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伊藤若冲、晩年の絵巻物見つかる 京都・福田美術館10月から公開

 福田美術館で公開された伊藤若冲の絵巻物「果蔬図巻」(部分)=5日午後、京都市右京区
 福田美術館で公開された伊藤若冲の絵巻物「果蔬図巻」(部分)=5日午後、京都市右京区
 京都市右京区の福田美術館は5日、江戸中期の画家伊藤若冲(1716~1800年)が76歳の時に描いた絵巻物「果蔬図巻」が新たに見つかったと明らかにした。同館は「晩年期の着色された作品は少なく、見つかるのは異例」としている。10月から同館で開く展覧会で一般公開する予定。

 巻物は縦30・5センチ、横277・5センチ。カボチャやブドウなど約40種類の野菜や果物が描かれ、四季に関係なく配置されている。若冲の傑作とされる「菜蟲譜」は、この作品の翌年に描かれており、表現方法が似ているという。

 巻物の後半には若冲と親交があったと知られる相国寺の僧、梅荘顕常の直筆で絵の素晴らしさや大阪の人物からの依頼によって作品が描かれた経緯が書かれている。

 欧州の個人が所蔵していたが2023年2月、美術商経由で同館に鑑定の依頼があった。署名や印が若冲の他の作品に記されているものと一致したため、同館が購入して修復を施した。

 岡田秀之学芸課長は「淡く薄い色も残っており色鮮やかで、非常にきれいな印象。良い状態で発見された」と話した。

(2024年03月05日 17時14分 更新)

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