1.1年接ぎ木苗を入手する
2年苗3年苗の方が当然高いです。が、3月からはほんとうに1年新苗が流通しますが、2月であればもう少しで2年苗、なんていうのが手に入るかも。
この時期だと店頭でなく、通販か取り寄せになると思います。畑に植えていた苗をまるっと掘って裸苗で送ってきて参りますので、買ってきたら即バケツに水を張って6~12時間浸して給水します。
写真の新聞紙は、株元にかけて乾燥防止に使っていました。
2023年2月18日
2.給水後はそのままベンレートかトップジンM
に10~30分浸して、根を殺菌します。①のバケツの水が白いのはその為です。12月~2月下旬の芽が動かない植え替え可能時期のみ、太根を切りつめて短くして植えることが出来ますが、後は必ず殺菌を。
写真では手を離さざるを得なかったのですが、実際には根をガっと鉢中で開いて植え付けています。10号鉢。
その際、鉢の下部1/4の土は緩効性有機リンカリ肥料を適量施しています。上部3/4の土は、無肥料です。
3.植え付け完了
ポット苗であれば急いで植え替える必要はありませんが、地堀裸苗はスピードが命です。根を長時間日に当てたり風に当てて乾燥させてはいけません。
余談ですが、3月より販売の、1年苗で、主軸をカットした形跡の無い苗は、到着植え付け後、速やかに接ぎ木口より30(鉢植え)~50(地植え)cmで主軸を切断します。生きているかの確認と、株の体力を集中させて、芽吹きを促す効果があります。
2023年2月18日
4.雨が降ろうとそんなの関係ねぇ!!
植えまくり。鉢が増えた分、何かを削らねば。
こんなにピンピンまんべんなく下の方まで枝が出ている必要は無いので、栄養の分散を抑える意味でもカットしますが、雨の日は癒合剤が乾かない…というか無駄になる上、雑菌の感染も起こりやすいので剪定は出来ません。
癒合剤は1株剪定が済む毎に塗った方が良いのですが、効率を考えて後でまとめて、ということもあろうかと。でも最低限雨が降る前に。
2023年2月19日
5.梨の枝は斜め、または水平にしつける
ナシはとにかく真上に伸びようとしますので、せっかく3つに分けつしても、フォークか携帯電波塔みたいになってしまいます。そこで紐や支柱で引っ張って、無理矢理開帳させます。
枝を水平に仕立てる場合でも、枝先だけはわずかでも斜め上に向けないと、枝の伸びが悪くなります。
プランターなら支柱も良いですが、鉢なので、ゆるゆるに、でも抜けないよう、持ち手の下に輪っかを作り、別の紐で枝を引っ張る形に結わえます。
6.菜種油かすで液肥を作成準備
べつに菜種でなくとも油かす全般で出来ます。水10:油かす1くらいの比率でペットボトルに投入して、蓋を閉めてよく振り、再び蓋を緩めて放置するだけです。
週1は蓋をよく閉めて攪拌、再び放置するときには蓋を緩めます。また、全体量は8分目までで。発酵が進むと溢れる可能性があります。
冬は1~2か月、夏は1週間くらいで使えるようになります。上澄みを5~20倍くらいに希釈して散布、葉にはかけないように。
7.自分なりに農薬ローテーション考察
農協に素直に指導してもらうのがいちばんかもしれませんがね。モスピラン以外の劇物を除く40種程度の農薬をリストアップして、所有している農薬を中心に組み立ててみた。
有機リンとモスピラン以外のネオニコチノイド、およびベンレート、トップジンMなど欧米で規制されはじめている農薬は封印した。青の網がけはR5年3月現在未所有購入検討中。△は、ナシの収穫期が品種によってまちまちであるため。
ほかにデランフロアブルが独立した系統で多種の病気に適応するが、劇物であり、人により正しく使用してもかぶれるなど副作用があるため、私は用意していない。
アリエッティ水和剤も、耐性菌が出来にくいが、有機リン系であることと、疫病・黒斑病・輪紋病に効果とのことで、主要防除病害(黒星・赤星・炭そ病)に適用がないので、用意していない。
また、カメムシの防除にはスミチオンなど有機リン系が有効であるが、封印のため、合成ピレスロイド系とネオニコチノイド系に頼らざるを得ない。後者はカメムシへの効果はいまひとつで、使用後にカイガラムシやハダニが増える可能性があるので、経過観察が必要であろう。
8.芽が動き出したトーキョーEllie
トーキョーEllieが一番手。今年なるわけではないだろうが、2020年の新品種でS因子不明…つまり受粉木の適不適が不明。
先週、ダコニール1000+アビオンEで殺菌処理済。
ナシは発芽・開花・結実までの間、ほぼ貯蔵養分だけで行うため、養分の浪費が少ないよう、できるだけ早い時期、遅くとも受粉前までに、芽かき、摘蕾を行うのが望ましい。真上に向けて出た枝は、基本芽かきの対象だ。
2023年3月12日
9.棒苗が1年苗で、枝が出ているのは2年…?
