1. 襟裳岬 風吹く岬の絶景と ローカルグルメを満喫!

達人指南

現地の達人が旅行の楽しみ方を伝える観光コラムです。人気の観光地から知る人ぞ知る穴場まで、達人だからこそ分かる一歩踏み込んだ“通”な情報を紹介しています。

襟裳岬 風吹く岬の絶景と ローカルグルメを満喫!

  名曲の舞台になった襟裳岬は、日高山脈の岩肌に大海原がぶつかる絶景地。訪れてみるとそこには景色だけでなく、風の間や展望台、地元の恵みが食べられる食事処、見応えのある観光スポットと旅に欠かせない要素がいっぱいでした。

晴れた日の襟裳岬

  北海道の東南端に位置するえりも町。ダイナミックな景観を誇る「襟裳岬」や断崖絶壁の海岸沿いに走る「黄金道路」など数々の景勝地がある。岬周辺は風速10メートル以上の強風が年間290日以上も吹きすさぶ、日本屈指の強風地帯だ。ゼニガタアザラシの生息地でもあり、船やシーカヤックでの観察ツアーなどのアクティビティも楽しめる。また、岬周辺の海は黒潮(日本海流)と親潮(千島海流)がぶつかり合って豊かな水産資源をもたらしてくれるほか、近年は幻の和牛と呼ばれる「えりも短角牛」も、新たなご当地グルメとして注目を集めている。

ライター/佐々木美和
投稿日/平成27年(2015)7月

[たびらいセレクション]

えりも達人
(たかはし ひろゆき)
高橋 祐之さん

襟裳岬の達人
  えりも町で生まれ育って56年。「えりも短角王国 高橋ファーム」オーナーとして、えりも短角牛を地域ブランドとして確立するために尽力してきた。牧場併設のファームイン「守人(まぶりっと)」「焼肉小屋 短々(たんたん)経営のほか、夏期は昆布漁にも携わる半農半漁生活を貫いている。「えりも地域力発掘協議会」会長として、えりもの地域おこし活動にも意欲的に取り組んでいる。

えりも短角王国 高橋ファーム
http://www.erimotankaku.jp/

断崖に息をのみ、海の色に時を忘れる

朝日に染まる襟裳岬

  「襟裳岬」の語源はアイヌ語の「オンネエンルム」。「オンネ」=大きい、「エンルム」=突き出たところ、というその名のとおり、北海道の中央あたりから太平洋に向かって鋭角に延びた先端部にあたる。ここは北海道の背骨・日高山脈の南端部。展望台からは岩肌がむき出しになった断崖が海に沈み込み、山脈の名残りを思わせる岩礁が点々と連なるさまが一望でき、北海道のカタチを思い浮かべると「ああ、ここまで来たか!」という思いが込み上げてくるはず。

展望台から遊歩道を降りると岬の突端まで行くことができる。襟裳岬まで来たからにはぜひ立ちたい絶景ポイントだ。突端から振り返ると荒々しい断崖絶壁がそそり立ち、沖を見やると水平線が丸く弧を描くほどの大パノラマが広がっている。「ゆっくりと太陽が昇る朝、海一面が金色に染まる夕暮れ、どちらも見ることができるのは岬の突端ならでは」と達人。お気に入りの景色を尋ねると「海に降りそそぐような夏の群星、海上に光り輝く月の道ができる満月の夜は素晴らしいね。気象条件に左右されるから見えた時の喜びはひとしお」とのこと。旅の空で出会える幸運を祈ろう。

「風の館」でアザラシウォッチング

ゼニガタアザラシ

  襟裳岬の沖合い7キロに及ぶ岩礁地帯は道内随一のゼニガタアザラシ生息地として知られ、現在約500頭のゼニガタアザラシが暮らしている。肉眼やオペラグラスでは見つけにくいので、岬内にある情報施設「風の館」のアザラシウォッチングコーナーを利用するのがおすすめだ。

沖に向かって設置された望遠鏡を覗くと、岩の上でのんびり休息するアザラシたちの可愛い姿があちらこちらに! 春の出産シーズンには毎年70頭ほどの赤ちゃんアザラシが誕生し、夏ぐらいまではお母さんアザラシが子育てする様子が観察できる。実はその中にラッコが1~2頭まぎれ込んでいて、お腹の上にのせた貝やウニを食べる姿が目撃されているのだとか。職員が見つけ方のコツをアドバイスしてくれるので、気軽に声をかけてみよう。

えりもの夏は海霧が出やすい。「風の館」には、アザラシの水中映像を鑑賞できるシアターや風速25メートルの風を体験できるコーナーなど、天候に恵まれないときも楽しめる施設がいろいろ用意されている。達人いわく「霧の襟裳岬はどこか幻想的な雰囲気が漂っている。霧も旅の楽しみととらえて非日常的な時間を楽しんでほしいね」。なお、霧の日は入場券に「霧スタンプ」を押してもらえて後日無料で入場OK。ぜひ再訪してリベンジを!

