に高校、専門学校、大学などを卒業する見込みで就職活動をしている学生を指します。また、卒業後すぐに内定先の企業等に就職する社会人のことを表す場合もあります。

厚生労働省では、「青少年雇用機会確保指針」に基づき、卒業後3年間は新卒扱いをするよう示しています。そのため、卒業後3年以内の人材も新卒として扱う企業もあります。

新卒を採用するメリットは、企業と学生の双方に「3月に卒業したら4月から就職する」という共通認識があり、入社時期が確定できることです。さらに企業には、一度の採用活動で複数の人材を選考・採用できるうえ、入社後の研修を同時期に実施できるメリットもあります。

既卒

既卒とは、一般的に卒業後に正社員としての就業経験がない人材を指します。就職活動経験の有無は関係ありません。

学生が卒業後に就職をしない理由は、就職活動が難航したために新卒で就職できなかったこと以外にも、正社員としてはたらくことへのハードルの高さを感じた、正社員になる必要性を感じられなかった、などさまざまです。また、内定先があったにもかかわらず、あえて就職しなかったケースもあります。

既卒者を採用するメリットは、中途採用に近い状況で採用活動が進められることです。

また、新卒の場合は大学卒業、中途採用の場合は前職の退職を待つ必要があるものの、既卒は内定を出してから短期間で就業を開始することができます。何らかの挫折や失敗を経験してから、第2の人生のスタートを切ろうとして就職先を探している既卒者もいます。こうした経験があるために、過去の出来事や悔しさが原動力となって入社後に著しい活躍をすることもあります。

第二新卒

第二新卒は、一般的に学校卒業後一度は就職したものの何らかの理由で3年以内に転職活動を開始し、実際に転職した人材を指します。第二新卒者の年齢は一般的には25歳前後とされているものの、実際はかなり幅があります。

例えば、浪人や留年をせずに4年制大学を卒業後に就職し、 1年以内に転職活動を開始した方は23歳です。一方で、最終学歴が専門学校や大学院の場合は年齢がそれぞれ異なります。転職活動を開始する時期に差異が生じるケースもあり、20代を第二新卒として扱う企業もあります。

第二新卒を採用するメリットは、ビジネスマナーや社会人としての基礎が身についていることです。担当業務における研修に集中して時間を割くことができるため、短期間で即戦力としてはたらくことができます。また第二新卒が注目されるようになったのは近年のことです。そのため、新卒や中途採用と比較して企業にマッチした人材と出会いやすく、採用後の新人教育のコストを抑えられることも、第二新卒を採用するメリットでもあります。

中途採用

中途採用は、一般的に就職経験がある人材を指します。欠員補充はもちろん新規事業開拓や事業拡大に伴う採用の対象になることも多いです。また、前職でノウハウを蓄積した即戦力となる人材以外にも社会人経験が比較的浅い第二新卒も含まれていることから、人材の幅が広いことが特徴です。

中途採用のメリットは、スキルや前職での成果を書類や面談等で把握し、採用目的をふまえて就職後に期待するポジションと活躍を考慮した採用ができることです。

若手採用の難易度が上がっている理由

企業が若手採用に苦戦する理由は、若手人材の労働人口の減少と、はたらき方の多様化が関係しています。

若年労働人口の減少

総務省統計局が発表した「労働力調査(基本集計)2022(令和4)年平均結果の概要」を見ると、年齢階級別労働人口は毎年少しずつ減少傾向にあることがわかります。

「15〜24歳の就業者数」と「25〜34歳の就業者数」の合算値を2019年と2022年で比較すると、約33万人減少していることがわかります。
日本では少子高齢化と人口減少が急速に進んでおり、若手人材と呼ばれる世代を含む労働人口の減少も同じく加速すると推測できます。こうした社会的背景をふまえると、若手人材を採用する難易度は今後さらに高まると考えられます。

