全国初!地球環境史がテーマの「ふじのくに地球環境史ミュージアム」

静岡|【更新日】2023年8月2日

全国初!地球環境史がテーマの「ふじのくに地球環境史ミュージアム」

全国初の自然史系博物館「ふじのくに地球環境史ミュージアム」。自ら考え、学びを深めるきっかけになる博物館です。

日本一高い富士山と日本一深い湾・駿河湾のある静岡でこそ、学んでほしいことがここにあります。

展示方法がとてもユニークなので「難しいことは苦手…」という方にこそ、ぜひ訪れてほしい博物館です!

目次

全国初の地球環境史がテーマの博物館

学習机、椅子、黒板…廃校を使った展示がおもしろい!

ふじのくに地球環境史ミュージアム1

2016年に開館した静岡県立の自然系博物館「ふじのくに地球環境史ミュージアム」は、全国初の地球環境史をテーマとする博物館です。

2013年に閉校した静岡県立静岡南高校をリノベーションして作られました。

展示室には教室がそのまま使われ、学習机や、椅子、黒板など学校であった名残りを感じるものが展示に利用されています。

廃校を利用した展示方法がおもしろく、数々のデザイン賞も受賞しています。

「豊かさとは何か?」について考えることが目的

ふじのくに地球環境史ミュージアム2

この博物館のテーマは地球環境史で、「豊かさとは何か?」について考える場所です。

一般的な博物館に多い「資料を読んで学ぶ」ということよりも、「展示を材料として自ら考える」といった、きっかけを提供しています。

館内にはスタッフが巡回していて、考えるためのヒントを教えてくれますよ。

教室が展示室に!メインとなるのは10個の展示室

①人と自然の共存を考える「地球環境史との出会い」

ふじのくに地球環境史ミュージアム3

「地球環境史とは何か?」についての導入空間で、人と自然の共存について考えられます。

学び舎をイメージした黒板と一組の学習机と椅子が設置されていて、課題と向き合う様子が表現されています。

②自然の恵みと脅威は表裏一体「ふじのくにのすがた」

ふじのくに地球環境史ミュージアム4

白黒に塗り分けられた教室に、背中合わせで置かれた学習机と椅子が設置されています。

自然の“恵み”と、その裏に存在する“脅威”の両面性を考える場です。

③日本一深い湾・駿河湾のある静岡県「ふじのくにの海」

ふじのくに地球環境史ミュージアム5

約506kmもの海岸線をもち、水深2500mと日本一深い湾・駿河湾のある静岡の海。多種多様な水生生物がすみ、豊かな海の幸をもたらしています。

上下反転して組み合わせた学習机で、水面下に潜む生物の物語や不思議を考えることができる展示です。

④日本一高い富士山のある静岡県「ふじのくにの大地」

ふじのくに地球環境史ミュージアム6

東西に広がる複雑な地形・地質と高低差をもつ静岡では、多様な生態系が育まれてきました。

美術室の椅子の上には「食うー食われる」の食物網を表現していて、自分がその中の一部であることも実感します。

⑤人と自然のバランスの変化「ふじのくにの環境史」

ふじのくに地球環境史ミュージアム7

静岡に人が暮らし始めた旧石器時代以降、文明の進化と共に、人と自然のバランスは大きく変化してきました。

学習椅子で作られた天秤造作上に、人の暮らしと自然を表現しています。

⑥日本一の標高差の静岡県「ふじのくにの成り立ち」

富士山から駿河湾まで、標高差6000mを超えるさまざまな地形をもつ静岡。

学習机が取り囲む静岡県を型どったテーブルには岩石・化石が展示され、大地の成り立ちについて学べます。

⑦静岡は多様な生物の宝庫「ふじのくにの生物多様性」

ふじのくに地球環境史ミュージアム9

静岡のさまざまな自然環境は、多種多様な生物も育みます。

学習机の天板を積み重ねた上には、静岡に生息する多種多様な生物の標本が展示されており、その数の多さにきっとびっくりするはず。

⑧動物同士の繋がりがわかる「生命のかたち」

ふじのくに地球環境史ミュージアム10

まるで学校の授業風景のよう。教室に並んだ学習机には動物の骨格標本が並び、動物の繋がりを考える展示です。

教室の黒板に記入してある、「日直」の欄に注目してみてください。取材時は「人間」でしたが毎日変わるそう。細かいところまでユニークです!

⑨対話することで学びを深める「ふじのくにと地球」

ふじのくに地球環境史ミュージアム11

学習机でできた「地球家族会議テーブル」を囲んで、地球と静岡、来館者が対話する場。

ミュージアムインタープリンター(展示交流員)との約20分間のお話の時間(地球家族会議)も毎日開催しています。

⑩百年後の静岡が豊かであるには「ふじのくにと未来」

ふじのくに地球環境史ミュージアム12

心豊かに暮らすとはどういうことか…。百年後の静岡が豊かであるために、今できることを最後に考えます。

2つの学習机がC型のテーブルにより結ばれ、自然の特性と人の技術を組み合わせた、新たな解決策を展示しています。

一番最後には、「百年後の静岡が豊かであるために」という問いかけるブースを用意。自らが考えたことを紙に記入し表現できる仕組です。

博物館で働く研究員・NPOの活動を間近で見学!

ふじのくに地球環境史ミュージアム13

私が一番興味を引かれたのが、NPO研究員の方が「化石クリーニング」をしている様子を見学できる場所です。

ここはミドルヤードと呼ぶそうで、博物館の公開部分(フロントヤード)と非公開部分(バックヤード)の両方の機能を持ち合わせた場所です。

普段は見ることができないような現場を見ることができ、ワクワクしました!

見ているうちに自然と「考える」ことができる博物館

10の展示室、全体を通してストーリー性があり、最後までどんどん見進めたくなる展示内容でした。

自ら「考える」ことで印象にも残りやすく、見応えもたっぷりでしたよ。

年間を通してイベントも多数開催されているようなので、子どもから大人まで、何度足を運んでも楽しめるはずです!

「ふじのくに地球環境史ミュージアム」へのアクセス

  • 【営業時間】

    10:00~17:30(最終入館17:00)

    ※定休日:月曜(月曜が祝日の場合は次の平日)、年末年始

    【住所】静岡県静岡市駿河区大谷5762

    【常設展観覧料】300円(20名以上の団体は1人200円)/大学生以下・70歳以上は無料

    【駐車場】大型バス5台、乗用車169台

    【公式サイト】https://www.fujimu100.jp

    ※掲載時の情報です。最新の情報は公式サイトをご確認ください。

ライタープロフィール

新井夏海

新井夏海

神奈川県横浜市出身。静岡県の大学に進学し海洋学を学ぶ。卒業後は地元で海系旅行誌を発刊する出版社の編集ライターを経験。“自然のそばで暮らしたい”という思いから静岡に戻りフリーライターへ。現地の魅力を取材・執筆しながら、趣味の旅行、マリンスポーツ、キャンプ、車中泊旅を楽しむ。

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