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「セルフモニタリング」で自分を客観的に観察!ストレスを溜め込む前に気づく方法とは?

仕事や日常会話で、相手の意図を汲み取ることに気を使いすぎて疲れていませんか。
相手の意図をうまく汲み取れず「不快な思いをさせてしまった……」という後悔から、ストレスをためている方もいるかもしれません。

今回ご紹介する「セルフモニタリング」は、日頃から少しずつ意識をすることで自身のストレス軽減やストレスに直面した際に臨機応変な対応を取ることが可能になります。
セルフケアと聞くと「自分には難しそう…」と考えがちですが、誰でも繰り返し行うことで簡単に身につけることが可能です。
自分自身と向き合うためのひとつの手法としてご覧ください。

セルフモニタリングとは

セルフモニタリングとは、自分の言動や周囲の状況、行動を客観的に観察し、自分の行動をコントロールする方法です。
耳慣れない言葉かもしれませんが、私たちも無意識のうちにセルフモニタリングを行っています。

セルフモニタリングは、ストレス対策において簡単かつ効果的な方法であることから、認知行動療法の一つとしても活用されています。
また、自ら考えて誤った方向へ進まないように軌道修正するという点で非常に有用な手法だとも言えるでしょう。

セルフモニタリングの必要性

私たちは自分自身のことは自分が一番分かっているものだと考えがちです。
しかし、忙しくて余裕がないときや気分が落ち込んでいるときなどは、落ち着いて問題と向き合ったり、冷静に判断したりすることが難しくなってしまいます。
普段は周囲への観察力が鋭い人でも自分にとって辛い出来事が起こった場合には問題解決力や判断力が鈍り、それがストレスにつながります。

日常生活においてセルフモニタリングを取り入れることで、過度なストレスが生じた際にネガティブな思考にならず、落ち着いてどう対応すべきか自己分析ができるようになります。
セルフモニタリングは、日常だけでなく業務においても有効です。
これから繁忙期を向かえる部署長や仕事に悩んでいる方は、是非参考にしてみてください。

セルフモニタリング能力の高い人と低い人

セルフモニタリングは簡単に身につくとお伝えしましたが、元々持ち合わせている能力には個人差があります。
セルフモニタリング能力の高い人・低い人の特徴は、下記の通りです。

セルフモニタリング能力高い人の特徴
・自分自身を客観的にみて冷静に自己分析できる
・人の気持ちを汲んで行動できる
・学習能力が高い

セルフモニタリング能力低い人の特徴
・自己中心的
・ネガティブ思考

しかし、元々の能力に違いはあれど、周囲の状況や考え方、捉え方を少し変えることで、誰でもセルフモニタリングを身につけることができます。
では、実際にストレスを抱えた時にどうやってセルフモニタリングを進めていけばよいのでしょうか。

セルフモニタリングの進め方

セルフモニタリングと聞いても「具体的に何をすればいいの?」と思うかもしれません。
そこで今回は、セルフモニタリングで大切な5つのポイントと方法についてご紹介します。

まずは日常生活を振り返り、これまで上手くいかなかった出来事と改善のために自分がした行動を思い出してみましょう。
時間が経ってしまうと「大した出来事ではなかった」と思ってしまいがちですが、実は大きなストレスがかかっている可能性があります。
ここで大切なのは、「自分が体験した出来事のなかで何が原因となってストレスを感じているのか」について自分自身で気がつくことです。

次に、以下の5つのポイントについて考えてみましょう。
頭のなかで想像することも大切ですが、紙に書いたり、人に話したりすると出来事がより鮮明に思い出され、自分のなかで再認識できるのでおすすめです。

① 何にストレスを感じたか(状況、事柄)
② ストレスを感じたときに思ったこと(認知)
③ ストレスを感じたときの気分(感情)
④ ストレスを感じたときの身心的反応(不調の表れ)
⑤ ストレスを感じたときに起こした行動(とれなかった行動を含む)

