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学校特集

関東学院六浦中学校・高等学校2020

来春「GLEクラス」新設。グローバル教育が一層アップグレード
世界標準の教育を強力に推進する一方、日本語力を伸ばす「言語力活用講座」もスタート

掲載日:2020年12月12日(土)

10年後、20年後の世界を懸命に想像し、今、生徒たちにどのような力を授けるべきかを常に考え続けている同校。日本人としての誇りは大切にしながらも、ワールドスタンダードに照準を合わせた教育内容を日々更新しています。そして、すべての力の基盤となるのは言語ですが、先駆的な英語教育に定評がある同校だからこそ、日本語教育についてもさらに力を入れ始めています。入試広報部長の野本幸靖先生にお話を伺いました。

英語教育に注力する同校が、だからこそ改めて日本語力を強化。
2021年から「言語力活用講座」がより深化

■教育大改革から7年目。発展と深化を続ける教育の中身とは?

同校が次代を見据えた教育大改革に着手して7年目。改革1期生は6年生(高3)になりました。
校長の黒畑勝男先生は、近い将来、「グローバル化」という言葉は死語になると言います。「グローバル化」が当たり前の日常になるからです。すでに世界の18歳から22歳までの若者の人口の半分が英語圏と中国語圏の人々となっている今、識字力が人生の道筋を左右したように、英語運用力が現代の識字力と言える、とも。
10年後、20年後を精一杯想像し、そこに備えるための力の種を撒き、芽を育てる。同校はそのような教育を展開しています。

関東六浦_「CLILによる英語の授業」はチーム・ティーチングで行われる
「CLILによる英語の授業」はチーム・ティーチングで行われる

その大改革の中身とは、英語力獲得を軸にしながら、実体験を通して地球市民としての知見を高め、思考力や行動力、協働力、そして創造力を培うものです。
リンガフランカ(共通語)としての英語を身につけ、世界の現実を体感しながら視界を広げていく教育を実践する同校では、英語は単なる教科ではなく「生きる力そのもの」と言います。
改革の具体的な実践例としては、「CLILによる英語の授業」や「地球市民講座」(「総合的な学習の時間」/2・3年生で実施)などがあります。 

関東六浦_3年生では個人研究の発表を行う
3年生では個人研究の発表を行う

「CLIL」とは、「内容と言語の統合型学習」と呼ばれる学習法のことで、内容を習得目標言語(同校の場合は英語)で学びながら、話題の中に出てくる英語の語彙や表現を自然に、確実に習得していくもの。
同校では日本人の先生と外国人の先生のチーム・ティーチングで行う授業が基本スタイルで、社会科学や自然科学など、扱うテーマは多岐にわたります。

そして、もう一つの「地球市民講座」ではSDGsをはじめ世界で起こっているさまざまな事象について実学的に学ぶのですが、実はこの2つの授業内容はリンクしています。教科横断的な内容を英語と日本語の両方から学ぶことで、重層的な視点を養っていく仕組みが同校オリジナルとなっています。

■ワールドスタンダードが前提だからこそ、日本語力を強化

関東六浦_関東学院六浦の「学び」のイメージ図
関東学院六浦の「学び」のイメージ図

そして今年からもう一つ、「言語力活用講座」がスタートしました(「総合的な学習の時間」/3年生で実施。来年度からは2・3年生で実施)。

その「言語力活用講座」についてご紹介する前に、右の同校の「学び」のイメージ図をご覧ください。
変わりゆく社会に向けて、どのような力を身につけさせるべきか。同校の教育の全容が歯車で表されていますが、これは校訓である「人になれ 奉仕せよ」を体現する人材を育てるため、すべてのプログラムが密接に絡み合っていることを意味するとともに、どれか一つでも動くと全体が回り始めることを示しています。
つまり、この「言語力活用講座」は、同校の教育全体の大元ともいえる「日本語力」を強化するものなのです。

野本先生:「すべてにおいて母語をしっかり使えるようになることは大前提ですから、これまでも国語の授業のほか、朝のホームルームの時間を使って新聞記事について考察したり、3年生で『文章力向上講座』などを実施していました。しかし、単に文章を「読む」「書く」だけでなく、他者の意見を聞いて自分の意見を述べるといった「聞く」「話す」力も伸ばしたいという課題もありました。ですから、この授業は実社会に即した時事問題について意見を交わすなど、日本語の4技能を教科の枠組みを超えた視点で鍛えていこうというものです。『日本語版CLIL』と言えるかもしれません。教員はテーマ選びに苦慮しながらも、生徒の意見をどう引き出すか、どのように討論させるかを考えながら授業を行っています」