ほしあかりの芽かと思ったら、これは花芽では…?
しかし残念ながら、植え付け3年までの幼苗の花芽はすべて摘蕾・摘花します。4年目の若木からは主枝・副枝の先端から50cmほどは摘蕾を。成木はまた別です。
本日有機銅剤キノンドーフロアブル+アビオンEを散布。有機・無機銅剤とアビオンEの相性は最高で、防除効果が6~8割アップする。アビオンは有機栽培でも使えるし、低農薬栽培に有用。
2023年3月19日
10.葉が開き始める
これはトーキョーEllie。あとはほしあかりが花芽を各所であげたので、摘んで葉芽の展開待ち。ほかのナシは未だほぼ動いていない。正直集めすぎたので芽吹かず枯れるものがあっても良いと思っている。
ちなみに棚は作らないが、棚を作った方が収量が上がり、木が果実を支える労力が減るので、枝よりも果実に栄養が行き、木なりよりも糖度・サイズがあがることは述べておく。
2023年3月25日
11.早速アブラムシの洗礼を受ける
雨が降らない限り毎朝見回りしているので、今日が初。アブラムシが早速来ました。まだバラにも来ていないのに。
こいつらは単為生殖するので1匹いればいくらでも増えますが、早期発見につき無農薬…ニームオイルで対応。チュウレンジには効果が疑問ですがアブラムシ程度なら良く効きます。
この土日には農薬散布にニームオイルを混ぜて行うようにしよう。室温では固まっていたけれど。
2023年3月30日
12.⑥で作成した油かす液肥を20倍希釈で
「私の育て方」にもあるが、現在までほとんどチッソ分を与えていないため、8-8-8の化成肥料を施し、速効性を期待して油かす液肥を施す。4月は毎週または隔週で。希釈率を高めて回数を増やした方が肥料焼けのリスクが下がる上、吸収率も良い。
苗木で、花も実も付けないのだからと、成長を優先して、親株とは違う漫然とした施肥を行うと、成長のバランスが崩れ軟弱で病害に弱い木に育つので注意。
2023年4月1日
13.ジマンダイセンとアプロードを混用散布
ニームオイルを改めて入れようと思って忘れた…。まあ、毎日見回りしているから、またアブラムシが来たらハンディースプレーでニームのみ散布するわ。
ジマンダイセンまたはチオノックあたりの有機硫黄系は病気予防のみだが強力で、使わない手はない。しかしボルドー含む銅剤との相性は悪く、互いに続いて使用する場合、最低7日、通常10日はあける。アビオンEを混用なら14日かな。互いに反応しあって薬害が出ます。
14.カミキリムシ対策に非農薬の樹脂剤を塗布
2023/04/02
ガットサイドSの方が安価ですが、リンゴ・イチジク・クリは対象ですがナシは非対応につき。
ゴマダラカミキリ、ルリカミキリ、ウスバカミキリあたりが食害する。ウスバは太い幹や枝の枯れて腐った部分から侵入するので、塞ぐこと。糞を外に出さないので発見は困難。ゴマダラは根元から50cm程度の主幹と、まれに2cmを超える枝に。ルリは若枝の表皮にH字の傷を付け、下端に産卵する。1~2週で孵化。
右奥に見えるが、4月になったので化成肥料を与えている。ハイポネックスブリリアント「バラの置き肥8-8-8」だ。3月いっぱいまで窒素肥料を断っていたので、速やかに施肥する必要がある。4月は新芽や蕾が出来る時期で、四季を知る果樹であればこの時期は速効性のある化成肥料がベスト。
地植えなら14-14-14などの高度化成肥料でも良いが、鉢植えであれば8-8-8くらいのバラの花向けの化成肥料が適していると推察する。
15.葉の形や大きさから
窒素肥料の効き具合を推察する。葉の形は幅広で丸っこい方が栄養豊富で良い葉。幅が狭く細長い葉は栄養貯蔵が足りず充実していないと診断。葉が小さくて花ばかり目立つのも同様。
