プロボクシングのIBF世界フェザー級1位の阿部麗也(30)=KG大和=が17日、神奈川・大和市の所属ジムで会見し、3月2日(日本時間3日)に米ニューヨーク州ベローナのターニング・ストーン・リゾート&カジノで、3度目の防衛を目指す王者のルイス・アルベルト・ロペス(30)=メキシコ=に挑戦すると発表した。
阿部はサングラスをかけて会見に出席。待望の世界初挑戦への意気込みを語った。
「世界タイトルマッチが決まってほっとしている。ニューヨークでロペスをぶっ倒して世界(王座)を取ります」
主催の米興行大手トップランクは昨年12月に発表していたが、阿部が12月16日から今年1月5日までの約3週間、フィリピン・セブ島で合宿を実施していたため、日本での発表会見が遅れた。フィリピン合宿では世界挑戦経験がある東洋太平洋同級11位のジョー・サンティシマ(27)=フィリピン=らと計30ラウンドの実戦練習をこなした。
昨年4月に東京・有明アリーナでIBF世界同級挑戦者決定戦を闘い、世界2階級制覇の実績があるキコ・マルティネス(スペイン)に3―0の判定勝ち。指名挑戦権を獲得し、同級1位となった。過去29戦はすべて日本での試合で、初の海外での試合が世界戦となるが「不安もあるけど、楽しみなことが多い。わくわくしている」と前向きだった。
ロペスは好戦的な野性味あふれるファイトスタイルで変則的な強打を打つ。「El Venado(エル・ベナド=鹿)」という愛称を持つオーソドックスだ。福島県出身のサウスポーの阿部は「攻略しづらい相手。型にはまったボクシングじゃないので、逆に穴もある。そういう部分をしっかりとついて、倒したい」と大味なロペスのボクシングの隙を狙う。
自動車関連の部品などを生産するプレス工業株式会社に勤務する〝サラリーマンボクサー〟。週5日、午前8時から午後5時まで藤沢工場でトラックの部品などを作っている。今やスポンサー企業の支援を受けて、ボクシング一本で生活することもできるが、無名時代からプロボクサーとしての活動を応援してくれた会社への恩義もあり、「働きながらでも夢を追えると、結果を出して体現したい」とあえて二足のわらじを履いている。