例えば、『9月入学は是か非か』についてグループで話し合い、意見をまとめ、相互評価をしながら考えをシェアしていくといった授業です。書き方や表現の仕方ということも大切にしながら、それ以上に一人ひとりがテーマについて深く考え、それを他者と共有し合うことを積み重ねていくのです。
また、朝日中高生新聞の「天声人語200字作文」など外部コンテストなどへの応募も行っていますが、入選して新聞に掲載された生徒もいます。

ちなみに、この授業を受け持つのは担任の先生。そして、全体の骨格を作り、下支えしているのは国語科と司書の先生だそうです。そして、先生方の教科をまたいだ話し合いも頻繁で、情報を共有しています。

関東六浦_Chromebookを使ってのグループワークの様子
Chromebookを使ってのグループワークの様子

野本先生:「生徒同士で意見を出し合う機会が多いため、結構おもしろい授業になっていますね。また、生徒たちが1人1台所持しているChromebookを使ったグループワークも取り入れています」

生徒たちの読書量の減少が言われて久しいですが、同時に今や手紙よりもメールやラインが身近なツールであることは事実です。ただ、そこで使われる言葉は簡便で記号化されたものになりがちで、それに慣れすぎてしまうと、正しく美しい日本語から隔たってしまう懸念があると野本先生は言います。
「言語力活用講座」は、世界と関わっていくことを前提とした、日本人としての品位と教養を磨くためのものでもあるのです。

同校の教育全体の英語版ともいえる「GLE」のプログラムが
2021年度から「GLEクラス」に進化

関東六浦_「GLE」の授業では、英語でディスカッションも
「GLE」の授業では、英語でディスカッションも

多角的な英語教育、豊富な「選択制グローバル研修」、留学促進、各国からの編入生や留学生の受け入れなど、ワールドスタンダードを視野に独自のグローバル教育を推進する同校ですが、同校で実践される教育を英語版にしたものが、昨年度からスタートしたGLE(Global Learning through English)です。
現在は英語の時間のみ特別クラスを編成し、教科を横断して世界の課題についてオールイングリッシュで学ぶもので、4年生から本格的にスタートしますが、3年生に「プレGLE」も設置。どちらも参加条件は英検準2級以上の取得になります。

そのGLEが来年度からは、英語の授業に特化した形から、独立したクラス「GLEクラス」(高校)へと進化します。これまでは「スタンダードクラス」「アドバンスクラス」の2クラス制でしたが、「GLEクラス」を加えて3クラス制に。
「GLEクラス」では、「探究力」「書く力」「英語力」を強化しつつ、キリスト教精神に基づき地球規模で物事を考えられる人材を育ていきますが、カリキュラムのほぼ半数が独自科目のため、在校中にGLEクラスから他クラスへの移行はできません。

「GLEクラス」の授業例(予定)

IELTS取得のための授業をはじめ、「多文化・多言語理解」や総合的な探究の時間「アカデミックラボ」などといった世界を俯瞰する授業や、公民の「Global Events」や理科の「Global Issues」(どちらも授業は英語で実施)など、教科間でコラボする授業もあります。


野本先生:「GLEは『リンガフランカとしての英語を身につけ、より高い自己実現をする』ことが目的ですから、高校時代から世界規模の学習キャリアを積みたいという意識を持った生徒に集まってほしいですね」

今はコロナ禍にあるため新規の留学へは出発できない状況ですが、その代わりマンツーマンのオンライン英会話や、海外の提携校とオンラインでの交流を実施。そして、状況によっては「オンライン留学」の実施も視野に入れるとのことです。

コロナ禍での休校期間中からも見えてくる
同校の教育の根底にある「愛」の精神

関東六浦_同校のグローバル教育を強力に支える外国人の先生方
同校のグローバル教育を強力に支える外国人の先生方

今春のコロナ禍による休校期間中、同校では40分×4コマのオンライン授業を行い(通常の授業は45分×7コマ)、その後は各自課題に取り組んだり、自習をして「自学」のペースを作っていきました。
そして、この期間だからこそ、発見できたこともあったそうです。

野本先生:「オンライン授業はGoogle Meetを使って行いましたが、引っ込み思案な生徒に『カメラをオフにしてもいいよ』と顔を出さないことを許可したら意見を出すようになったり、Google Formsで全員が書き込む際に積極的に自分の意見を書くケースが見られるなど、休校中の副産物と言いますか、積極的に前に出ることが苦手な生徒たちの新たな側面を見ることができました。我々にとっても発見でしたが、その生徒たち自身も何らかの気づきを得たと思います」