最果てに生きる命の風景

ツリガネニンジン

  風が強く霧が多く発生する襟裳岬周辺は、その厳しい気候に耐える高山植物が数多く自生している。岬に春を告げるエゾエンゴサク、断崖の岩肌を一面の黄色に染めるエゾカンゾウ、ひっそりと咲く姿が可憐なミヤマアズマギク……荒涼とした最果ての岬に息づく小さな命は美しくもたくましく、見る者を惹き付けて離さない。

夏以降の季節はハマナスやエゾスカシユリ、ツリガネニンジンなどが見ごろを迎える。岬の遊歩道周辺でもさまざまな花を見ることができるので、カメラを片手にゆっくり歩いて探してみてほしい。

えりもに生きる人々の祈り

襟裳神楽

  襟裳岬地区には180年以上前から伝わる郷土芸能がある。襟裳神社の秋の例大祭で奉納される踊り「襟裳神楽」だ。これは、えりも沖を通る船の安全と大漁を祈願するもので、笛や太鼓、鐘のお囃子に合わせ、「笹ふり」と呼ばれるひょっとこがユーモラスな仕草で獅子を舞わせる「獅子神楽」は、北海道の郷土芸能の中でも稀少なスタイル。神輿を担いだ血気盛んな男たちが飛沫をあげながら海へ入っていく勇壮な姿も圧巻だ。

そしてもうひとつ、えりも町で大切に受け継がれている郷土芸能がある。えりも地区に入植した岩手県南部藩ゆかりの人々が故郷をしのび、南部駒踊りを思い出して踊ったといわれる「えりも駒踊り」だ。跳ね馬が飛び回る様子を表現した躍動感あふれる踊りで、えりもの子どもたちは小学校と高校の授業で全員が学ぶ。

自身も踊りを学んだ達人は「えりもの人々は祭りをとても大切にしているんだ。時代とともにコミュニティが希薄になっていく中、地域のつながりを実感できる伝統行事は町の誇りだからね」と語る。人々の祈りと絆が息づく郷土芸能。これもまたえりもならではの絶景と言えるだろう。毎年8月15日に開催される「えりも灯台まつり」はふたつの郷土芸能を一度に鑑賞できる貴重な機会。ぜひ足を運んでみてほしい。

[たびらいセレクション]

どこまでも広がるラベンダー畑…。

えりもの魅力を見て・食べて・体験しよう

まだまだあります!襟裳岬周辺の絶景3選

  神秘の湖や生命の息吹、海の恵み。夏のえりもでしか見られない風景がある。

おすすめポイント
  原生林の中にひっそりと息づく豊似湖。冬になると雪に閉ざされるため、訪れるなら湖畔まで歩いていける春~夏が良い。昆布漁に湧く浜の風景、ホタルが舞い飛ぶ悲恋沼、いずれもえりもの夏を彩る景色だ。

食べたい・買いたい・えりもグルメ3選

  2つの海流が交わる襟裳岬沖は魚介の宝庫。岬の草原で育つ短角牛にもご注目。

おすすめポイント
  えりもに春を告げるエゾバフンウニ、夏が旬の真つぶ、秋を彩る最高級のブランド鮭「銀聖」など、四季を通して海の幸が目白押し。襟裳岬の草原でのびのび育つ短角牛は低脂肪で旨みが濃く、都市圏のホテルやレストランでも人気が高まっている。

えりもの自然を満喫できるアクティビティ3選

  カヤックで海に漕ぎ出す、満天の星の下で眠る、いにしえの山道を歩く。アクティブなえりもの楽しみ方。

おすすめポイント
  日高山脈襟裳国定公園の中にあるえりも町は、ダイナミックな大自然に抱かれる町。野生のアザラシを間近に観察できるシーカヤックツアーや滞在型のキャンプ場、江戸時代に拓かれた山中の古道など、ワイルドなアクティビティも楽しめる。

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襟裳岬への交通アクセス

  札幌市内または新千歳空港からは道央道を使い、無料の日高自動車道で日高門別まで一気に移動。あとは海沿いに延びる浦河国道から襟裳国道へ、日高の牧場風景を楽しみながらのんびりと車を走らせよう。

車で

  新千歳空港から襟裳岬(約3時間半/約185キロ)
札幌から襟裳岬(約4時間/約230キロ)
いずれも道央自動車道、苫東道路、日高自動車道(無料区間)、浦河国道(国道235号線)、襟裳国道(国道336号線)、道道34号線を利用。

バスで

  新千歳空港からから浦河(約3時間半)→浦河から様似(約30分)→様似から襟裳岬(バス約1時間)
札幌から浦河(約3時間半)→浦河から様似(約30分)→様似から襟裳岬(バス約1時間)

JRとバスで

  新千歳空港から南千歳で乗り換えし苫小牧(JR普通33分)→苫小牧から様似(バス約3時間)→様似から襟裳岬(バス約1時間)
札幌から苫小牧(JR特急45分)→苫小牧から様似(JR普通3時間)→様似から襟裳岬(バス約1時間)

襟裳岬「風の館」の情報

  ◎ 襟裳岬 風の館
【住所】北海道幌泉郡えりも町東洋南東洋366-3
【開館時間】5~8月:9時~18時(9~11月・3~4月は17時まで)
【休館期間】12~2月休館・ただし1月1日「初日の出」5時~8時は開館
【入館料】大人300円 小・中・高校生200円 幼児無料
【駐車場】あり・無料

襟裳岬のQ&A

Q どんな服装で行ったらいい?
A えりもは春から夏にかけて濃霧が発生しやすいため、真夏でも最高気温は20℃前後。長袖のジャケットやウィンドブレーカーなどの羽織ものを持参することをおすすめします。襟裳岬は風が強いので、帽子を着用の際は飛ばされ防止クリップなどがあると安心です。
Q 襟裳岬で食事や買い物はできるの?
A 駐車場に隣接して「えりも岬観光センター」「えりも岬レストハウス」があります。新鮮な海鮮丼、刺身や焼き魚の定食のほか、えりも名産のつぶを使ったラーメンやカレーも人気。お土産も豊富に取り揃え、地方発送も可能です。
Q 宿泊施設について教えてください。
A えりも町の中心部に旅館が数軒あり、買い物や移動に便利です。襟裳岬周辺にはアザラシウォッチングツアーができる民宿やファームインなど、個性豊かな宿がいろいろあるほか、オートキャンプ場もあります。
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