――デビューのきっかけは?
小さい頃から宝塚の舞台を観ていたので、宝塚に入りたいなと思っていたんですよ(笑)。でも、身長も伸びなかったこともあって・・・。受けられないと分かったときに、どうしようかなと考えていたんです。その頃から、母が東京まで舞台を観に連れて行ってくれ、“こういった仕事があるんだな”と知りました。それから、自分で事務所へ履歴書を送り、オーディションを受けたんですよ。
――では、小さい頃から女優さんに憧れがあったんですね。
“女優”というお仕事がどういったものなのかは理解していなかったと思うんですけど(笑)。クラシックバレーを習い、スポットライトを浴びて舞台に立つ楽しさを知ってから、将来そういった方向に進めたらいいなと思っていたんです。小さい頃から目立ちたがり屋だったんでしょうね(笑)。目立ったことをするのが好きだったし、楽しかったし、その延長かなぁ・・・。
――芸能界に入るということに対して、周りの方は驚かれたのでは?
周りの人は、私がどういったことをやりたいのか知っていたし、目指していることも知っていたので、それほど驚いてはいませんでした。合格したのが中学校2年生のときで、まとまった休みの度に上京して、1年間レッスンを受けに通っていたんです。その後、事務所の方に「高校入学のタイミングで出てきたら?」と声を掛けてもらって、本格的に活動を始めました。だから、大きなオーディションで合格して、いきなりデビュー!という訳ではなく、序々に段階を踏んでいったので、過程を知っている分、それほど驚いてはいなかったですね。
――最初のお仕事のことは憶えていらっしゃいますか?
中学校3年生のゴールデンウィークに撮った『ゼニ ゲッチュー!!』(NTVドラマ)が初めてです。宮崎弁が直せなくて大変でした(笑)。それに、自然に動くということが、こんなにも難しいことなんだぁと実感しましたね。分からないことだらけでしたし、当時のVTRは恥ずかしくてあまり観たくないですけど(笑)、その日のことは、よく憶えています。
――お仕事を通じて、成長したと感じることはありますか?
直接的に「成長した!」という実感はないのですが、現場に入る前に何を準備しておかなければいけないのか、分かるようになりました。昔は、ただ現場に行って演じることで精一杯だったんですが、場を踏むにつれて何が必要かちょっとずつ発見出来るようになったんです。いろいろな役を演じさせて頂いて、自分とは違った人生を体験できるというのが、このお仕事の一番楽しいところだし、素敵なことだなと思っています。

――早速、12月8日からヒロイン役としてご出演される舞台「エビ大王」についてお伺いしたいんですが、この“エビ大王”とは、何者なんでしょうか(笑)?
最初は、「ん?コント?」て思いますよね(笑)。でも、この物語は韓国で生まれた悲劇作品で、“エビ”というのは、日本で言う“鬼”とか“化け物”にあたり、コワイものの代名詞なんです。
――サエコさん演じる“パリテギ”の役どころは?
この“パリテギ”というのは役名ではなく、韓国語で“捨て子”という意味なんです。父に捨てられ、老夫婦に育てられるんですが、貧しさから米3俵で売られてしまうという・・・。その後も、数々の不幸が襲うんですが、それでも強く生きていく女性の役です。
――少女から母親へ移り変わっていく約10年間を舞台で観せるということですが、役作りが大変なのでは?
周りにはたくさんのアドバイスを下さる先輩方がいるので、大変ですけど凄く勉強になるし、楽しんで役作りが出来ていますね。他の方が練習をしているところを観ていても、全く関係ないことをキャストの方が話していても、自分の悩んでいる部分や気になる部分のヒントになったりするので、稽古場にいるだけで勉強になるんです。日々勉強(笑)。
――でも、初舞台でヒロインという大役を任されている分、プレッシャーを感じませんか?
もちろん、感じてますよ。大丈夫かなぁ~って(笑)。そうは思いますけど、今の自分の持っている力を全て舞台に捧げるつもりで、頑張っています。ほぼ毎日稽古があるし、ネガティブには考えないようにしています。考えると不安になってしまうし・・・。一日、一日、大切にして稽古を重ねるのみです!

