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2024年5月1日

注文住宅の子ども部屋の作りかたと注意点

子ども部屋って必要なの?子どもに個室を与えるかどうかの考え方

新築で家を建てる場合、間取りや収納、インテリアなど、考えることはたくさんありますが、「子ども部屋をどうしよう」「個室を与えるべきなの?」という点も、検討するべきポイントのひとつ。

「できれば与えてあげたい」「個室なんてなくても、ちゃんと育つよ」など、各家庭によって考え方はさまざまですが、健やかに大きくなって欲しい、という気持ちはみんな同じです。
では、最近の「子ども部屋」は、どんな考え方に基づいて成り立っているでしょうか?

「リビング学習」のすすめ

リビング学習とは、子どもが自室ではなく、リビングやダイニングなどの家族が集まる場所で学習するスタイルのことです。近年、学力向上や親子コミュニケーションの活性化などの効果が期待できると注目されています。
これは、子どもが小さいうちは、「保護者の目が届くところで勉強させたほうが良い」という考え方がベースとなっており、各メーカーもこの風潮を取り入れてきています。リビングに置いても違和感のないデザインの「学習机」も増えています。

新築をご検討の場合、既存のお家のリフォームをご検討の場合は、リビングの1コーナーを書斎スペースに見立て、横長のカウンターを設置するなど工夫をすると、このリビング学習がしやすくなります。
ご両親がパソコンを使ったり家計簿をつけたりする横で、お子さまも一緒に勉強できるようにしておくと、わからないところを教えてあげたり、一緒に調べたりしながら、自然に学習の習慣を作ることができるでしょう。

ただし、ダイニングテーブルやキッチンカウンターなど、親と対面で勉強するような環境は、子どもにとっては好ましくないようです。親の表情が気になって監視されている気分になってしまうため、視線を感じすぎないように、環境を整える必要があります。

子ども部屋を作る場合は「なんとなく」居心地を悪く

お子さまが小さいうちはリビング学習も良い手段です。ですが、成長して思春期にさしかかると、家族全員で眠る習慣は少しずつなくなっていくのが普通です。また、たまにはお子さまも、ひとりでいろいろ考えたいこともあるでしょう。

お子さまに個室を与える場合は、「寝て、着替える」だけの部屋と割り切ってしまうことも、ひとつの考え方です。ベッドとクローゼットだけ置いて、鍵はつけない。テレビやインターネットは使えない……など。
このように、「なんとなく居心地が悪い」部屋にしておくと、自然にリビングに集まるようになり、家族のコミュニケーションが少なくなる心配もなくなります。

大人も子どもも居心地のよいリビングづくり

お子さまを個室にこもらせないためには、「家族全員がリビングにいたくなるような空間づくり」が大切です。テレビやソファを置くだけではなく、インターネット環境を整えたり、本棚や床暖房を設置したりすることで、空間づくりをすることができます。

しかし、ただ広いだけのオープンな空間も、なんとなく居心地が悪いことがあります。こういった場合は、引き戸スクリーンや間仕切り家具を利用して、適度なプライバシーを確保する工夫が有効です。開放感とプライバシーのメリハリをつけることが、「居心地のいいリビングづくり」には大切です。
よくカフェなどで仕事や勉強をしている人がいますが、雑然とした中で各々好きなことができる、つかず離れずの雰囲気は、さびしくもならず、適度にコミュニケーションがとれて快適なものです。

いつかは独立する子どもたちの為に。年とともに最も変化に富む「子ども部屋」の作り方

おもちゃ、ランドセル、教科書、体操服に細々とした学用品、スポーツ用品、アサガオ観察の大きな植木鉢、作品展で作った捨てられない力作。お子さまの「荷物」は想像以上に多いもの。学年が上がるたび、季節のたびに整理整頓がかかせません。

家族みんなが集まるリビングを荷物置き場にするわけにもいきません。リビングを快適にするためにも、お子さまの荷物のために、充分な収納スペースが必要になります。
その際、もしも子ども部屋を用意するとしたら、どれぐらいの大きさがいるのでしょうか?
間取りや兄弟姉妹の有無など、いつかは大きくなって独立するお子さまたちの為、また、長く住む自分たちの為に、お子さまの成長に合わせた空間作りが大切です。