もっとも、品種と剪定強度の影響を受けるので毎年の観察が必要です。
上がトーキョーEllie、下がなつしずく。良い種苗業者から購入出来たようです。
連日の雨で、この土日に早速油かす液肥がやれないのでは…。
2023年4月6日
16.新しい枝葉がビュンビュン伸びてくる
活かす枝・切除する枝を判別して、活かす枝はまた紐で結わえて斜め、または水平に近づけてしつけます。
位置・場所で決めても良いですが、強いて言えば、良い枝は元の幹・枝に対して角度が大きい枝…幹・枝面に対して垂直に近づく枝の出方が良い枝です。両腕を耳に当てて垂直に伸ばしているよりも、手を水平に近づけて伸ばしている感じ?
角度が急だと、着果の重みで枝の根元から裂けやすくなるためです。
2023年4月8日
17.真上に向けて伸びる枝は優先切除対象
頂芽優勢に基づき、真上に伸びる枝は勢い良く、樹勢が強くなり、茂った葉で下の葉の日当たりを悪くする一方で、横に伸ばして樹冠を広げたい主枝や副主枝の養分を盗ってしまうので、最優先で切除します。
ただし、樹勢が弱く、樹冠の拡大に時間がかかる品種、「ほしあかり」「甘ひびき」「凜夏」あたりは、上に伸びる枝もいくらか残し、枝の根元を半分ほど鋸で切っておくことで、上に伸びる枝の樹勢をコントロールします。
18.ニームオイルは日曜日に散布しているが
2023/04/13
チラホラとアブラムシが複数の梨に少数ながら取り付いている。ざっと指で潰して回った。
そして、何者かが貴重な葉を食べていっているではないか!「甘太」だけですけど。全体をくまなく見たがイモムシ類は見受けられず。被害が止まらないならモスピラン顆粒水和剤を散布するが、まさかナメクジでは無いだろうな(※農薬が効くかあやしいから)?
さらに本日「トーキョーEllie」の台木から芽が出ているのを発見。即切除。台木からの芽を放っておくと、最悪樹が枯れます。
本日より「そだレポ」の文字数制限が緩和されたので、品種名にはわかりやすく「」を付けていくことにします。
(追記)被害は1日で止まったのでモスピラン等殺虫剤は今回散布していない
19.雨が多い。引き続きアビオンE添加でオーソサイド+フルピカを散布
2023/04/16
ニームオイルも添加。
写真のようにオーソサイドは葉や果実が汚れるので、平成の時代にDMI(EBI)剤やストロビルリン系(QoI剤)に取って代わられてしまった。果実に袋がけをすれば良いのだが、袋をかけると手間がかかる上、糖度が落ちる(「甘太」は満開後60日までに白い袋をかけると糖度が上がる)ためだ。
一方でDMI剤もQoI剤も耐性菌が問題になっている。オーソサイドは耐性が出来にくいので、汚れさえ軽減できれば今なお実用的だ。収穫が近づいてきたら展着剤をシリコーン系のまくぴかに替えることで汚れは軽減可能と推測する。
また、アニリノピリミジン系(以下AP系と略)フルピカとユニックス顆粒水和剤がナシに適用があるが、同じ系統でも効果が違い、黒星病にはわずかにユニックスが勝る程度。ただし赤星病にはユニックスは効果が無く、炭そ病にはフルピカが効果が無い。
使い分けるなら7月まではフルピカ、8月以降はユニックスだろうか。しかし赤星は9月にも猛威を振るうので思案のしどころ。
どちらも収穫21日前までなので収穫予定日と照らし合わせた注意も必要だ。
20.葉を喰っていた犯人はナメクジだった模様
2023/04/20
⑱の葉を食害していた犯人はどうもナメクジのようですね。昨晩発見して駆除しました。
この写真の、若い巻いている状態の葉を喰っていっています。喰われた葉は、展開すると虫食い状態になる(上の白丸内の写真)、と。銅剤も今散布している農薬ではないですしね。
