多くの人に宇都宮産ワインを 

2012年、宇都宮市内で原木シイタケを生産する夫潔さん(42)と結婚し、就農した。

 夫と結婚するまでは農業をやるとは思ってもいませんでした。夫自身は31歳まで、東京で会社員生活を送っていましたし、私も結婚するまでは宇都宮市で会社勤めをしていました。
 ワイン用のブドウを生産しようと思い立ったのは2016年です。夫がワイン好きだったのがきっかけでした。最初は福島県いわき市のワイン用ブドウ生産者のところへ研修に行ったり、県の方から指導を受けたりしました。宇都宮でワイン用のブドウを作っている人は私の知る限りいない上、まったくのゼロからのスタートだったので、土地を借りるところから始めました。ブドウをワインにするワイナリー(醸造家)も自分たちで探しました。
 ワイン用ブドウはヨーロッパ系で病気になりやすいため、そこに一番神経を使いました。自分たちの作ったブドウが本当にワインになるのかという不安もありました。

 

 そして19年に初めて収穫することができました。収穫したブドウは山梨県勝沼の醸造家の下へ届けて、ワイン200本ができあがりました。赤ワインで「Tous les jours」(ト・レ・ジュール)、フランス語で「日々」「毎日」という意味です。ブドウが過ごしてきた日々を思い浮かべて飲んでほしいと思っています。
 宇都宮にはイタリアンやフレンチなどのお店がたくさんあり、食材には宇都宮産のものが使われているので、宇都宮産のブドウを使ったワインもあっていいのではないでしょうか。これからも宇都宮の人が手軽に飲めるワイン用のブドウを作っていきたいです。