※引用:総務省統計局|労働力調査(基本集計)2022(令和4)年平均結果の概要

はたらき方の多様化

近年の傾向として、若手人材はワークライフバランスやキャリア形成、はたらきやすさなどを考慮して企業を選ぶ傾向があることも、採用難易度に関係しています。

ライフスタイルが多様化したことを受けて、労働者個々の事情に応じたはたらき方を可能にする環境が求められています。

時短勤務やテレワークなどは以前からありましたが、2019年4月には働き方改革関連法の一部が施行されたところに、新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークの導入と浸透が急速に進みました。結果、子育てや介護をしながらはたらく、地方に住みながら都心部など遠隔地の企業ではたらくといった選択肢が広がりました。

日本では終身雇用の崩壊が進んでおり、副業を手掛ける人材も増えています。本業の収入が減ったことで少しでも収入の足しにしようとする以外に、副業で身につけた知識やスキルを本業に活かしてキャリアアップに役立てる人もいます。

ダイバーシティについては、こちらの記事でさらに詳しくご説明しています。
>> ダイバーシティとは?必要性や取り組み事例などをご紹介

若手採用による2つのメリット

終身雇用が崩壊しつつあり転職も一般的な状況下で、あえて若手採用を重視するメリットは以下の2点です。

将来企業の中核を担う人材を確保できる

新卒や若手人材の採用は、企業全体を率いる幹部候補にもなりうる人材の確保と育成をすることでもあります。

新卒をはじめとした若手人材は、勤務地や特定の業務に最初からこだわることは比較的少ないです。そのため、総合職として採用することでジョブローテーションや転勤などを経てさまざまな経験ができ、結果として業務を通じて組織と業務に対する知見を身につけることができます。

組織の中枢となる幹部には、企業への貢献はもちろん、周囲の社員からの厚い信頼関係の構築、企業のビジョンや理念を深く理解し自ら発信することが望まれます。若手人材と呼ばれる人材を採用し教育することは、より効率的に自社の将来を担う人材を確保し育成することでもあるのです。

企業の文化になじみやすい

特に新卒は、何事も積極的に吸収し、自社の風土や文化になじみやすいです。思い入れも強くなりやすいため、愛社精神を育てることで業務に対する責任感や意欲の醸成も期待できます。

企業は発展していく過程で、創立期を支えたメンバーが築いた成功パターンやプロセスなどノウハウの再現と反復により、成長を維持するフェーズが到来します。企業のノウハウや文化を継承した若手人材は、再現と反復をする人材としても適任です。

若手人材の採用方法

若手人材の採用方法は複数あります。ここでは特に代表的な4つの具体例をご紹介します。

求人広告

求人サイトに求人情報を掲載し、閲覧した求職者からの応募を待つ採用方法です。求人広告のメリットは、求人サイトによっては数百万人の求職者が登録しているため、一度の掲載で多くの求職者にアプローチが可能です。

求人広告の費用は、転職サイトと掲載期間の長さによって異なります。掲載期間の延長やオプションの追加などをしなければ追加料金は発生しないことから、採用人数の増減に関わらず、採用コストが一定なので、採用人数によっては一人当たりの採用コストを抑えられます。

人材紹介

人材紹介会社に登録している求職者の中から、自社が求める人材像にマッチした人材を紹介してもらう方法です。メリットは、人材紹介会社で人材を選定しているため、自社のみで選考するよりも効率的に採用活動を進められることです。

人材紹介会社は成果報酬制を採用していることが多く、採用しない限りコストが発生しません。つまり、採用活動の工数確保が難しい、応募者は多いもののマッチした人材が少ないと悩んでいる場合には、ニーズにマッチした採用方法といえます。

人材紹介については、こちらの記事でさらに詳しくご説明しています。
>> 【図解で解説】人材紹介のサービス内容と4つのメリットを解説

ダイレクトソーシング

ダイレクトリクルーティングと呼ばれることもある、自社が求める条件を満たす求職者に対して、オンライン上で直接アプローチする採用方法です。求人広告と人材紹介が「守り」の採用方法なら、ダイレクトソーシングは「攻め」の採用方法です。

