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メッシ“最後の栄冠”優勝トロフィーを我が子を抱くように仲間の元へ

[ 2022年12月19日 03:51 ]

FIFA W杯カタール大会決勝   アルゼンチン3―3フランス ( 2022年12月18日    ルサイル競技場 )

優勝トロフィーを高々と掲げるメッシとアルゼンチン・イレブン(AP)
Photo By AP

 メッシMVP!サッカーのFIFAワールドカップ(W杯)カタール大会決勝が18日に行われ、アルゼンチン代表がフランス代表に3―3(PK戦4―2)で勝利し、36年ぶり3度目の優勝を果たした。FWリオネル・メッシ(35=パリSG)はPKによる先制点を挙げるなど貢献。延長戦では値千金のチーム3点目を決め“最後のW杯”となる5回目の出場で悲願の初優勝を手にした。

 歓喜の表彰式。主役はもちろんメッシだった。名前を呼ばれると大歓声が上がり、お決まりの「メーッシー!」コール。大会MVPに輝いたアルゼンチンの英雄は、満面の笑みでスタジアムを360度見渡し、拝むようなポーズをサポーターに向かって返した。

 そして待ちに待った瞬間がやってきた。優勝トロフィーを手渡されたメッシは我が子を抱くように仲間の元に。そして祝福の金の紙吹雪が舞うと、欲しくてたまらなかったジュール・リメ・トロフィーを天高く突き上げた。

 “神の子”ディエゴ・マラドーナ氏がW杯優勝トロフィーを掲げてから36年、アルゼンチン国民が待ち望んだ3度目の栄光をもたらしたのは、同じ“神の子”メッシだった。

 バロンドール(世界最優秀選手)最多受賞7回、欧州CL優勝4回、スペイン1部得点王8回など欧州で数えきれないほどのタイトルを手にしてきたメッシだったが、アンダー世代では北京五輪優勝などを飾るもA代表としては一度もタイトルが獲れず。14年W杯ブラジル大会では決勝(ドイツ●0―1)で敗れるなど“アルゼンチン代表では輝けない”と周囲から言われ続けてきた。

 しかし、風向きが変わったのは昨年7月の南米選手権。4得点5アシストの活躍でチームを93年以来11大会ぶりの優勝へ導き、大会MVPも獲得。メッシは試合後、仲間と抱擁を交わしながら感極まって涙を流し「悲しい思いをしてきたけど、いつか優勝できると思っていたよ」とA代表での初タイトルに喜びを爆発させた。そして、これが14年W杯決勝でドイツに敗れたマラカナン競技場で宿敵ブラジルを破っての優勝という巡り合わせに「神様がこの瞬間を取っておいてくれた」とコメントした。

 それでもアルゼンチン国民にとって最も熱望していたのはW杯のタイトル。そしてそれこそが唯一メッシが手にしていない“最後の栄冠”となった。

 大会の個人表彰はヤングプレーヤー賞はアルゼンチンのエンソ・フェルナンデス、ゴールデングローブはアルゼンチンのエミリアノ・マルティネス、ゴールデンブーツはフランスのキリアン・エムバペが受賞した。

 激闘の120分、そしてPK戦を制し仲間と抱き合うメッシの目に涙はなかった。スタンドで歓喜の涙を流す母国サポーターの大歓声にも笑顔で手を振り応えた。しかし、やはり悲願のワールドカップ優勝は格別だった。仲間の、そしてサポーターの歓喜の涙を笑顔で眺めながら、メッシの目にも熱いものがこみ上げてきた。数々のタイトルを手にしてきたメッシに“唯一”足りなかった「W杯優勝」の栄冠を、ついにつかんだ。まさにメッシのメッシによるメッシのためのW杯2022。35歳のスーパースターは数々の記録を刻み、カタールの地で世界一に輝いた。

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