――やはり、ドラマや映画と舞台ではお芝居の仕方は違いますか?
お芝居という枠からすると、気持ちを作り上げて誰かを演じるというところでは同じなんですが、見せ方は違いますね。例えば、声の出し方や、動き。ドラマや映画の場合だと小道具がいっぱいあるし、セットの雰囲気などで自然と入り込めるんですが、今回の舞台はそういったものが少ない分、“パリテギ”の心をしっかり捉えないと動けないんです。だから、大変だし、難しいんですよ。
――この舞台は、振り付けもあるそうですね。
ダンスや歌があったりと、全体的によく動く舞台です。「Team ARAGOTO」というだけあって、荒々しい動きだったり、演出方法もあるので、皆さん楽しんでいただけると思いますよ。
――稽古場の雰囲気はいかがですか?
“締まる時は締まって、楽しむ時は楽しむ”とメリハリがきちんとしていて、緊張感があります。あまり休憩時間がないんですよ。だいたい10時間くらい稽古をしているんですが、休憩するのは15分くらいで。だから、『自分にはこんなに集中力があったんだ』と初めて知りました(笑)。キャストの方達から色々と声をかけて頂き、アドバイスをもらったりしながら、良い雰囲気で稽古できています。
――舞台『エビ大王』の注目してもらいたいところは?
悲劇なので敬遠する方がいるかもしれませんが、他人の不幸は蜜の味ということで(笑)。お芝居の世界で、どっぷりと悲しい物語にひったってみるのも良いと思います。そして、筧さんのお芝居も素晴らしいので、是非観て頂きたいです。注目してほしいところは沢山あって言い切れないのですが、楽しんで観てほしいですね。
――どんな方達に観てもらいたいですか?
この物語は古代の神話の要素を盛り込んだ作品なのですが、今の時代にも共通する部分もあるので、年齢関係なく皆さんに観ていただきたいです。子供が観て得るものと、大人が観て得るものは、それぞれ違うと思うので、この舞台から何かを感じ取ってくれれば嬉しいです。

――現在放送中のTBSドラマ「今夜ひとりのベッドで」にも御出演されていますが、サエコさん演じる舞子はスゴイ女のコですよね(笑)?
私は、どんな嫌なコの役でも、そのコの良い所を見つけられるんですけど・・・、今回は難しかったです。自分が生きていくうえでは仕方がないのかなと思ったり、経済的なものや母親の愛情などのバックボーンもあるのかなとも思ったり。でも、私自身が出来ないようなことを体験できるので、楽しいですけどね(笑)。
――今までで、一番の悪女役ですか?
彼女持ちの男の子を取ってしまう女のコの役はありましたけど、結婚式当日に男性を取っておいて、また他の人と付き合うような女のコの役はないですね(笑)。舞子がどうなっていくのか、最終回まで要チェックです。
――2005年もあと少しで終わりますが、1年を振り返っていかがでしたか?
自分は何をやりたいのか、自分らしさとは何か、自分を見つめ直すことが出来た1年でした。それに、ファンの方からお手紙を沢山頂いて自信もついたし、自分がこの世界にいる意味を感じることが出来ました。本当に、内容の濃い一年でしたね。
――2006年はどんな年にしたいですか?
お仕事に関しては、今まで通りになんでもチャレンジしていきたいです。プライベートでは、感性を磨く旅に出たいですね。(マネージャーをちらっと見て)事務所の方に協力してもらいながら(笑)、旅行をして色々な体験をしたいです。
――最後に読者の方へメッセージをお願いします。
現在、舞台稽古の真っ最中なんですが、残り少ない2005年を全力投球で頑張っています。皆さんも2005年を楽しく締めくくれるように頑張ってください!