#01 熨斗(のし)・掛紙の基礎知識
日本では、しきたりに則った正式な進物には、奉書に水引、のしを用いてきました。けれども現代、特に一般的な進物や親しい間柄の場合には、用途別に水引やのしを印刷した掛紙を使用します。これは品物をむき出しにして贈るのは失礼なので、品物を覆う意味できれいな紙で包み、こよりで結んで贈った昔の形が形式化したものです。
「のし」とは鮑(あわび)を薄く切った「のし鮑」の略です。現代では「折りのし」といって、紅白の紙を雛人形のように折り、その中に短冊型に切った黄色い紙片を包み込んでいます。この黄色い紙片が、のし鮑が変化したものです。日本の贈りもののルーツは、神に生ぐさもの(魚・肉)を供えたことからきており、贈りものにのしをつけるのは、その品物がけがれていないしるしでした。なお、鮮魚や肉を贈る場合は、生ぐさが重複するので、のしはつけず、その代わり笹の葉を敷いていました。現代ではお中元、お歳暮をはじめ多様な贈りもので、鮮魚や肉を贈る場合にも、のしをつけるようになっています。
また一般的に、のしが印刷された慶事用の印刷掛け紙を「のし紙」と呼ぶこともありますが、弔事の時は「のし」は印刷されないので「掛紙」と呼びます。