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有限会社ナスカ一級建築士事務所
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熊本市医師会館・看護専門学校Kumamoto City Medical Doctor's Association and Nursing School

熊本県熊本市中央区本荘3-3-3

設計 古谷誠章+NASCA・中川建築設計JV
用途 事務所・専修学校
構造 S
規模 地上5
敷地 5,187.78m2
延床 7,278.07m2
竣工 2011.3
掲載 新建築2011.11、GA JAPAN110

熊本城のある市街中心から白川を渡った本荘地区には、熊本大学医学部病院を始め地域医療センター、ヘルスケアセンター、在宅看護支援センターなどさまざまな病院・診療所などが高度に集積した熊本市の医療の中核を担うゾーンを形成している。百貨店跡地のこの敷地は、道を挟んで大学病院にも隣接する文字通りその中心を成す場所にある。

市民の健康を守る医師会活動の拠点であり、また将来の看護師を志す多くの若者が集う学びの場でもある。開かれた医師会館を目指して、内部の活動が街路にこぼれ出し、また人びとを引き込む仕掛けとなるよう、接地階でもできるだけ塀や壁をつくらず、オープンな構えとした。東面は向かいの大学病院の緑を借景に、館内の各所からもその緑が視界に飛び込むようバルコニーを巡らし、アルミキャストのルーバーで視界を保ちつつ、夏場の日射遮蔽を図っている。

一方、過酷な西日を受ける西側壁面では、全体をALC版によるプレーンな外装としながら、同時に刻々変わる日差しと戯れて表情を変える、彫りの深い開口部ディテールを工夫した。

普通なら東西に長い配置とするところを、あえて南北に配置して表通りの交通騒音を緩和し、上層階の看護学校部分では、通常なら暗くなりがちな中廊下型の教室配列を、光庭の欠き取りやオープンスペースの配置などによって、明るく開放感のあるものとした。なお、内部の間仕切りはほぼすべて将来の可変性を有している。

都市医療の中核エリアに建つ医師会館として、日頃から市民が安心して暮らせるように、夜は街を照らすランタンともなって、医師会の存在を身近に感じてもらえるようなデザインを心がけた。