将棋第71期王座戦五番勝負第4局(11日、京都市「ウェスティン都ホテル京都」 主催・日本経済新聞社、日本将棋連盟)歴史的快挙を受け、藤井聡太八冠と2020年の王位戦で対局した木村一基九段(50)がサンケイスポーツの取材に応じ「死角がない」と驚嘆。「藤井一強時代が年単位で続く可能性がある」との見通しを示した。
木村九段は「取ってもおかしくないと誰もが思っていた。着実にタイトルを増やしていたので意外な結果ではないです」と〝時間の問題〟だったと強調した。
藤井八冠とは、挑戦者として迎えた2020年の王位戦で対局。当時を「今より感想戦の声が小さかった」と懐かしみつつ、いまは「より負かしにくい存在になった」と力を込める。
その強さについては、「いろいろな相手から練った作戦をぶつけられても動じずに指している。〝変化球〟に対応する力が半端なものではない。死角がないし、弱点がないですね」と分析。
将棋界の全冠制覇は升田幸三実力制第四代名人、大山康晴十五世名人、日本将棋連盟会長の羽生善治九段(53)に続き4人目。しかも藤井八冠はタイトル戦無敗、番勝負では連敗知らずで「今までの大棋士と比べても驚異的だなと思います」と舌を巻く。
1996年の羽生九段の全冠制覇時代を知る木村九段は、2人の共通点に敗勢での立ち回りを挙げ、「負けそうなところでも最後まで良い勝負にする順を追究する。局面を難しくして相手をくたびれさせます」と解説。
藤井一強時代は「年単位で続く可能性がある」。今後は過去のタイトル戦で戦った渡辺明九段(39)、豊島将之九段(33)、永瀬前王座らが再びタイトル奪取を目指して挑んでくると見る一方で、AI将棋の研究が進んでいることから「藤井さんよりももっと年下から急に(ライバルが)出てくる可能性もある。AIソフトだけで強くなった人が出てきたら興味深いですね」と想像した。