しかしこれだと殺虫剤を撒いても意味が無い。アブラムシは少数ですがニームオイルの効果が薄れる週後半、毎日のように来てはいますが。
ここは一部のイチジクに去年使用した方法、銅製のメッシュを株元に5cm幅程度で巻き付けることで対応したいと思います。平日はちょっと暇が無いので、また土日に。
21.「なつしずく」葉の1枚に異常
2023/04/21
葉はわりと多く付いているので、異常があった1枚だけはむしった。裏の方が状態が悪いので、これは病気では無く薬害かもしれない。黒星病かと思って念のために除去したけれど、まあいいだろう。疑わしきはなんとやら、だ。
これが原因かは分からないが、銅剤と有機硫黄剤の間隔はもっと空けた方が良いかもしれない。最低7~10日ということで、アビオンEを添加したら14日くらいかと見積もったが、甘いようだ。次からは何か他の薬剤を間に挟んでからの散布にしたい。
22.赤星病発症
2023/04/29
毎朝毎晩見回り。「ほしあかり」に赤星病の第1号が発症。これだけマメに防除していても完全には防げないか。葉半分切除で今回は済ます。いま枝葉が伸びるときに葉を減らすのは惜しい。
赤星病はいわゆる「さび病」だ。4~5月に雨が多く気温が低いと多発しやすい。4~5月と9~10月が発症のピーク(25度以上は嫌う)。
クレマチスはクレマチスの、バラはバラのさび病でそれ単独で防除が成立するが、ナシのそれは異種寄生菌で(※さび病の菌は種類が多い)、冬期はビャクシン類で過ごし、春~夏に胞子のかたちで飛んできてナシの葉に付着、雨で発芽し、約10日~1か月の潜伏期間を経て発症する。産地ではビャクシン類を植えることを禁じている場所もある。
胞子の飛散距離は数㎞もあり、このオレンジ色(のちに褐色)の部位はまさしく胞子なので、付けたまま薬剤治療などとあまいことはせず、かならず切除する。
DMI剤やQoI剤がとくに有効だが、連用を避け、年使用回数上限は遵守する。重曹水にはとくに弱く、0.1%濃度でも効果がある。ただ、重曹水では持続性がね。雨後の臨時防除には有用と思われる。
23.ナメクジの食害跡
2023/04/30
当方ならではかもしれないが、ナメの食害跡。柔らかい新葉ばかり狙われ、穴だらけになる。穴の周りが黒いのは、食害跡に「フマキラー ナメクジカダンスプレー」が染みこんでいったためと思われる。犯人は右やや下の部分で遺体になっている。
実はまだ根元を銅メッシュで巻いていない。GW中にはやっておきたいところ。夏果が付いているイチジクと一緒に。
本日キノンドーフロアブル2回目散布。有機銅剤なので軽い嫌がらせ程度にはなるだろうか。
5月になればDMI剤を解禁する。と同時に、今はまだ果実をつける年数ではないので関係ないが、芯腐れ病対策に4月下旬~5月上旬くらいにベンレートが有効だが封印中。デランフロアブルも有効だが封印中。ここはファンタジスタ顆粒水和剤で代用する。同じQoI剤でもスクレアも効果はあるかもしれない(推測)が、アミスター10やストロビーDFは効果がほとんど無い。
DMI剤を5月まで使用しないのは耐性菌の発生を遅らせる目的がある。それこそデランを使えばDMI剤の散布回数を減じることも出来るが、医薬用外劇物につき、私の素人園芸では未購入。残効長いので営利では便利と思います。かぶれに注意。
24.ナメクジ対策に銅メッシュを根元に巻いた
2023/05/03
通常はこんな作業必要ないと思いますけどね。3cm幅の銅テープを鉢に巻くよりも、こちらの方が有効だったので。銅テープでも被害は8割減くらいになりますけどね。
ついでに、5月の施肥も行った。4月は速効性の化成肥料が向いているが、5月は株を充実させ、風味の良い果実をつくるために油かす中心の有機肥料を施す。