わたしたちの日常で起こっているセルフモニタリング

私たちの生活のなかで起こり得る状況から、セルフモニタリングの具体例について考えてみましょう。

セルフモニタリングの具体例

会社で小さなミスにより上司に叱られた。
「なんでこんな小さなミスに気がつかなかったのだろう……」「次はもっと頑張らなきゃ」と自分に対しての情けなさから自信を無くし、周囲の人にも相談もできない。
再び上司から叱られるのではないかと思うようになり、仕事のことを考えると胃が痛くなったり、食欲がなくなったりするようになった。
しかし、上司は自分のためを思って説教してくれたとプラスに考えることによって仕事への不安感を少し払拭できた。

セルフモニタリングの内容

上記の例を5つのポイントに分けて考えてみましょう。

① 何にストレスを感じたか(状況、事柄)
・上司に叱られた
・周囲の人に相談できない
・また叱られるのではないかと失敗を恐れるようになった

② ストレスを感じたときに思ったこと(認知)
・なぜこんなに小さなミスに気がつかなかったのだろう
・次はもっと頑張らなければいけない

③ ストレスを感じたときの気分(感情)
・自信喪失
・情けない

④ ストレスを感じたときの身心的反応(不調の表れ)
・胃痛
・食欲不振

⑤ ストレスを感じたときに起こした行動(とれなかった行動を含む)
・プラスへの思考転換

これら5つのポイントを具体的かつ客観的に考えることで、自分がストレスを感じたときにどのように状況を処理しているかを把握できます。
人がストレスを感じたとき、何気なく感じている不安や身体に起こる症状について後から振り返ることはなかなかできません。
むしろ忘れてしまいたいと思うことが多いでしょう。
しかし、①~⑤の全てをバランスよく振り返ることで、自分がつまづいている部分に気がつくことができるため、今後の対策を考えるうえで非常に役立ちます。

セルフモニタリングをすることで得られる効果とは

では、セルフモニタリングによって自己分析を行うことでどんなメリットがあるのでしょうか。
ストレスを感じたときの思考や気分、行動を日記やSNSなどへ具体的に記録することで、自分の足りない点や苦手な部分が明確になります。
また、セルフモニタリングによって自身のストレス問題と向き合い、適切な対応を行っていくことで、ストレスマネジメント能力が向上していくでしょう。

ストレスとの向き合いかたを把握し、それが成果へとつながれば行動継続への意欲になります。
セルフモニタリングを繰り返し、自信を積み上げることでパフォーマンス力が高まり、ミスも減っていくでしょう。

以上のメリットから、セルフモニタリングは自身の行動変容への意識づけに有効な方法であると言えるでしょう。

まとめ

セルフモニタリング能力が高い人は、「自己分析力」に長けている傾向にあります。
自己分析能力が高ければ高いほど、自分自身を客観的にみて冷静に判断・振り返りができます。
また、人の気持ちを察した行動が取れたり、再びミスを犯さないように行動を変えたりすることも可能です。

セルフモニタリングは簡単ではありますが、意識していないとなかなかうまくいかず、何気ない日々のストレス蓄積にも関わってくるでしょう。
また、日常的な意識づけを行うことで自身のストレスパターンを把握し、パフォーマンス力や生産性の向上へとつなげることが可能です。
5つのポイントを押さえて、セルフモニタリングをストレス対策のひとつとして取り入れてみてはいかがでしょうか。

DL

執筆者

【アナリスト】押切 愛里
【職位】アナリスト
【コメント】前職で一緒に働いていた上司や同僚がメンタルヘルスに陥っている状況で私自身「改善する方法はないか」「何かしらサポートしたい」と思い、現在は「職場環境改善に効果的な情報」や「ストレスチェック結果から判明した最新情報」を中心に分析・発信しています。今後も多くの人がいきいきと元気に働ける職場づくりをモットーに役立つ情報をお届けします。

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