職種:登録調査機関(特許調査)

調査業務実施者の仕事内容について説明します。

特許庁審査官と同等の検索システムで行う先行技術調査

登録調査機関の先行技術調査・・・どのような仕事ですか?

  • 特許庁に出願された発明が特許になるかならないか、審査官が特許権を付与するか否かを判断する際の資料とするために、特許データベースを検索して資料を集め、出願された特許と同種の発明や技術がすでに存在していないか、公知になっていないか調査するものです。
  • 特許審査の迅速化のために、特許庁は、審査請求案件の一部に関して、必要な先行技術調査を「工業所有権に関する手続等の特例に関する法律」に基づいて登録された「登録調査機関」に外注しています。私達、登録調査機関の検索者(=調査業務実施者)は、特許庁の審査官が使う高度な情報検索システムとほぼ同じ環境で先行技術の調査をし、報告資料をまとめて納品するだけでなく、その結果について特許庁へ出向いて審査官と面談し説明・報告する、という役割も担っています。
  • 検索や報告書の作成は、デュアル大型モニタを備えた専用の端末を使用して行います。そのため、登録調査機関の検索室には万全のセキュリティ対策が施され、入退出も厳重に管理されます。

具体的な仕事の流れはどのようなものですか。

  • 担当する案件は、1ヶ月を1タームとして所定件数まとめて受け取ります。全ての案件の中身をざっと見て、1ヶ月の中でどんな順番で、どんなまとまりで進めていくか自分でスケジューリングしてから取り掛かります。
  • まずは、対象となる出願の発明内容を理解するところから始めます。特許請求の範囲に記載されている発明のポイントが把握できたら、その発明の該当分類を確定し、検索を行います。それだけではヒット数が膨大になるので、発明のポイントとなるようなキーワードも掛け合わせて検索式を立て、絞り込んでいきます。
  • ヒットした文献(特許公報)を妥当な件数まで絞り込んだら、今度は1件ずつ、画面上で1枚ずつめくりながら読んでいき(=スクリーニング)、類似した技術内容の文献を抽出する作業に入ります。
  • 抽出した文献をもとに報告書を作成。1週間に一度のペースで特許庁へ報告に出向きます(=対話)。
  • 対話は、担当の審査官と一対一で行われます。検索報告書と参考文献を示しながら、まず調査対象の説明をし、それに対して抽出した先行技術文献の説明、検索者としてのコメントを述べ、検索報告書を納品して終了です。

研修制度とサポート体制

独立行政法人工業所有権情報・研修館が行う「調査業務実施者育成研修(以下、略称=研修)」とは、どのような研修ですか?

登録調査機関の検索者としての勤務を希望する人は、入社後「工業所有権に関する手続等の特例に関する法律」に規定する独立行政法人工業所有権情報・研修館が行う研修を受講します。研修では、座学・実習・討論などの方式で、基本的な特許法やサーチに関する基礎知識を教わります。また、筆記試験2回、面接評価2回が実施され、修了基準を満たしている場合に「研修修了」となります。研修を修了し、手続きを経て特許庁に「調査業務実施者」として登録されると、実務に就くことが可能となります。

特許調査未経験の方が、いきなり全く知らない特許法などの研修に入るのは厳しいので、研修前に約1ヶ月、社内で事前に勉強する社内研修があります。社内研修では上司(検索指導者)が一から指導するため実際の研修も余裕を持って受講することができます。

研修は約2ヶ月弱、月曜~金曜まで毎日、東京・霞ヶ関の工業所有権情報・研修館またはその近辺で行われます。会場は会社から徒歩で行ける距離なので、研修期間は朝出社してから研修に出かけていき、夕方会社に戻って一日のまとめをして退社、というスタイルです。その日の研修で消化し切れなかったことを、会社に戻ってから研修内容について質問できる体制も整っています。

当社の入社が決まった方には事前学習のためのテキストをお渡ししています。そのため、入社後の研修の理解もスムーズです。