あふれる子どもたちの荷物は、季節ごとの整理でしか解決できない

「学校や塾からの持ち帰り物」「親から与えられるもの」とダブル・トリプルで物が増えていく子どもたちの部屋。自ら判断して処分する性格の子は、そう多くはいません。親が整理に踏み込まなければ、子ども部屋は物であふれかえってしまいます。

子ども部屋は、子ども一人につき6畳がベター。スペースが充分でなかった場合、下が収納になったロフトベットや、作り付けの収納スペースを作って工夫できるでしょう。本棚など大きな家具は、リビングや廊下といった共用スペースに設置することでも活用できます。家族共有の読書スペースの楽しみが生まれるかもしれません。

子どもの成長に合わせた「変幻自在な空間」にする

お子さまが幼いうちは、子ども部屋にかぎらず、共用スペースも親の目が行き届くような、安全に配慮した間取りを考えるべきでしょう。特に窓から転落しないように、柵を付けるなどは大切なポイントです。お子さまがが成長すれば思春期の悩みも出てくるでしょう。変化を見逃さないよう、少なくともリビングを必ず通ってから、子ども部屋に行けるような間取りを考えると良いでしょう。

「間取り自在」な間取りが、空間利用のカギ

最初の設計思想段階で、間取りを自在に取ることができる設計を心がけると、後で重宝します。
例えば異性の兄弟姉妹がいる、もしくは今後生まれることが考えられるときなどです。最初からドア(入り口)を二つ作っておくこととすれば、後から間仕切りを入れることができます。なお、間仕切りも天井まで仕切ってしまわず、ある程度の空間を上にあけておけば、エアコンも台数を増やさずにすみます。簡単に本棚などの収納家具で間仕切ることも可能となります。

ここで注意したいのは、仕切ることを考えて「窓」「コンセント」「照明(コンセントも)」「クローゼット」の順で設計するということ。お子さまが独立したら、また間仕切りを取って一部屋に戻すことを可能にするためです。

男女の兄妹で同じ部屋はトラブルが起きる?注文住宅の子ども部屋の作りかた

注文住宅の間取りを考えるとき、子ども部屋の「数」も重要なポイントになります。特に異性の場合は、「できれば1人1部屋ずつあげたい」と思うケースが多いでしょう。

しかし、面積との兼ね合いで、1つの居室が狭くなってしまう、というお悩みに直面することも珍しくありません。 子どもはいずれ巣立っていきます。「一時のことだし、家族なのだから、同じ部屋でも大丈夫」という意見も耳にします。各居室が狭くなるくらいなら、2人(複数人)1部屋でもいいのでしょうか?

子供もいずれプライベート空間は欲しくなるもの

結論としては、基本的には1人1部屋作ってあげたほうがいいでしょう。
小さいころは、あまり問題は発生しません。むしろ、1人部屋では寂しがるケースも多いです。
しかし、成長すれば、いずれはプライベート空間が欲しくなります。同性の兄弟姉妹であっても、家のなかで「どこにも1人になれる場所がない」というのは、辛いものです。異性であれば、なおさら気をつかうことに。

1つの部屋を、家具などで簡易に仕切るケースもあります。しかし、のぞけばすぐ見えてしまったり、音が漏れてしまったりするような状況では、やはり落ち着いて過ごすことができません。

第二次性徴を迎えるとトラブルは起きやすい

特にトラブルが発生しやすいのは、第二次性徴を迎えるころ。からだに変化があり、女子であれば、月経が始まります。異性で同室の場合、着替えにも神経をつかわなければいけません。月経時に着替えを見られて、事情を理解していない兄弟が馬鹿にしてしまい、それによって本人が傷つく、といったトラブルも想定されます。

また、この時期は思春期でもあります。情緒が不安定になることも少なくありません。多感な時期に常に近くに人がいるのは、逃げ場がなくて辛いもの。もう一方の子どもに辛くあたってしまうこともあるかもしれません。

