小谷実可子SD、東京五輪救った“鶴の一声” トラックの騒音に悩む屋外競技に「君が言うならと…」

[ 2023年7月18日 15:51 ]

小谷実可子氏
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 1988年のソウル五輪シンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング)で銅メダルを獲得し、「世界水泳福岡2023」の同種目の解説を務める小谷実可子氏(56)が、18日放送のテレビ朝日「徹子の部屋」(月~金曜後1・00)に出演。東京五輪の思い出を振り返り、今だから話せる“秘話”を明かした。

 21年に開催された東京オリンピック・パラリンピックで、競技大会組織委員会のスポーツディレクターを務めた小谷氏。スポーツ庁長官に就任する室伏広治氏の後任として、大役を果たした。

 SDとしての仕事の苦労を語ると、司会の黒柳徹子から「でも、あれでしょ。そういう時に『小谷実可子』っていうお名前は、やっぱり有力じゃないですか?」と問われた小谷氏。これに対し「小谷実可子と言いますか、やはりオリンピアン、アスリートだったということで…」と、メダリストの肩書きが大会を大きく動かしたという出来事を振り返った。

 小谷氏は「実は…」と切り出し、海の森水上競技場で開催されたボート競技にまつわる裏話を告白。「屋外だったので近くの道路を通るトラックがスピードを出して走ると、コーナーを曲がるときに、ガガーンっと音がするんです。一生をかけてそのレースに最善のスタートをしたいと思って集中しているときに、近くの道路でトラックがガガーンと音を立ててしまうと、間違ってスタートしてしまったり、影響を及ぼすんです」と、近くの道路を走るトラックの大きな音が、競技に与える影響を懸念していたと告白。

 「何とかトラックを止めたいということで、私がスポーツディレクターになる前からいろんな策を講じて、『スローダウンしてください』と看板を出したりとか、『ここは競技場です』とかいろいろやっていたんですけれども、どうしてももう一押ししたい」という思いから、小谷氏が「警備の一番トップの人に、“これは凄く大事なことなんです。アスリートにとってはスタートの一瞬で人生が変わるんです”ということを説明して訴えた」という。

 小谷氏の訴えを聞いた職員は「じゃあ、何とかしなきゃいけないね」と立ち上がり、もう一度この問題に対して真剣に取り組んでくれたと回顧。「試合の時には標識車という、白黒のパトカーに赤い警告灯がついた車を配置してもらえることになって」と、自身の一言で大きく前進したことを明かした。

 小谷氏は、この時の担当者から「君の一言で…やっぱり君に言われたら、何かできることはないかなって思ったよ」と言われたと振り返り、「やはりスポーツを知っているオリンピアンとして、アスリートの気持ちとか、そういう一瞬・一秒が大事なんだということを言えたことで、何かが動いたのだとしたら、それはありがたいこと」としみじみ。「こうやって一つの競技を円滑に安全に運営するために、いろんな人がいろんな力を貸して、知恵を寄せ合っているんだなということを、改めて学ばせていただいた瞬間でした」と、充実ぶりをうかがわせた。

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