小川直也氏 息子のためにつくった道場 壁に飾られた数々のメダルの真ん中が「空いている」ワケ

[ 2021年8月24日 08:30 ]

小川直也氏
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 92年バルセロナ五輪・柔道男子95キロ超級銀メダルの小川直也氏(53)が、23日深夜放送のカンテレ「こやぶるSPORTS超」(月曜深夜0・25)に出演。柔道指導者としての思いを語った。

 小川氏は96年アトランタ五輪後に引退し、プロレスラーに転身。そのため同年に生まれた長男・雄勢(25=パーク24)は、父の柔道家としての戦歴を知らずに育った。だが、小学生の時、図書室で古賀稔彦さんの本を読んでいたら、その中に父が登場したといい、帰宅するやいなや「お父さんって、柔道やってたの?古賀さんの本見たら、お父さんのこと載っていたよ」と話し、柔道をやりたいと言い出したという。

 この一言で、小川氏は神奈川県茅ヶ崎市に「小川道場」を設立。06年から道場を開き、格闘家をしながら指導も始めた。「子供の言った一言から引き込まれてますね」という小川氏は、18年に格闘家を引退した後は、道場での指導を中心に長男の専属コーチを務め東京五輪も目指した。惜しくも今回は代表入りできなかったが、雄勢は17年グランドスラム東京大会の100キロ超級で優勝するなど着実に成長している。

 現在、道場には100人ほどの門下生がおり、高校3冠を達成した有望株もいる。その道場の壁には、これまでに獲得したメダルが飾られているが「真ん中」にはあえて何も飾っていない。

 「自分がたどり着けなかった金メダルを、教え子達が完成させてくれれば、と。夢を持って何でも進んでほしい。夢を持たないと何も始まらないので」

 小川道場での指導は技だけでなく、むしろ礼儀作法や心を鍛えている。負けても卑屈にならず、「失敗はいくらでも取り返せる」と子供たちの背中を押す。「親御さんも託して、僕に預けてくれる。預けてもらった以上は、自分の子どものように育てたい。責任を持ってやらないといけない」。いつか、雄勢を含めた門下生の誰かが、金メダルを持って道場に来るのを楽しみにしている。

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2021年8月24日のニュース