プロボクシングの第80回東日本新人王トーナメント決勝戦が3日、東京・後楽園ホールで行われた。ミニマム級からミドル級まで(スーパーウエルター級を除く)の全12試合で実施され、フェザー級4回戦は牧田健之介(22)=RK蒲田=が、2021年全国高校総体ライト級優勝の山川健太(19)=大橋=に2回1分32秒TKO勝ち。最優秀選手賞を獲得し、12月23日に同会場で行われる全日本新人王決勝戦に進出した。
技能賞はスーパーバンタム級の須藤大和(たわ、22)=伴流、敢闘賞はミドル級の赤井英五郎(29)=帝拳=が選ばれた。
衝撃的な一撃で大金星をつかんだ牧田は「見たかー」と叫びながらリング上でガッツポースを繰り返した。
「めっちゃうれしい。我が生涯に一片の悔い無し。負けるだろうと思っていたけど、奇跡的に勝てた」
1回は両者が手をほとんど出さずに様子見の展開。2回に山川が左ボディージャブなどで攻め始めたところで、牧田がカウンターの左フックをクリーンヒット。山川はキャンバスに沈み、レフェリーがノーカウントで試合を止めた。山川はそのまま担架で運ばれる衝撃的な結末となった。
山川は昨年7月のプロデビュー戦前からWBC、WBO世界スーパーバンタム級王者の井上尚弥(30)=大橋=に指名され、計100ラウンド以上のスパーリングを重ねてきた実力者。全日本新人王の大本命と目されていた。牧田はフィニッシュブローについて「全然狙っていなかった。ただ強く打つことを考えていた」と自分でも驚いたという。
牧田は父が日本人、母のリンダさんがフィリピン人。試合前に母方の親戚を通じて元世界6階級制覇王者のマニー・パッキャオ(44)=フィリピン=からサイン入りの帽子、Tシャツ、動画メッセージが届いた。牧田は憧れのパッキャオからの激励でモチベーションを高め、サイン入りの帽子を被ってリングイン。「パッキャオのおかげですかね」と笑顔でおどけた。
「まさか全日本に出られるとは思っていなかったので、何も考えていない。次も頑張ります」と全日本新人王決勝戦への意気込みを語った。
一方で控室には歩いて戻り、気丈にも取材に応じた山川は「1ラウンド目は様子を見て、2ラウンド目にもうそろそろ仕掛けていかないとと思っていたところで、相手のパンチにも気をつけていたけど、一発もらってしまった。悔しいですね。左フックが見えなかった」と肩を落とした。
興行は午後2時から動画配信サービスのU-NEXTで独占生配信された。プロ戦績は牧田が4戦4勝(3KO)、山川が5戦4勝(3KO)1敗となった。