二宮愛　「UTAGE！」出演　テレビでの歌唱は「全て詰め込む気持ちで」

[ 2022年9月2日 08:00 ]

　【牧　元一の孤人焦点】シンガー・ソングライターの二宮愛（32）が1日放送のTBS「UTAGE！」に出演した。

　二宮は名曲をカバーするYouTubeチャンネルの登録者数が18万9000人を超える人気歌姫。番組では出演者たちのメドレーの中でサザンオールスターズ「真夏の果実」、絢香「三日月」をソロ歌唱したほか、アカペラコーナーでOfficial　髭男dism「宿命」、本人たちとのコラボコーナーでLittle　Glee　Monster「世界はあなたに笑いかけている」を歌った。

　二宮は「リトグリさん本人たちとのコラボはプレッシャーがありました。声が私より高いので、追いついていくのに必死でした。2、3回合わせてから本番に臨んだんですけど、本番がいちばんうまくいって良かった。お互いに合わせに行く気持ちを持っていたからだと思います。私は普段、YouTubeで歌う時、ハーモニーも自分で作って自己完結しているので、ご本人たちと一緒に歌うことができて楽しかったです」と振り返る。

　「真夏の果実」は、昨年8月にカバーした動画を自身のYouTubeチャンネルで公開しているが、今回の歌い方は全く違うものになった。

　「YouTubeではイントロからアウトロまでで一つの物語として完結させています。今回はテレビサイズだったので、ストーリーテリングは大事にしながらも、どれだけ短い時間に曲の良さと自分の声を生かす歌い方ができるかということを考えました。分かりやすい言い方をすれば、YouTubeより今回の方がパワフルに聞こえると思います。ただ、ずっと声を張ったままだとうるさくなってしまうので、抜きどころを見つけて、抜いたり押したりしました」

　同じ曲でも時と場合によって歌い方を変えるところに熟練の技を感じさせる。

　「テレビは『つまらない』と思われたら、すぐにチャンネルをかえられてしまいます。歌う側としては曲の物語の中にサイドストーリーを盛りこみたいけれど、それをやると、見ている人に『この人、何やってるんだろう？』と思われてしまう。テレビでは、興味を持ってもらえるようなことを全て詰め込もうという気持ちで歌っています」

　2014年に「UTAGE！」に初出演して以来、準レギュラーとして出演を重ねてきたが、共演したシンガー・ソングライターの徳永英明に番組の中で歌唱力を認められたことが、自身の歌をさらに発展させるきっかけになったという。

　「私の父が、徳永さんの歌が大好きだったので、その時の番組を見て感動したんです。私は、徳永さんのような大御所と同じ現場で歌うのだから、もっとうまくならないとダメだと思いました。100点をもらったからこそ、次のステップに行かなければいけないと考えたんです」

　今月26日にデビュー10周年を迎える。

　「いろんなことをやってきました。コラボやフィーチャリング、アニメの挿入歌を作って歌ったり、歌詞やコーラスを提供したり、ドラマやミュージカルに出演したり…。アルバムのリリースは少ないんですけど、表だった仕事ではないものをずっと続けて来たおかげで、いろんなことを学べて、今の私がいるんだと思います。自分の自信になる10年でした」

　11月25日には7インチ・シングルレコード（EP）を発売する。自身のYouTubeチャンネルで歌ったマライア・キャリー「恋人たちのクリスマス」とダニー・ハサウェイ「ディス・クリスマス」を収めたものだ。

　「1発録りがEPになります。それくらいのクオリティーのものをYouTubeでやっているんだという自信になりました。ジャケットのデザインもこだわったので楽しん頂けると思いますし、歌を聴いてハッピーな気分になって頂けると思います」

　現在、複数のオリジナル曲を製作中。発表の時期は未定だが、11年目の活動の太い柱になりそうだ。

　「YouTubeで18万人を超える方々に登録して頂いたことが自信になって、またオリジナルを書こうと思いました。11年目は自分の中身をさらけ出す、良い意味でナイーブな年になると思います。これからオリジナル製作に集中したくなる時が来るかもしれないけれど、カバーを待ってくださる方々がたくさんいらっしゃるので、YouTubeもずっと継続していくつもりです」

　そして、オリジナル製作の先に、ファンが待ち望むコンサート開催が見えてくる。

　「カバーだけのコンサートは私の生き方に合いません。オリジナルを持って、良いコンサートができるように、今、必死に準備中です」

　YouTubeやテレビとはまた違う歌を聴かせてくれるその時が待ち遠しい。

　◆牧　元一（まき・もとかず）　編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。