Vol.65 金子貴俊さん

アウトドアから茶道まで、デビュー当時から多彩な趣味を持つ金子貴俊さん。興味の方向やライフスタイルの変化が、住む家にも反映されるといいます。不動産購入は、生活に張り合いが出て、仕事のモチベーションも上がると語る現在まで、「住みたい家」の選び方を伺いました。

趣味と居心地の良さにこだわった、独身時代の家づくり

18歳で事務所に入った当時は寮で暮らしていましたが、映画『ウォーターボーイズ』が決まった頃に1Kのマンションに引っ越しました。そんなに広い家ではありませんでしたが、初めての自分の“城”です（笑）。ベランダにラティスを設置して、人工芝を敷き、バーカウンターを作ったりしました。賃貸だったので置くだけ、でしたけど。その頃、家にこもってアート作品を作るなど、クリエイティブな作業をすることが多かったので、少しでも居心地の良い家にしようと、DIYでささやかな空間づくりをしていたんです。
その後、テレビ番組の企画で引っ越しをすることになり、1LDKに住み替えました。愛犬と一緒に住めることを条件に、いくつか物件を見た中で「ここだ！」と決め手になったのは、お風呂にテレビがついていたことと、キッチンが充実していたこと。お風呂が大好きな僕にとって、「テレビが観られるの？バスルームで？！」と舞い上がり、大きな寸胴が2つ置けるガスコンロも魅力でした。料理が好きで、当時は豚骨からスープを取った自作のラーメンを、事務所のスタッフや友人に振る舞っていたんです。リビングも広くなったので、よくスタッフさんを招いては、ちょっとしたホームパーティーを開いていました。
ちょうどカフェが流行り始めた頃で、白い壁に合わせて家具は白系で統一し、カーペットに赤やオレンジを取り入れたりして、カフェをイメージした部屋づくりをしていました。高校生の頃から、壁一面に貼った写真に文字を書いてブラックライトで光らせるなど、家を自分好みの空間にすることはよくやっていたんです。子どもの頃、秘密基地に好きなものを集めていた延長かもしれませんね（笑）。ここでの暮らしは本当に充実して楽しかったですね。
一方で高校生の頃から一人暮らしをしていたので自分の家が欲しい！という気持ちは強かったかもしれませんね。早いうちから生活の土台として家を買うことを意識していたので、がんばって頭金を貯め、20代後半で初めて家を買ったんです。お金を貯める間にもネットやチラシで不動産情報をたくさん見ました。仕事柄、立地を優先して物件を絞りながら、愛犬に負担がかからないこと、広さが十分なリビング、万全なセキュリティなどを条件に探していたら、ついに満足のいく物件と出合い、新築マンションを35年ローンで購入しました。憧れていた自分の家です。

“自分の家”から“家族の家”へ。ライフステージが反映される家選び

新築は完成前に買うことになるので多少の不安はありましたが、それよりも一から自分好みの家づくりができることが楽しかったですね。専門業者さんと相談しながら、間取りに合ったオーダー家具をコーディネートできるオプションが付いていたんです。打ち合わせをして、一緒に店舗を回り、いろんな家具を見るのが、もう楽しくて。
その時にこだわったのは、調光できるダウンライトと、リビング用のオリジナル家具です。当時は音楽を聞くのが好きでターンテーブルを持っていたので、テレビボードにもなるしDJブースにもなる、壁一面の家具を作り付けにしました。その前に置くガラステーブルは、半月型のものを2つオーダーして、あえてちょっとずらして置いたり…。おしゃれでしたよ（笑）。床はチェリーの天然木を使ったフローリング。調理台は、一般的な高さだと低いので、料理する時などに前かがみにならなくて済むように高くしてもらいました。20畳ぐらいのリビングもあって、1人暮らしには十分な広さでしたし、こだわりの家づくりができて、とても満足した初購入でした。
2年ほどそこに住んだ頃、結婚を視野に入れて2人で住める家に引っ越すことになりました。こだわっていたマンションを新たに購入したのは以前より部屋数も増えたマンション。この部屋は自分のこだわりというよりも「2人で暮らす家」を意識して、広さや立地、設備など実用的な条件を優先しました。そこで暮らす間に、結婚し、子どもが2人生まれて4人家族になりました。夫婦2人の時はそんなに変化はなかったんですが、やはり子どもが生まれるとライフスタイルも、生活用品の優先順位も変わってきます。家電量販店のオーディオコーナーに通い詰めて選んだ大きなスピーカーは手放し、半月型のガラステーブルも子どもがいると危ないので今はありません。逆に、今ハマっているアウトドアやキャンプの道具は増えています。趣味が「自分のため」から「家族と楽しく過ごす」ものに変化して、家の中のものが置き換わりましたね。
家に求めるものも子どもを中心に考えるようになり、環境を整えるために引っ越して、今住んでいる家に落ち着きました。子どもと暮らす家で大事にしているのは、暮らしやすさ。リビングから見える空間で子どもたちが並んで勉強できるように、デスクをオーダーメードしました。お風呂にテレビはないですよ（笑）。その代わり、欲しいと思っていたスチームサウナがあります。お風呂の楽しみ方も変わりました。

情報収集は幅広く綿密に。家を買う時は将来の価値を考える

結婚してからは、家具やインテリアを妻と相談して決めています。仕事で行ったモロッコのホテルが、アフリカとフランスのテイストを織り交ぜたような雰囲気でいいなと思い「引っ越したらアフリカンモダンな感じにしたいんだけど」と提案して、今の家で取り入れることになりました。
物件を決める時も、「こんな間取りがいいよね」「こんな家はどうだろう？」と、何件も妻にプレゼンしました。そのためにたくさん物件情報を見ますし、そうすると必然的に相場がわかってくるんですよ。周辺の地価や相場の上昇率も見るので「今この価格で買っても、将来的に損はしない」ということまで説明できるんです。実際、住んでいる間に価格が上がりました。
僕、これまで不動産売買で苦労したことって、ないんです。あえて挙げるなら、1軒目を買った時にローン返済額を高めに設定してしまったことぐらい。結婚する時に買ったマンションは、サブプライム危機で価格が下がっていたので、いいタイミングでした。狙っていたわけではないのですが、いつも不動産とはいい出合いがあるんです。情報収集と分析をかなりしているので、そのおかげかもしれません。
引っ越したいと思ったら、とことん調べて「この場所に住むなら、購入と賃貸でどちらが損しないか」と考えるんです。これまでの経験から、都心であればそうそう値崩れすることはないと思っているので、当時の年齢で考えると僕個人の考えとしては「家賃を払うよりは買ってしまったほうがいい」になるんですよね。いきなりハイグレードを求めるのは無理ですけど、例えば1部屋増やそうという時、将来的に価格が下がらない物件を選ぶようにする。住んでいる間にその物件の価値が上がれば、売る時に売却益を次の家の頭金にできるので、徐々に家を大きくしていけるんじゃないかと思っています。
ふだんからネットの不動産情報をよく見ているんですが「こんな家に住みたいな」と眺めるだけでもワクワクします。好みの家づくりをしたり、相場を調べたりすることも含めて、家は買ったほうが面白いし、生活に張り合いが出て仕事のモチベーションも上がると実感しています。今は仕事で地方に行くことも多いので、田舎暮らしにも憧れて、現地の不動産情報をずーっと見ちゃいますね（笑）。