今回使用は、レバープランツ(R)ボカシ肥料中粒5-5-5を鉢外周に沿ってぐるりと12粒。さらに油かす液肥も灌注。
25.伸びた枝を倒す
2023/05/05
満開後60日くらいまでに。具体的には50cm伸びたら枝を寝かせること。45度~水平と、棚があるなら棚に誘引するようにで良いが、枝先はわずかでも水平より上に向けること。下に向けると伸びが止まってしまう。
営利ならこの伸びた枝先付近にジベレリンペーストを5mmほど指や筆でぐるっと塗りつけてやると、途中から真上に向けて伸びる枝が出ても、負けること無く伸びが良い(和梨に限って認められています)そうです。
「ほしあかり」の赤星病は2日発症がありませんが、本日「なつしずく」に2枚3か所の発症を確認。切除しました。
さらに数日おきに、枝先の葉先にアブラムシが来ているのを磨り潰しています。
26.農薬散布
2023/05/13
果実は実らせていないが、実っていると仮定しての作業につき、芯腐れ病の予防にQoI剤の「ファンタジスタ顆粒水和剤」を散布。カイガラムシ予防に殺虫剤「トランスフォームフロアブル」も混用。こちらはアブラムシにも効く。
芯腐れ病は胴枯れ病と同じ菌と思われ、果実の外観は無事だが、割ったら中心部は真っ黒という、生産者・販売店泣かせの病気だ。4月下旬~5月上旬くらいに「デランフロアブル」や「ベンレート」を散布して予防するが、どちらも封印しているため、「ファンタジスタ顆粒水和剤」で予防を行う。
ちなみに「ラリー」や同じQoI剤でも「アミスター10」あたりはほぼ効果が無いことに留意。
サカタ「ホスマグ」も混用。亜リン酸は「アリエッティ水和剤」にも含まれる成分(肥料)であるが、植物体表面から容易に吸収され、細胞壁を厚くして免疫力を上げる。菌核病等には農薬並みの防除効果が、かんきつそうか病等にはほとんど効果は無い。
根からは直接吸収されず、土壌細菌によってリン酸に変換されてから吸収される。濫用するとリンの吸収を妨げたり、リン酸アルミニウム濃度が高まり、先述した農薬の収穫期近接使用を疑われる場合がある。
27.農薬散布
2023/05/27
DMI剤の「インダーフロアブル」、イミノクタジンアルベシル酸塩(多作用点接触活性剤)「ベルクルートフロアブル」を混用して散布。
「ベルクルート」は、DMI剤とは違うアプローチで脂質生成阻害と、細胞膜機能阻害の両方を行うため、耐性菌ができにくいとされる薬剤です。対応する菌種も広く、浸透移行性があるので雨にも強いです。
「ベルクルート」とDMI剤の「インダー」ないしは「スコア顆粒水和剤」との相性は抜群で、互いに効力を高め合うことがわかっています。
ここで注意してほしいのは、混用表で「混用可」になっているから効果が高い、とは限らないということです。たとえば、「ベルクルート」は「キノンドーフロアブル」などの有機銅剤とも混用可能ですが、互いに効力が低下します。「混用可」というのは、あくまで「薬害が出にくい」「成分の結晶化など不具合が起きにくい」ことを主眼におかれています。
複合剤は、「薬害が出にくく、効果が減衰しない」ことをメーカーが保証してくれているものと思っても良いでしょう。
ついでに、「クレフノン」の代わりにカルシウム剤も葉面散布した。5~7月中に隔週で3回散布のこと。
28.6月初旬に油かすを与える
2023/06/04
以降、9月いっぱいまで一切肥料は与えない。とくにチッソ分は7月には肥効が切れるくらいに調整しないと、果実に甘さがのらなかったり、収穫期に遅れが発生する原因になる。
また、この時期に速効性の化成肥料は果実に大きな影響を及ぼすので避ける。
本日、残っていたペットボトル4本目の油かす液肥も使い切った。来年まで梨ではもう使用しません。
