ベニバナ(キク科)

ベニバナは、エジプト原産といわれ、ミイラを包んだ布にベニバナ染めのものがあったといわれる。シルクロードを通って中国に伝わり、織物技術とともに日本に伝わった。
『古事記』や『万葉集』にも登場し、江戸時代にはベニバナ栽培は一大産業に発展した。
染料や化粧品原料、食用油の原料としても有名であるが、漢方では、開花初期の管状花を紅花(コウカ)といい、瘀血(おけつ)という漢方独特の病態に用いる。
特に婦人科系の疾患によく用いられ、月経痛に用いる折衝飲、瘀血証体質を改善する通導散、さまざまな婦人科系疾患に応用される芎帰調血飲第一加減などに用いられている。
また、口紅・頬紅として用いることで、皮膚や口から紅花の成分が吸収され、婦人の健康に寄与すると考えられた。