【電子号外】横綱日馬富士が引退

 暴行問題を起こした大相撲の横綱日馬富士関(33)=本名ダワーニャム・ビャンバドルジ、モンゴル出身、伊勢ケ浜部屋=が29日、現役を引退した。日本相撲協会に引退届を提出して受理された。

 日馬富士関は同日、福岡県内で記者会見し「横綱の責任を感じ、本日をもって引退させていただきます。大変迷惑をお掛けしたことを心から深くおわび申し上げます」と語った。鳥取県警の捜査や相撲協会危機管理委員会の調査が進む中、不祥事の責任を取る形で自ら身を引くことを決断した。大きな汚点を残し、人気回復した角界にとって打撃となった。

 日馬富士関は日本国籍を持っていないため、親方として相撲協会に残ることはできない。

 秋巡業中の10月25日深夜から26日未明に鳥取市内での酒席で、同じモンゴル出身の平幕貴ノ岩関(27)に暴力を振るい、けがを負わせた。捜査関係者によると、貴ノ岩関の態度に立腹し、平手やカラオケのリモコンでの殴打を認めていた。

 日馬富士関は会見で暴行の理由について「弟弟子の礼儀がなっていないときに直し、正し、教えることが先輩の義務。彼を傷つけ、世間を騒がせてしまった」と、貴ノ岩関の態度が理由であることを明かした。また「(暴行を)やった事実はあるので、責任は横綱として取らないといけない、と(元横綱旭富士の伊勢ケ浜)親方と話した」と、引退理由について語った。相撲協会の諮問機関、横綱審議委員会からは「非常に厳しい処分が必要」との指摘を受けていた。

 日馬富士関は「安馬」のしこ名で2001年初場所に初土俵を踏み、細身ながら闘争心あふれる取り口で活躍。12年秋場所後に第70代横綱に昇進した。優勝9度、史上6位の幕内712勝の実績を残した。11月の九州場所は暴行が発覚した3日目から休場していた。

 過去には10年初場所中に横綱朝青龍が暴行問題を起こし、同年2月に現役を退いた例がある。


【電子号外】横綱日馬富士が引退(11月29日)

※閲覧にはAdobe Readerが必要です。