森進一 収録9時間12曲熱唱の永久保存特番 「ファンに喜んでもらえればうれしい」

[ 2023年7月14日 07:50 ]

番組収録終了後に明るい笑顔を見せる森進一
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 【牧 元一の孤人焦点】BS-TBSの特別番組「熱唱!森進一 心を揺さぶる魂の歌声」(18日後9・00~10・54)に出演した歌手の森進一(75)が収録後にインタビューに応じ、番組への思いや歌との向き合い方などについて語った。

 ──番組の収録が9時間にも及びましたが、感想はいかがですか?
 「こんなに長くなるとは思いませんでした(笑)。こんなに素敵な番組を作っていただいて…。最初に番組の話を聞いた時は『本当かなあ?最後に何かやってやろうということなのかな?』と思ったくらいなんです。これでファンの方々に喜んでもらえればうれしいです」

 ──歌った曲数はゲストの前川清さん、市川由紀乃さんとのデュエットも含めて計12曲になりました。
 「こんなにテレビで歌ったことはありません。フルコーラスですから重量感がありました。ここ2、3年はほとんど歌っていなくて、今年歌うのも初めてだったので、ちょっと自信がなかったんです。ダメだったらどうしよう、やるだけやろう、と思って歌い始めましたが、うまくできて本当に良かった(笑)」

 ──ファンの方々にとっては永久保存版になるのではないでしょうか。
 「本当にファンの方々が作ってくれたヒット曲ですからね。僕のファンには高齢者の方が多くて、高齢となれば、これからのことよりも思い出で生きているという方が多いらしくて、みんなで集まって昔のビデオを見たり昔話をしたりして楽しんでいるという話をよく聞きます。だから、この番組を見てもらって、気持ち的に若返って、お元気になっていただけるといいと思います。僕自身、昔の曲はここ3、4年歌っていなかったので、とても新鮮でした。全ての曲を昔と同じように歌ったつもりです」

 ──前川さん、市川さんとのトークがとても弾んでいました。
 「テレビでこんなに深く話したのは初めてです。僕は元々、トークが苦手なので、昔のことをよく知っている前川さんがいてくれたおかげです。長い間にいろんなことがありましたから、ひとつひとつ話せば、こんなもんじゃ足りないですけど(笑)」

 ──番組では新曲「厚化粧の女」(作詞、作曲・森進一)も披露します。
 「新曲は毎回、『これが最後かな』と思っています。これが最後になるかもしれないと思いながら、その時の自分の思いを込めて、やりたいように音楽を作っています」

 ──新曲の作詞では作家の林真理子さんや小池真理子さんの小説を読んで参考にしたそうですね?
 「歌を作る時、読んでみようと思いました。お二人は、女性の心を小説に書いていますから。以前は、そういうことはしていませんでした。例えば『昭和・平成・令和を生きる』(作詞、作曲・森進一)は自分で『人生はどうだろう?』と考えて、ああいう詞にして、ああいう曲をつけました。今は作家の先生も若いし、演歌を作ると言っても、昔のものまねのようなものになりがちです。時代背景が違うから、今の若い人には演歌は作れないんじゃないですかね」

 ──新曲のレコーディングでは、あらかじめ録音した伴奏で歌うのではなく、歌と伴奏を同時録音したそうですね?
 「同録すると『今、何が主か』ということが分かります。多くの音を一緒にしてしまうと歌の本質が伝わりにくくなります。演歌は特に歌詞が大事だから、そこに気をつけなくてはいけません。だから、アレンジャーに『この歌詞の時は音で邪魔しないでほしい』と話したりしながら作りました。家族の会話でも『お父さんが話している時は黙ってなさい』とか言うでしょう?(笑)音楽もそうじゃないと伝わらないんじゃないですか」

 ──2年後に60周年です。
 「それはどうでもいい(笑)。古いからいいということではないですから。下っていく時には足もとが大事です」

 ──最後に、ファンの方々へのメッセージをお願いします。
 「これまで応援してくれた方々に感謝しています。僕自身もたくさん思い出を作ってもらいました。今日も昔の映像をたくさん見て、自分がやったことを思い出しました。ファンの方々にこの番組を見ていただき、若い頃のことを思い出して元気になっていただくことが僕の一つの望みです(笑)」

 この番組の魅力は三つ。フルコーラスの熱唱の数々、踏み込んだトークの数々、TBSが所有する秘蔵映像の数々だ。トークでは1973年に亡くなった母親や長男でロックバンド「ONE OK ROCK」のボーカルとして活躍するTakaへの思いなども語っている。インタビュー時の森は9時間にも及ぶ収録の後だったにもかかわらず元気いっぱい、笑顔の連続だった。番組の映像には、そんなエネルギッシュな姿が表れている。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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