こういったトラブルは長く心の傷になるケースもありますので、やはりプライベート空間は重要です。

注文住宅では、可変性のある間取りにすることも可能

1人1部屋作ってしまうと、それぞれの居室が狭くなってしまいます。でも、注文住宅であれば、可変性のある間取りにしておくことが可能ですので、ぜひ検討してみましょう。

可動式の間仕切りを取り付けるか、後から壁をとりつけやすい間取りにしておく、といった方法もあります。そうすれば、子供が小さいうちは広々と1部屋で使い、プライベート空間が欲しくなったら2部屋に仕切る。子供が独立したら、また1部屋に戻す、といった具合に、フレキシブルに対応できます。

その際は、エアコンや窓の位置に十分注意することが大切です。片方の部屋だけ空調設備がない、換気ができない、となってしまっては問題です。また、家具の配置も何パターンか考えておき、将来困ることがないようにしておきましょう。将来の使い方も踏まえて、設計士や不動産会社の担当者に相談しながら進めれば安心です。

今、まだお子さまが小さい場合、もしくはこれから家族が増える場合は、子ども自身が意見を言うことはありません。だからこそ、親が将来のことも考慮しておく必要があります。今しっかり設計しておくことで、将来の家族間トラブルを避けることができるのです。

二世帯住宅で共働きしながら、親子で子育てする場合の注意点とは?

昨今、夫婦で共働きする家庭は珍しくありません。共働きの家庭で特に大変なのが、育児の問題です。

「二世帯住宅にして、親に子どもの面倒を見てもらえば、安心して働けるのになぁ」

と考える人も少なくないでしょう。
今回は、共働きの家庭が二世帯住宅を検討する際の「子育ての注意点」について考えてみます。

孫は可愛くても、「子世帯に頼られる」のは負担

くらしノベーション研究所』が行なった調査によると、二世帯住宅では別々に暮らしている場合よりも、親世帯が子育てをサポートしてくれる頻度が高いことが明らかになっています。

孫の世話を頼まれて、「嫌だ」というおじいちゃんおばあちゃんはあまりいません。だからといって、なんでも頼ってしまってはよくないでしょう。
「子世帯に頼られること」が、親世帯の負担になってしまう場合もあるのです。

「自立しよう」という姿勢を親に示そう

共働き世帯の多くは、保育園を利用しています。
住まいの形にかかわらず、共働き世帯の多くは「子育ては自力で」と考えているのです。

「子どもはきちんと保育園にあずけ、基本的に自分たちで育てる」

こうした姿勢は、親世帯にも好意的に受け止められやすいでしょう。「自立しよう」とする気持ちを忘れないことが、親・子世帯が協力して子育てを行う秘訣です。

子育てを想定したゾーニングを考えよう

子育てを二世帯で協力して行おうと考えるなら、それを前提としたゾーニング(間取り)を考えたほうがよいでしょう。
たとえば、子ども部屋の位置。通常、子ども部屋は「廊下から直接子ども部屋に行けない」 「リビングやキッチンを通らないと出入りできない」といったように、あまり「アクセス性」を考えて設置されません。
子ども部屋に行くときに、毎回リビングやキッチンを通らなくてはならないなら、子世帯のプライバシーは確保できません。
こうした事態を防ぐには、あらかじめ「廊下から直接アクセスできる子ども部屋」を計画しておきましょう。

また、両親共働きということは、平日は親子揃って食卓を囲むことは難しい、ということも多々あることと思います。「子世帯が平日、簡単に食事を済ませられる洋風のダイニング」と、「親・子・孫、三世帯揃ってゆったりと食事ができる広めの和風ダイニング」を用意しておき、週末には親・子・孫が触れ合える機会を作るのもいいでしょう。

二世帯住宅のゾーニングは、アイデア次第で可能性は無限大です。理想の住まいを実現するため、様々なアイデアを検討してみてはいかがでしょうか。

ABOUTこの記事をかいた人

永く安心して健康で快適にくらせる家であること。住めば住むほどよくなる家であること。住む人に幸せが訪れる家であること。そして、造る者にも嘘がない真摯な心で造ること。こうして造られた家を私たちは「0宣言の家」と呼んでいます。