本当にこの6月上旬の追肥が必要だったかは落葉の季節に判断する。チッソが遅残りしていると、徒長枝の先の葉だけが残り、一斉に落葉しないなどの現象が現れるので、その場合は肥料の量をもっと減らすか、6月は施肥しないものとする。
余談ですが、赤星病は5月23日に「なつしずく」にひとつ、「トーキョーEllie」にひとつ病斑が発見されたのが最後で、以降発症はありません。
29.「あきづき」死す。
2023/06/10
樹勢が強く、黒星病に抵抗性があるということで期待して購入したが、そもそもの到着が3月末で、地堀り苗をロングポットにぶっ込んで土を詰めたばかりの状態で届き、ポットをハサミで切り裂いただけで土がバラバラになって根が露出する状態だったから、活着が悪かった。
そこへ6月とはいえ他の梨と同様の施肥・灌水を行い始めたので肥料焼けと根腐れのダブルパンチだったのかもしれない。
すまないが場所が無いので買い戻しはしないぞ。
あきづき
『農研機構果樹研究所で育成され、2001年に品種登録された「新高×豊水」と「幸水」の交雑により誕生した赤梨。果実は大きめで500gほどになり、果肉はやわらかくて緻密。豊水や幸水に比べて酸味が少ない。糖度は12%程度。
黒斑病には抵抗性を示し、黒星病にも比較的高い耐性を誇る。樹勢は強く、枝梢の発生密度は密、短果枝の着生は中、えき花芽の着生は多い。秋に収穫されること、そして形が月のように丸いことが名前の由来。日持ちは10日ほど。』
本日キノンドーフロアブル+アディオンに、アビオンE1500倍希釈、カルシウム剤添加で散布。夏場はアビオンEの濃度を下げた方が無難な気が。
30.6月中旬から7月上旬までに
2023/06/25
夏剪定を行う。普段から芽かき・摘心や新梢誘引を行っていればほとんど必要ありませんが、この頃には新梢が上にむかってビュンビュン伸びてきます。
成木であれば、下が日陰にならないように徒長枝を切除し、幼木であれば新梢は寝かせて樹冠を広げます。
どのみち、真上から発生して真上に伸びる枝があれば切除(本来は芽かきでとっておくべき)しますが、葉の数が減りますので、やりすぎると樹勢が落ちます。また、もともと樹勢の弱い品種は、真上に伸びる枝でも、根元にノコで半分ほど切り込みを入れ、その枝の樹勢が強くなりすぎないようにして残します。
剪定ばさみを使う際には、切刃を枝の残る部分に向け受け刃を切除する部分に向けて切ると、綺麗に切れます。
切った後には、トップジンMペースト、またはバッチレートといった、殺菌剤入りの癒合剤を必ず使います。
なお、本日オーソサイドとカスケード乳剤、カルシウム剤を混用し、アビオンE1500倍を添加して散布。目立った病害は出ていないため、EBI剤とQoI剤の使用は今月はありませんでした。
日本ナシは追熟しないので、樹上完熟が最も美味い。でも、ナシは病害虫に弱く、農薬なしでは育てるのが大変だとか。しかしまあ、農薬はふんだんに取り揃えておりますので。
西洋ナシは追熟させないと美味くないし、樹上完熟を目指すと水分が抜けてスカスカになってしまいます。
ナシは中国原産で、西に伝わった物が西洋ナシ、日本に伝わった物が日本ナシになりました。弥生時代に持ち込まれ、以降の古墳からは食されたと思われるナシの種が大量に発掘されています。
果物…嗜好品として栽培されるようになったのは江戸時代中期からで、それまでは作物として一定の地位にはあったようですが、地味で、愛でられる存在では、日本ではなかったようです。
バラ科の果樹には珍しくありませんが、比較的果樹としての寿命は短く、15年ほどで減収を始めることもあります。しかし、地植えで適切に育てれば、50年を超えても実る個体もあるようです。