関東六浦_全学年が一人1台Chromebookを所持
全学年が一人1台Chromebookを所持

そしてもう一つ、同校ならではの特筆すべき休校期間中のエピソードがあります。
現在は全学年がChromebookを所持していますが、休校になった時、1年生はChromebookをまだ手にしていない段階でした。このような時、連絡ツールとして家庭のPCやスマホを利用する話はよく聞きますが、同校は違いました。
全クラスの担任の先生に、携帯電話が準備されたのです。クラスの生徒たちと繋がるための専用電話として。

野本先生:「担任は常に電話をかけているような状態でしたが、みんな、通常の新学期よりも濃かったと言っています。電話でおしゃべりもしながら、趣味とか、家で犬を飼っているとか、その生徒の様子がよく把握できたと。ですから、7月に通常登校になった時、これまで会えていない関係とは思えないほどだと言っていましたね。特に1年生は話を聞いてほしくて、よくしゃべるのです。それはPCを所持するようになってからも同じで、毎日面談しているような感じだったそうです(笑)。でも、学校に行けなくても繋がっているという実感を持ってもらえたのではないかと思います」

関東六浦_毎日の礼拝を通して隣人愛が育まれる
毎日の礼拝を通して隣人愛が育まれる

ここから見えてくるのは、同校の教育の根底にある「愛」です。
「人になれ 奉仕せよ」を校訓とするキリスト教主義の同校の根幹は、自分の弱さを知り、他者を思い、そこから本当の優しさとたくましさを身につけ、社会貢献への志を育てていくこと。英語教育をはじめとする多彩なプログラムも、そのためといっても過言ではありません。もちろん、「心の教育」は校内に留まらず、世界に向けたものでもあります。
ひと手間もふた手間もかかることであっても、人と人の繋がりを最も大切にする。このような真の温かさを持っている学校であることが、同校の一番の魅力でしょう。

「本校は、マイナーチェンジを恐れない学校です」と野本先生は笑いますが、それも状況に応じて柔軟に対応する同校の教育姿勢の表れです。
独自のグローバル教育、そしてキリスト教精神に基づく「心の教育」を基盤に、新たな課題を見出し、それを解決していく「自分のロードマップ」を持たせることを目標とする同校。激変する時代の中で、変わらぬものを以て変わるべきものを見つめ、不可測な未来であっても主体的に前進できるだけの力を生徒たちに身につけさせる教育を温かく、丁寧に実践しています。

入試トピック❶
2021年入試の「算数」では、聞き取り問題も!

日本語も英語も、「言語力」の育成を重視する同校ですが、2021年度入試の「算数」では聞き取り問題が導入されます。
私たちは普段、「聞く・話す・読む・書く」という日本語の4技能を駆使しながら生活していますが、試験の定型は「設問を読んで、解答を書く」というものでした。つまり、これは旧来の形からの脱却であり、新たな試験へのチャレンジでもあります。

野本先生:「耳から入る情報もきちんと認識してほしいということは、本校が日本語の4技能を大切にしているというメッセージです。来年度から2・3年生の2学年で『言語力活用講座』を本格的に実施しますが、そのタイミングに合わせた形でもありますね」

聞き取り問題は1題。「きちんと必要な情報を聞き取れているか」「聞き取った情報をもとに正しく計算できるか」が問われます。


入試トピック❷
新たに後期日程を設置!

収束が見えないコロナ禍において、入試を受けられない受験生が出る可能性もあります。そこで、受験機会は等しく担保しようと、すでに公表済みの日程から約2週程度空けて、後期日程を設ける予定で調整中です。
●後期日程(予定)=試験日:2月20日(土)
※詳しくは同校のホームページをご覧ください。


施設トピック
2021年4月、寮が開設。一般生も、帰国生も、海外生も一緒に!

関東六浦_安心・安全な寮が来春からオープン
安心・安全な寮が来春からオープン

数年前から準備を進めていましたが、2021年4月から寮がオープンします。
入寮できるのは原則的に4年生以上の高校生のみで、帰国生や一般生のほかに、海外からの編入生や短期留学生なども共に過ごすことになります。

●同校から徒歩4〜5分の立地
●全180室(完全個室)
●朝食・夕食付き
●セキュリティーが万全(ICキーによる入退館管理システムなど)
●閉寮期間はなし(お盆休みや正月休みなどでも在室が可能)

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