ダイレクトソーシングのメリットは、採用担当者が求職者のプロフィールを直接確認してからやり取りをするため、自社と採用目的によりマッチした人材を採用しやすいことです。また、企業の知名度が採用活動を左右することがなく、採用担当者の手腕次第では成果を上げやすいといえます。

転職フェア

各地で開催される転職フェアに出展し、来場した求職者と直接コンタクトする方法です。有名なものでは、大手転職サイトが主催する転職フェアが知られています。新卒を対象にしたフェアは、複数の転職サイトが共同開催する合同企業説明会、大学主催の就職セミナーなどがあります。

転職フェアのメリットは、ブースの装飾や呼び込み方法を工夫することで来場者の関心を集めやすく採用担当者が求職者に直接説明することができ、企業の特徴や社風などを伝えやすいことです。

若手採用を成功させるポイント

ここでは、自社が求める若手人材を採用するために、特に意識したいポイントを具体的にお伝えします。

自社の魅力を明確にする

何より重要なのは、求職者に興味を持ってもらうためにも自社の魅力を明確にすることです。求職者はWeb上に掲載されている求人情報、各種人材紹介会社から提供される情報、転職フェアなどで見聞きした内容を総合的に判断して転職先を選びます。

つまり、自社が求める人材にアプローチするには、まずは企業側が自社の特徴や魅力などを積極的に発信する必要があるのです。そのためにも、自社の特徴、他社にはない魅力を洗い出します。

情報発信のためにSNSを使用する企業もあります。SNSによって特徴と利用者の属性は異なるため、自社が想定している若手人材が多く使用しているSNSを選択することも重要です。

なお、自社の魅力について情報発信する際は、最新情報を常に扱います。古い情報ばかり発信していると、企業への信頼度が低下する原因にもなります。せっかくの行動がマイナスにならないよう、情報発信は担当者を決めて計画的に実践することが大切です。

母集団形成をして候補者を集める

若手採用を成功させるには、母集団形成が重要な課題でもあります。若手人材を採用しようにも、まずは求職者と会えないことには採用活動も進みません。

母集団形成を円滑に進めるには、まずは若手人材が集まりやすい場所に求人広告を出し、必要に応じて採用担当者は直接足を運び掲載等について交渉することも求められます。一方で、近年はWebによる就職活動が主流のため、Webマーケティングの手法を取り入れた採用活動を導入し母集団形成を進めている企業もあります。

自社に適した採用方法を選択する

若手採用の代表的な方法として、求人広告、人材紹介、ダイレクトソーシング、転職フェアをご紹介しました。それぞれ特徴とメリットが異なるため、採用活動をする際は企業の特性と求める人材像、採用活動にあてられるリソースなどを考慮しながら、自社に合った方法を選ぶ必要があります。

たとえば、「大企業で一度に複数人を採用したい」「中小企業で少人数の採用を検討している」「採用活動をしたいが、求人原稿を作るノウハウや余裕がない」などによって、より適している採用方法も変わります。

中小企業の採用については、こちらの記事でさらに詳しくご説明しています。
>> 中小企業が採用を成功させるポイントを徹底解説

若手採用を成功させて、組織に新たな人材を取り入れる

若手人材には明確な定義がないため、社会人経験がない新卒や、第二新卒のように比較的短期間で転職活動を経験している人材を指すこともあれば、20代後半や30代を含むこともあります。そのため、企業が求める若手人材像は多様です。

若手人材の採用は、若手労働人口の減少やはたらき方の多様化も相まって、近年は難易度が高い傾向にあります。

若手採用を成功させるには、自社の魅力や入社するメリットを明確にすることと、自社が想定する若手人材に対して効率的にアピールすることが重要なポイントとなります。


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