隣の土地を借金してでも買った方がよい理由
2023.02.28 UP
所有している土地を活用して、マンションやビルの建築を考えているオーナーにとって、隣の土地を購入できる機会があれば見逃すことはできません。所有している土地のみでの建築計画では事業採算が合わない場合、土地の面積を増やすことで採算が改善する可能性があります。
一方、隣の土地のオーナーにとっても、第三者に売却するよりも良い条件となることが多く、隣地の売買には買う側、売る側の双方にメリットがあります。詳しく解説していきます。
Contents
1.【隣地購入】買う側のメリット・デメリット
「隣の土地は借金してでも買え」と昔からいわれるほど、隣地の購入はメリットが大きいものとされています。一方で、デメリットや注意点もありますので、それぞれご紹介します。
1-1 隣の土地を購入するメリット
「隣の土地は借金してでも買え」といわれる理由は、隣地の購入により、所有している土地も含め土地全体の活用の幅や価値が上昇するためです。
2人の土地オーナーが、それぞれの土地にマンションやビルを建てた場合、2棟の建物それぞれにエントランスやエレベーターなどの共用部や設備などが必要となります。
仮に2棟分の土地を使い、大きな1棟を建築する場合、共有部や設備を一つにまとめることで建築費を抑えつつ、レンタブル比(建物全体に対して賃貸部分が占める割合)を上げることが可能です。また、スケールメリットによる工事単価減も見込むことができます。これらにより建物の収益性や投資効率が向上します。
土地の評価は、その土地にどんな建物がどれだけ建築できるか、つまり、その土地がどれだけ収益を上げることができるかが大きく影響します。隣地購入によって、より良い建物が建築できるようになることは、土地そのものの資産価値上昇にもつながります。
図１(二つの土地に小さな二棟の建物、採算・利回りが悪い、コスト増)
図２(二つの土地に一つの大きな建物、採算・利回りが良い、コスト減)
1-2 隣の土地を購入するデメリット
隣の土地を購入すれば、その分の費用もかかります。隣地の購入にはメリットがあるものの、投資額が増えることはオーナーにとって不安要素にもなり得ます。
また、隣地がたまたま売りに出されている場合は別として、隣地のオーナーが必ずしも売却に応じてくれるとは限りません。隣地の購入ができないケースや、検討し始めてから実際に購入ができるまでに何年もかかってしまうケースもあるので注意が必要です。
2.【隣地購入】売る側のメリット
隣地の売買には、売る側にも大きなメリットがあります。
隣地の購入額を考えるとき、自身は所有地と合わせた活用を前提に隣地を評価できますが、第三者が購入を検討する際には隣地単独での活用が前提となります。この場合、前述のようなメリットがある為、第三者よりも高い条件で土地を購入してもメリットがあるケースは多いです。
隣地のオーナーとしては土地がより高く売れることで、その後の活用や組換えの幅も広がります。これが売る側にとっての大きなメリットとなります。
3.隣地を購入して建築を計画する場合
具体的に検討を進めたい場合は、隣地を購入してマンションやビルを建築する時の費用や収益などを調査・シミュレーションすることをおすすめします。これらの調査により、隣地の購入金額がいくらまでなら事業全体でプラスになるかという損益分岐点の試算が可能になります。隣地のオーナーが相場よりも高い金額提示をする可能性もありますが、損益分岐点をあらかじめ試算しておけば、購入する、価格の交渉を試みる、諦めるなどの判断がしやすくなります。
4.隣地交渉の成功率を上げるポイント
隣地購入後の土地の活用方法や購入金額の目安などプランを立てることで、より具体的で現実的な交渉が可能となります。隣地のオーナーにも土地活用プランやライフプランがあるはずです。隣地購入には双方にメリットがあるとはいえ、隣地のオーナーの判断次第であり、価格の決定権にも優位性があります。また価格を不当に吊り上げるといったことも考えられます。
プランに基づき冷静に損得の検討を行うことが隣地との交渉を成功させるためのポイントです。
また、売る側と買う側という当事者同士の交渉は、利益相反の観点で冷静な交渉がおこなえず、最悪の場合にはトラブルに発展することも考えられます。交渉する際には専門家に依頼することをおすすめします。
5.まとめ
隣地購入は、不動産売買のなかでも有益になる可能性が高いものの一つです。しかし、隣地購入にどのくらいのメリットがあり、またいくらまでなら購入する価値があるのか、自身で試算をすることは非常に困難です。
そのような悩みをお持ちの場合は、土地活用の専門家へのご相談をおすすめします。
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