ドジャース・由伸 オープン戦初登板初先発!“消える魔球”で世界一レンジャーズ圧倒2回零封

[ 2024年3月1日 01:30 ]

オープン戦   ドジャース4―6レンジャーズ ( 2024年2月28日    サプライズ )

<レンジャーズ・ドジャース>初回、セミエンから三振を奪う山本 (撮影・白鳥 佳樹)
Photo By スポニチ

 ドジャースの山本由伸投手(25)が28日(日本時間29日)、レンジャーズとのオープン戦で初登板初先発。最速96マイル(約154キロ)を記録するなど球威、制球ともに抜群で2回1安打無失点、3奪三振と快投した。先輩の大谷も見守る中で昨季ワールドシリーズ(WS)を制した打線を圧倒。投手史上最高額となる12年総額3億2500万ドル(決定時約462億円)で契約した右腕が、まずはその実力を見せつけた。

 昨年まで3年連続で沢村賞に輝いた日本のエースも、さすがに緊張したのか。2回2死。昨季14本塁打の6番タベラスをスプリットで空振り三振に斬った山本は、なぜか再びマウンドに戻ろうとした。出場予定がないにもかかわらず、敵地に駆けつけた大谷はベンチで右手を掲げ「戻ってこい!」のポーズ。すぐにきびすを返し、苦笑いでベンチに戻った。

 「ちょっと迷った。3アウトかなと思ったけど、雰囲気が違ったので間違ったかなと思って(マウンドに)戻ったら間違っていた」

 最後はオチがついたが昨季のWSを制した強力打線を2回無失点に封じた。初回先頭で昨季29本塁打、100打点でMVP投票3位だったセミエンはこの日の最速である96マイル(約154キロ)の直球で空振り三振。直後に中前打を許したが、次打者を三ゴロ併殺打に仕留めると2回は2三振も奪った。圧巻のオープン戦初登板初先発でファンから拍手を浴び「落ち着いて投げられた。本当に野球を楽しめている」と笑顔。大谷から「まずまずだな」と声をかけられたことも明かし「まさか見に来てくれると思わなかった。凄くうれしかった」と感謝した。

 捕手とのサイン交換「ピッチコム」、投球間の時間制限「ピッチクロック」を実戦で初体験も、19球中、16球がストライクだった。特に切れ味鋭い変化球が注目を集め、地元テレビ中継局はスプリットを「disappear(消える)」と表現。試合前に通算225勝を誇る09年サイ・ヤング賞右腕グリンキー(ロイヤルズFA)の制球力と重ね合わせたデーブ・ロバーツ監督も「これ以上ない出来」とご満悦だった。

 先発が有力視されるのは韓国ソウルで行われるパドレスとの開幕シリーズで3月21日の第2戦。山本も「これからイニングが増えてどうか。公式戦に向けて、細かいところも調整していけたら」と見据える。準備を整え、世界の頂点を目指す。(柳原 直之)

 ▽ザック・グリンキー 身長1メートル88の右腕で多彩な変化球と抜群の制球力を誇り通算225勝。ロイヤルズ時代の09年にサイ・ヤング賞。ドジャースにも13年から3年間在籍し、15年には自己最多19勝、防御率1.66でタイトルを獲得。同年は45回2/3連続無失点も記録。昨季はロ軍で2勝15敗、防御率5.06。現在40歳で今季の所属先は決まっていない。

 ≪レンジャーズ指揮官&選手絶賛の嵐 カーター「スプリット最高」≫山本の快投は強力なレ軍打線に強い印象を与えた。昨年ともに30本塁打以上のシーガーとガルシアは不在も、セミエンら主力が封じられ2回まで単打1本に抑えられた。唯一の安打を中前に運んだ2番カーターは「明らかに素晴らしい投手。横から見ていてスプリットは最高の球だと思う」と落差のある球を称賛。そのスプリットで空振り三振を喫した6番タベラスは「直球とスプリットが同じ軌道に見えた」と驚いていた。敵将のブルース・ボウチー監督も「彼は非常にいい投手なのは明らか。それこそがチームが契約した理由だろう」と話した。

続きを表示

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2024年3月1日のニュース