元NPB審判員 「岡田ルール」MLB導入は映像による判定検証拡大が要因 今後新たな「逆輸入」あり得る

[ 2024年3月12日 02:30 ]

8月18日のDeNA戦で審判団に抗議する岡田監督(右)
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 プロ野球で昨年9月から運用が始まった判定基準の「ブロッキングベース」が、今季から大リーグでも導入されることとなった。日本野球機構(NPB)の森健次郎審判長(60)が11日、明かした。大リーグが日本球界の基準を取り入れることは初めて。守備側の走塁妨害について阪神・岡田彰布監督(66)の訴えから採用され、通称「岡田ルール」とも呼ばれ、画期的な米球界への“逆輸入”となった。

 【記者の目】11年から16年までNPB審判員だった記者は、16年1月にフロリダ州のMLB審判員学校に留学し、当時NPBに輸入間近だった選手の衝突を防止する「コリジョン」の知識を持ち帰った経験がある。不変だった米国から日本への動きに変化が起きた。なぜMLBは動いたのか。映像による判定検証の範囲が広がったことが要因にある。

 送球を受ける守備者と走者において、従来は故意に相手を妨害した場合以外、対等な関係で守備妨害も走塁妨害も適用しなかった。ただ以前から守備者が走路をふさいでしまうケースがあり、走者からはクレームが出ていたが、「ブロッキングベース」は昨秋まで導入されてこなかった。審判員はアウトかセーフかを見極めることに精いっぱいで、双方の動きまで正確に確認する余地はなかった。

 だが、リプレー検証の範囲が広がった現在では違う。「映像の力」により守備者と走者が衝突に至るまでの動きを鮮明に追えるようになった。故意ではない不可抗力の「妨害」による不利益を取り除くことができる。選手の安全に配慮した規則改正を行ってきたMLBも、NPBの改革に乗ってきた。映像の力も考慮した新ルールであれば、今後も「逆輸入」はあり得る。(元NPB審判員、アマチュア野球担当キャップ・柳内 遼平)

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